ワーグナー 「恋愛禁制」 サヴァリッシュ指揮
これ、すき家じゃありませんよ。
その名も「国会丼」でありま~す。
国会議事堂の隣にある国会図書館の食堂で食べれるのですよ。
牛丼とスパイシーカレーの合いがけなのだけれど、間に温泉卵が乗っかっているところがすき家と違うところ。
なんでも自民・民主の「ねじれ国会」をイメージしてるとか・・・・。
お味は、@500円を加味するとまずまずのものでございました。
牛丼とカレー、まぁ、どっちもどっちですなぁ。温泉卵はどちらにもよく合うし・・・・。
ワーグナーの完成されたオペラ第2作目は、「恋愛禁制」。
恋愛ご法度、色恋は禁止、というとんでもない法律にまつわる、はなはだバカバカしい内容のオペラ。
序曲だけは、いくつかCDになっているけれど、全曲盤は正規には、このサヴァリッシュ盤が唯一。
前作「妖精」のあとすぐにとりかかり、1836年に完成された。ワーグナー23歳の若さ。
シェークスピアの「尺には尺を」という戯曲に基づいて、ワーグナー自身が台本を書いたもので、イタリアのパレルモを舞台にした完全な喜劇作品。
毎度深刻なワーグナーらしからぬ、陽気でイタリアーンな雰囲気の音楽。
カスタネットやトライアングルが鳴りまくるその序曲を初めて聴いたとき、なんじゃこれ??的な思いになった。
全曲は、全2幕、2時間30分、CD3枚の大作で、そのすべてが序曲的なハチャムチャイメージではなく、随所に後年のワーグナーらしい響きが聴き取れるのがうれしい。
後年、ワーグナーはこのオペラを「若気のいたりで、恥ずかしい」と言ったとされるが、イタリアオペラやフランスグランドオペラの影響下にあった、前作「妖精」よりも、ずっと進化しているように感じる。
登場人物
総督フリードリヒ 国王外遊中で、王代行を務める。恋愛禁止令を発布した人物。
若い貴族ルツィオ 禁制に怒る人物。イザベラと恋仲になる。
〃 クラウディオ ルツィオの友人。イザベラの兄で、禁制に触れ逮捕される。
〃 アントニーノ 〃
〃 アンジェロ 〃
イザベラ 両親を亡くし、修道院に入ったが、兄逮捕の報を受け兄を救いに。
マリヤナ 修道院で一緒になったイザベラの幼馴染。フードリヒのかつての恋人。
ブリゲラ フリードリヒの手先の衛兵隊長
ドーレッラ 女給で、のちイザベラの待女
ポンティオ 給仕で、のち看守
ダニエリ 居酒屋の店主
フリードリヒ:ヘルマン・プライ ルツィオ:ウォルフガンク・ファッスラー
クラウディオ:ローベルト・シュンク アントニーノ:フリドーリヒ・レンツ
アンジェロ :キース・エンゲン イザベラ:ザビーネ・ハース
マリヤナ :パメラ・コバーン ブリゲッラ:アルフレッド・キューン
ドーレッラ :マリアンネ・ジーベル ポンティオ:ヘルマン・ザペル
ダニエリ :ライムント・グリュンバッハ
ウォルフガンク・サヴァリッシュ指揮 バイエルン国立歌劇場管弦楽団
バイエルン国立歌劇場合唱団
演出:ジャン・ピエール・ポネル
(83.7.9 ミュンヘン)
第1幕
第1場
パレルモの歓楽街で、兵士たちが酒場や遊郭を壊していて、中から若い貴族たちが逃げ出してくる。店主と給仕、女給がブリゲッラに逮捕されて出てくる。
皆でくってかかるが、総督フリードリヒが出した遊興歓楽姦淫禁止令を読み上げられ、唖然とする。そこへ、クラウディオが、恋人と一緒に寝たばかりに逮捕され、死刑を求告されるとして引ったてられてきて、皆で彼を救う手立てはないかと考える。
第2場
修道院の中。クラウディオの妹イザベラと3年ぶりに会った幼馴染のマリヤナ。
マリヤナは、かつて貧乏なドイツ人と密かに結婚していたが、彼が王に認められ出世してしまった、それが今のフリードリヒ、と語る。
そこへ、ルツィオが、兄逮捕&死刑の報をもってやってくる。しかし、ルツィオはイザベラに一目惚れして、求婚するが、今はそれどころじゃないと、イザベラは皆で出てゆく。
第3場
法廷。ポンティオに追放令が出て、ドーレッラに禁酒法違反の罪を問うたところで、アントーニオが現れ、せめて謝肉祭だけは許可して欲しいと誓願するが、フリードリヒは嘆願書を破り捨てる。
次いでクラウディオの審理に入るが、若気の過ちという本人の主張を退け、死刑を宣告。
そこへ、イザベラが登場して、お願いの筋これありで、人払いを頼む。
イザベラはフリードリヒに、ただ一人の肉親の兄を助けて欲しいと訴えるが、フリードリヒは頑として受け入れない。怒ったイザベラは、恋をしたこともない男だ、と蔑む。
一方、フリードリヒは、イザベラの美貌に目がくらみ、兄の味わった快楽を共に分かち合うなら許してつかわそう・・・。と言うものだからイザベラは怒るが、マリヤナを身代わりにしようというアイデアが浮かび、密会を約束する。
第2幕
第1場
牢獄の中庭。クラウディオのもとにイザベラが訪れ、兄の命乞いをしたら貞操を求められたと話すと、兄は怒り狂うが、でも生きていたいからそうしたら、と妹に言うのでイザベラもこれには怒る。
そして、フリードリヒとマリヤナに、仮装して謝肉祭に来るようにとの手紙をしたため、ドーレッラに託す。
そこへ、ルツィオがやってきて、首尾を聞きイザベラは守ると言い、彼女を喜ばせる。
看守になったポンティオを買収して、兄に出る令状を真っ先にイザベラに渡すようにさせ、準備は整う。
第2場
フリードリヒの部屋。連絡を心待ちにする心情を歌いつつ、待ちに待った手紙がやってきて、カーニバルに出かければ、イザベラに会えると喜ぶ。
でも法は曲げられない。兄クラウディオの放免状でなく、死刑執行書を書き、自分も今宵、同じ運命になるどろうが構わないと歌う。
ブリゲッラとドーレッラが現れ、二人して仮装して出かけようと示し合わせる。ふたりは急接近したのだ。(この場面は語り)
第3場
パレルモの街の目抜き通り。人々は禁制を破って謝肉祭に浮かれ騒いでいる。
そこへプリゲッラが現れ、謝肉祭は禁止だ、と叫ぶので、人々は不承不承立ち去る。
ブリゲッラはさっそく仮装して、ドーレッラを探しにゆく。
イザベラとマリヤナが現れ、マリヤナを励まし、イザベラは去り、マリヤナも期待を胸にした歌を歌い去る。
仮装したフリードヒがそわそわと現れ、それと知ったルツィオにかわかわれる。
そこへ、マリアナが合図を送り、フリードリヒはそそくさと付いてゆく。ルツィオはイザベラだと思っているから、これを追いかけようとするが、運悪くドーレッラがやってきて、ブリゲッラと勘違いしてこれを離さない。しかたがなく、接吻をしてごまかし走り去るルツィオ。
これを見ていたイザベラはショックを受ける。まったくややこしい。
そこへ、死刑執行の書面が届き、これを見たイザベラは怒り、ルツィオに復讐を頼むが、ルツィオはすっかり誤解しているので乗り気でない。
そこへ、一組の男女が捕えられてくる。
仮面を取れば、男はフリードリヒ、女は自らをその妻と名乗る。
イザベラは、これまでのいきさつを洗いざらい話し、フリドーリヒが嘘をついたと詰るが、フリードリヒは自分を死刑にしろと開き直る。
そこで、人々は恋愛禁制の法律は破り捨てたから無効だ、と言ってフリードリヒを許す。
クラウディオも登場し、ルツィオもイザベラに謝罪し、修道院に帰ろうとするイザベラは、皆に止められ、かわりにルツィオの胸に飛び込む。
そのとき、国王帰国の知らせが入り、王を迎えようと謝肉祭は大いに盛り上がる。
以上が概略あらすじである。音楽の友・別冊の「ワーグナーとリング」を参照させていただきました。
こんな内容をざっと頭において聴けば、なかなかによく書けていて面白いオペラなのである。
主役は総督フリードリヒ。この筋からしたら、まったくの悪代官で、「お主も悪よのう~」とか、襖の奥にはお布団が引いてあって、アレ~っのシーンに登場してしまうようなタイプ。
でも、それは逆に人間らしい欲をもった側面であり、フリードリヒを覆っているのは、頑迷で融通の効かない思いこみの激しい性格。
これはある意味、滑稽でもあり、そうした意味では、後のマイスタージンガーのベックメッサーを思わせる。
だから、この役柄は、ヘルマン・プライ、その人をおいてほかに見当たらないくらいにピッタリなんだ。同じ頃、ベックメッサーで新境地を開き、さらにはヴォツェックにも挑戦する予定だったが、この録音の5年後、88年に59歳の若さで亡くなってしまった。
何度も書くけど、ルチア・ポップとともに、プライの早世は歌の世界の最大の損失だ。
第2幕2場における、フリードリヒの独白は、ワーグナーがバリトンに与えた数々の名モノローグに匹敵する素晴らしいもので、欲望に揺れ動く心境と厳格な法の番人として死を決してしまう心情が歌いこめられていて、プライのよく通る美声と躍動感、その圧倒的な説得力ある歌唱に惚れぼれとしてしまう。
もう一人の主役が、イザベラ。獅子奮迅の大活躍ぶりは、自己犠牲は伴わないけれど、舞台を引っ張る強靭なソプラノ。一方で軽やかさも必要だから難しい役柄。
ミュンヘンを中心にワーグナーやシュトラウスの主役を歌い続けたザビーネ・ハース、日本にもやってきているし、おなじみだけど、音源が少ない。「影のない女」くらいかも。
やや音程にブレがあるけれど、すっきりとしたとてもきれいな声で、重々しい一時代前の歌唱と異なる。
サヴァリッシュとのトリスタンなど、音源化してもらえないだろうか。
二人の若い貴族はテノール。ファッスラーとシュンク。
二人とも声がでかく、どちらも立派なヘルデンテナーだけれど、ここでは軽めのノリの役柄。これまたちゃんとした録音が少ない二人が残念。
真面目でかわいらしいマリヤナのコバーン、ほかのオモシロ・コミカル役の歌手たち。
いずれも当時ミュンヘンやバイロイトで活躍し、その名を目にした人たちばかり。
こうした万全の布陣で、ポネルがどんな演出を付けたのか大いに気になるところ。
この年、ワーグナーの没後100年を記念してその全作品を指揮したサヴァリッシュ。
その精力的な活動と意志の強さ、ワーグナーにかける情熱には誰しも頭が下がったはずだ。この後、シュトラウスのオペラも全曲上演してしまったサヴァリッシュ。
やはり劇場運営に疲れてしまったのか、フィラデルフィアでコンサート指揮者に専念することとなってゆく。
それはともかく、ここで聴くオーケストラの積極的かつ有機的な響きは、この珍しいオペラをまったく自分たちの音楽として易々と演奏しているように聴こえる。
序曲と最後のカーニバルの場面が、まるで打楽器協奏曲のようで派手ハデしいけれど、それ以外はかなり真っ当で、明るいながらもしっかりワーグナーしている面白いオペラであります。
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