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2006年2月11日 (土)

ベートーヴェン 三重協奏曲

beetohoven_triple 1969年、ベルリン・フィルのDG録音の本拠地イエス・キリスト教会に、当時、ソ連という固いヴェールに包まれながら、それぞれの楽器の最高峰の名手であったリヒテル・オイストラフ・ロストロポーヴィチの3人が集まった。
指揮するは、帝王カラヤン。DGはEMIの申出を快く受け、カラヤンとベルリン・フィル、録音会場を提供した。
そんな歴史的な出来事があった。1970年というベートーヴェンの生誕200年の記念の年もにらんでのことだ。当時はクラシック聴き始めで、何でもベートーヴェン・カラヤン・長島・卵焼きであったけれども、さすがにこの訳のわからない曲には手がでなかった。
 しかも、日本では契約の関係で、ソ連のレーベル「新世界」から出たため、かなり地味であった。写真は発売の予約チラシで、この正月に実家の机の中から探し出したもの。

beethoven_triple2 そんなイワクのあった音源も、今は普通にEMIから、しかも廉価盤で購入できる。さらに、同時期に録音された、オイストラフ・ロストロポーヴィチ・セル/クリーヴランドのブラームスの二重協奏曲までが付いてしまう。
つくづく時代を感じるわけだ。
作品番号は56だから、「英雄」の次にあたるが、あれほどの才気やボリューム感は全く見当たらず、3つの楽器をわざわざ使うまでもないと感じる協奏曲だ。バランスがとりにくい組合せなのだ。どれかひとつが目立つ訳でもなく、3つの楽器が同時にバリバリと鳴るわけでもない。オーケストラも然り。要はこんな凄い顔ぶれで真剣に勝負する作品ではないということ。だから、このメンバーは以外や楽しく、リラックスして演奏している。時にオーケストラが立派すぎるくらいで、3人のソロはお互いを聴きあいながらそれぞれが突出しないように演奏している。 写真の楽しそうな様子が物語っている。(レコ芸の切り抜きです)
作品にケチをつけるわけではなく、ベートーヴェンらしい若やいだ雰囲気が溢れているし、2楽章などは大変美しく、短いながら聴き惚れてしまった。

この作品は、こんなすごい名手を集めずに、ハイティンクがボザール・トリオとやったように、普通の室内楽トリオと地味にやったほうがよいのだろう。
レコード会社としては、名手をごっそり集めたくなるのだろう、かつて、「アラウ・シェリング・シュタルケル」なんてのもあった。(指揮は若くて毛のあったインバル)
また「バレンボイム弾き語りで、ズッカーマン・デュプレ」も企画されながらデュプレの死により実現しなかったこともあった。
ともあれ、音楽不況の今から見ると、うらやましい時代だった。そんな演奏である。

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コメント

こんにちは。
予約のチラシ、かすかに思い出せるようで、
「本当にいい曲なんだろうか?」
「やはり、そうでないとこれだけの演奏家が揃って演奏しないでしょう」
こんな会話を店員と交わした記憶があります。
カラヤンの巧さが表れた一枚、第1楽章終りのエコーなど、上手な味付けも巧いように思いますね。
その点、インバル指揮の方はもっとストレートで自然なのかな・・・。

投稿: | 2006年2月11日 (土) 09時14分

丘さん、コメントありがとうございます。おっしゃるとおり、カラヤンの付けは旨いですよね。地味な曲ですが、今回数回聴いてみて、ピアノにベートーヴェンらしさがすごく出ていて好ましく思いました。実演で聴くとどうなんでしょうね、舞台が大変そうですが。

投稿: yokochan | 2006年2月11日 (土) 09時54分

どこかで、後の時代になってからコンチェルトグロッソを意識して作った作品でうまく実現できたものはない、と読んだことがあります。言えているかもしれませんね。
ところでロスロトの風貌はこのチラシで見ても特に今と変わらないことに驚きました。

投稿: リベラ33 | 2006年2月11日 (土) 11時32分

リベラさん、こんばんは。確かにこうした形式の作品の名作は、なかなかにないですよね。
ロストロおじさんは、唯一の存命者ですが、全く変化してません。早くからあの頭だったのです。あの頭以外の写真を見たことがありませんです。ある意味うらやましいです。

投稿: yokochan | 2006年2月11日 (土) 22時49分

ベナズエラの指揮者ドウダメルの三重協奏曲を聴いた。チェロとピアンのバイオリンの掛け合いが素晴らしい曲である。専門家の評価は良くないようですが、すばらいい曲の一つであると思います。名曲紹介でなぜ上がらないのか不思議に思うのですが、

投稿: | 2012年6月 3日 (日) 17時02分

読み人知らずさん、コメントどうもありがとうございます。
ドゥダメルの指揮した演奏もあるのですね。
最近、この曲はとんと演奏も録音もないように思います。
ピアノトリオの協奏曲として異例の存在ですが、この2楽章などは、ベートーヴェンらしい清々しい桂曲だと思います。
実演で聴いたら、さぞ楽しいものと思います。

投稿: yokochan | 2012年6月 4日 (月) 00時18分

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