ドレスデンのブルックナー7番
有名なブロムシュテットとドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ)のブルックナーの7番を始めて聴きました。ようやく手にしたCDは某中古有名オフ店。よくある、百科事典的シリーズに編纂されたうちの1枚。新品で250円。しかもゴールドディスクなのだ。
ジャケットもオリジナルの美しさには劣るが、曲想を捉えていて悪くない。そして、録音がまたドレスデンのルカ教会の響きを見事に再現してくれる出来栄え。 肝心の演奏も全く素晴らしい。曲が始まるとドイツの深い森から優しい妖精が微笑みかけるかのような、まろやかな音に満たされ、思わず目をつぶってしまい、耳を、心を澄ましてしまう。中でも、第2楽章、第二主題の極めて美しい歌。この演奏は当然の成り行きとして、シンバルは鳴りません。終始ゆとりを保ちながら、曲は進められ、バランス的にあっけない、終楽章も大きな呼吸をもってエンディングを迎える。こんな美しいブルックナーも充分ありだな、と強く思う次第でして、ヴァントやマタチッチが厳しすぎたり、鷹揚すぎたり感じたら、このコンビのブルックナーは清涼剤のように感じるでありましょう。
N響でのブロムシュテットはもっとストイックだから、ドレスデンとの理想の組合せのなせる技なのです。同じドレスデンのヨッフムやシノーポリは未聴です。ハイティンクとのCDRを入手したので、楽しみにしています。
ブロムシュテットは、ゲヴァントハウスを辞めたあと、どこへ行くんでしょう。特定のポストには着かないでしょうが、ドレスデンやコンセルトヘボウ、ウィーンあたりでまた活躍して欲しいものです。
ドレスデンの方も理想のハイティンクが任期半ばで辞任してしまい、昨年の来日でのブル8を泣いて感動しただけに、残念でなりません。ドレスデンは、ケンペ、スウィトナー、ザンデルリンク、ブロムシュテット、若杉、デイヴィス、ハイティンクといったオケと相性の良い的確な選択をしてきた一方、一風変わった演奏家を招く傾向をもっています。シノーポリ、ビシュコフ、チョンなど、個性ある指揮者達がそうです。長い伝統に縛られない柔軟さがこのオーケストラを古色蒼然としたものでないフレッシュな存在に保っているんでしょうね。
次期主席のファビオ・ルイージが大いに楽しみです。オペラもオケも、ドイツものも、イタリア・フランスものもこなす異色の指揮者ですから。
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コメント
おはようございます。
これ、愛聴盤なんです。
無理をさせずに自然な息づかいで流れるブルックナーでした。DENONの録音も最高ですね。
SKDとブロムシュテット、この組み合わせは良かったですね。DENONに録音したブルックナーの2枚とモーツァルト、R・シュトラウスはホンマに素晴らしい名演でしたし、ドイツ・シャルプラッテンで録ったベートーヴェン全集も滋味溢れる名盤だなぁと思います。
ロマンティックでTBさせていただきます。
投稿: mozart1889 | 2005年12月 9日 (金) 06時32分
コメントありがとうございます。ホント繰り返し聴きたくなる、すてきな演奏です。4番も未聴ですのでさっそく手当てしなくては、あとシュトラウスもです。
投稿: yokochan | 2005年12月 9日 (金) 23時35分