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2006年3月11日 (土)

ベートーヴェン 交響曲第7番・第8番 プレヴィン

Previn_beethoven78 今日のプレヴィンは、ベートーヴェン交響曲第7番第8番
米ピッバーグ響の音楽監督を辞めた後は、イギリスに復帰。
何とロイヤル・フィルの音楽監督となった。これは当時びっくりだった。
ロンドンの5大オーケストラは、互いにライヴァル関係にあり、ロンドン響とあれだけ蜜月だったプレヴィンが他のロンドンのオケの指揮者になったものだから。 
そんな心配はともかく、ロンドンのオケとの相性は抜群。得意のV・ウィリアムズやエルガー、惑星も再録音するなど、極めて充実した活動を展開した。同時期、次回聴くロスアンジェルス・フィルも引き受けていたし、ウィーンでも相思相愛の活躍ぶりで、プレヴィンが一番輝いていた時期かもしれない。

そのプレヴィンが古巣RCAにベートーヴェン全曲を録音している。たしか、第3だけが間があいてしまい、ロンドン響との録音になったが、ロイヤル・フィル時代のすばらしい果実である。(はず?)しかし、国内でも外盤でも入手は困難で、唯一、今晩の7・8番だけが私のライブラリーにある。

彼の個性からすると、偶数番号がいいはず。8番はゆったりとしたテンポで、このとらえ難い曲を明るく楽しく演奏している。しかし軽薄感はなく、この中途半端に思われる短い交響曲が極めて存在意義をもって感じられる。それはプレヴィンが譜面を思い切り信じて既成概念なく指揮しているからだろうし、ロイヤル・フィルというベートーヴェンに対してニュートラルなオーケストラがとてもいい方向に左右していると思う。

 メインの7番も、思いがけない立派な演奏だ。出だしの和音からして、充分に各楽器を弾き切らした響きで早くも硬派でない雰囲気。序奏部ではゆったりと主題を準備するが、主部が始まると緩やかな進行ながら、リズムははじけている。このあたりがプレヴィンの真髄。
2楽章は美しい。この楽章に美しいという言葉は似合わないかもしれないが、弦と管の橋渡しのやりとりが絶妙でそう思わせる。
そして3楽章は一転早いテンポで極めて爽快。終楽章はテンポはインテンポでじっくりだが、その迫力たるやこれまでの春の陽気が何だったのかと思わせるような音楽で、ティンパニの強打、音を割るようなホルン・・思い切りやっている。
 終わってみると「のほほん」とは聴いていられない以外な力演になっている。
ブラインドで聴いたら、プレヴィンとわからない演奏だ。他の番号も是非聴いてみたい。
意外性がある時期なだけに、案外渋くまとまっているかもしれない。

アックスと組んだピアノ協奏曲は全曲CD化されている様子だが、交響曲全集を是非復刻していただきたいもの。(それにしても、このCDジャケットは廉価盤ということを抜きにしても趣味悪すぎて堪らない)

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