キース・ジャレット「ケルン・コンサート」
趣向を変えてキース・ジャレットの「ケルン・コンサート」を聴く。ジャズであって、クラシックでもない、微妙な領域のピアノ・ソロによるインプロビゼーション=即興曲なのだ。
1975年ケルンのオペラ・ハウスでの60分に渡る演奏会ライブ。
こうした演奏を前に、何をどう語ったらいいかわからない。ひとつはジャズというものに対し、言葉にできないものを感じることと、キースが思い、指先から紡ぎ出す音楽に対し、凡人がどうのこうの言う余地が全くない、ということから。
全体は3部からなり、CMなどで使われたパートⅠがやはり素晴らしい。メロディアスであると同時にかなりの即興性に満ちており、キースの歌声や足踏みも生々しいばかりか、音楽の一部となっている。それにしても彼の弾くピアノの可能性といったらない。
我々クラシック・ファンからしたら録音もふくめて、ペダルの多用から生じる響きの豊かさが水っぽいと感じてしまうかもしれない。でも虚心に聴けば、ひとりの人間の「心の叫び」と言ったようなものが聴き取れるはずだ。
私は数年ぶりに聴いて、グールドの弾くバッハ、それもゴールドベルクを思い出してしまった。
同世代の「チック・コリア」がもっと先鋭なのに較べ、キースはやや古典(クラシック)に顔を向けた人だ。バッハやモーツァルトも盛んに演奏していた。
ああ、こうした音楽は「酒」がすすむ。
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