シェーンベルク「ペレアスとメリザンド」 バルビローリ指揮
バルビローリは1970年、大阪万博の年にニュー・フィルハーモニア管と初来日する予定であったが、来日を待たずに急逝してしまった。
代役で来日し、NHKで放送されたが、記憶がない。マーラーをやるはずだったらしいが、本当に残念なことだった。
そのニュー・フィルハーモニアとの68年頃(?)の録音で、シェーンベルクの初期作品、交響詩「ペレアスとメリザンド」を聴く。
この作品は、「浄夜」や「グレの歌」と同じく、後期ロマン派風の爛熟したロマンティックな作品で、ライトモティーフが使用され、かなりドラマティックであると共に、濃い美しさを持っている。決して親しみやすくはないが、表現の幅が豊かでないとうるさいだけで終わってしまう。
メーテルランクの作品にどのように対応しているか、音楽を聴いているだけでは良くわからない。でもこの雄弁な音楽に身をゆだねているだけでよいと思う。
その点、バルビローリは美しい部分は思い切り歌いに歌って、破綻ぎりぎりまで情熱をこめていてユニークな演奏を行っている。これぞ「バルビ節」というのだろうか、うなり声も随所に聞かれこっちも熱くなってしまうことしばしである。名盤シベリウスの全集と似たような雰囲気といえる。オーケストラも弦がうまく、なかなか豪華な響きをかもし出している。
カップリングのR・シュトラウス「メタモルフォーゼン」も同様な演奏で、最後の方で響く「エロイカ」の葬送行進曲がこんなにも美しく鳴る演奏を知らない。
それにしても濃密なる曲である。CDラックには「ベーム」「シノーポリ」「ブーレーズ」「エッシェンバッハ」などが並んでいて、結構好きなのである。FMでエアチェックした「アバド」も素敵な演奏だった。敢えて「カラヤン」を聴かない訳ではないが、様子がわかってしまうから、あまりにもピタリすぎるから、なのである。
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