ベルク ヴァイオリン協奏曲
昨日のことになるが、調べ物で「国会図書館」に行った。国会議事堂のとなりにある日本一の国営図書館である。民主党の本部も横にあり、メール事件の陳謝があるということで周辺は報道陣がごった返していた。メールが贋作ならば、それを作成した人は罪に問われないのだろうか?「バカだなぁ」と思いつつ、帰りは「永田町」から「新橋」まで歩くことにした。国会の会期中ということで、議員会館の周辺は黒塗りの車がうじゃうじゃひしめいている。おばさんのアナウンスで車を玄関に配車したりしている。「先生方」を乗せた高級車がスーっと静かに走っている。バツチをつけた見たような「女議員」も肩を切らせて歩いている。「報道マン」も脚立とカメラを持って走っている。警備の「おまわりさん」もごまんといて、歩いている一般人たる私をさっと品定めしている。
この半径1キロ?足らずの日本の政治の中枢にひしめく人々は、電車代を節約して歩いている男とは明らかに異次元に住まう人々だ。日々行われるこうした茶番を思いつつ、また「バカだなぁ」と一言。
「新橋」にたどり着き、雑多な街を眺め、同類達を認めて何故かホッとした次第。
前置きが長くなったが、今日は大好きな「ベルクのヴァイオリン協奏曲」を聴く。春がやや近づいてくると、この曲や「ヴォツェック」を聴きたくなる。
狂気の中に甘味な物を感じるからだろうか。夜に沈丁花の香りが漂ったりする、そんなイメージをベルクの音楽に持っている。
「ある天使の思い出に」という副題があり、アルマ・マーラーの娘が少女にして亡くなり、その死を悼んで書いた曲である。当のベルクもこの作曲後、若くして亡くなってしまい、正にベルクのレクイエムともいえる作品。
1楽章は、ワルツを思わせるような優しくも甘味な音楽。2楽章は、厳しい和音が病魔を思わせ、ヴァイオリンの壮絶なカデンツァが緊迫感を呼ぶ。そうした激しい展開を経て、後半にはバッハのコラールが印象的に奏でられ、天国を思わせる雰囲気で終わる。
ややつらい部分もあるが、最後は浄化されるようで、心に沁みていく名曲と思う。
数種類を愛聴しているが、今日は「シェリングとクーベリック、バイエルン放送響」の68年DG盤を取り出した。シェリングの端正なヴァイオリンはこの曲にぴったりだ。もちろんコラールの襟を正すような弾き方のすばらしさは類を見ない。クーベリックの指揮もシェリングの同調して万全。オペラテックな雰囲気さえ漂う。オーケストラがやや明るい色調なのもミュンヘンならでは。録音にもう少し芯が欲しいところだが、カップリングのシェーンベルクも嬉しくすてきな一枚である。
| 固定リンク
コメント
連投失礼いたします。
私は新ウィーン楽派で一度躓いたことがあります。中三のときにカラヤン&ベルリンフィルのシェーンベルク作曲管弦楽のための変奏曲を聴いたのですが、全く理解できずチンプンカンプンだったときです。思い込みの激しい私は、自分には無調や十二音音楽なんて理解できないのだろうと思っていました。それが高一の時、N響アワーでベルクのヴァイオリン協奏曲を聴き、苦手意識が消し飛んでしまいました。十二音音楽ってこんなに甘味で美しいものだったのかと思いました。ソロはN響のコンサートマスターだったあの男っぷりのいい方(名前が思い出せません・・・)でした。ビデオに録画して何度も楽しんだものです。新ウィーン楽派は怖くないことを私に教えてくれたのはこのヴァイオリン協奏曲とアバドのLD「ヴォツェック」です。この協奏曲のCDはシェリングのものとクレーメルのものを持っています。オケはどちらもバイエルン放送響です。私はシェリングの方が好きです。
シェーンベルクの無調・十二音作品には未だに分からないものもあります。例えば「ヤコブの梯子」や「モーゼとアロン」。このCDにカップリングされているシェーンベルクのピアノやヴァイオリンの協奏曲も未だによく分からないのです。管弦楽のための変奏曲は、カラヤン、メータ、ブーレーズ&シカゴなどで聴いてすっかり好きになりましたが。特にブーレーズ盤は聴いていて胸がすく想いがします。
本当にクラヲタと言うのは好きな曲や演奏家や作曲家について語りだすと止まらなくなるものですね(笑)。
投稿: 越後のオックス | 2009年8月11日 (火) 17時57分
越後のオックスさま、毎度どうも。
N響のコンマスは、堀さんです。多分、スウィトナーの指揮した演奏ではないかと思います。
わたしもビデオ持ってます。
この協奏曲は、フェチ曲のひとつで、かなりの音盤をそろえてまして、何度聴いても飽きません(笑)
私のヴァイオリン協奏曲のフェチ曲は近現代ものが多くて、エルガー、ディーリアス、ベルク、コルンゴルド、バーバーと、こんな感じです。
シェーンベルクの協奏曲では、このシェリングにアモイヤル(ブーレーズ)がいいですよ。
いやはや好きな世界はたまりませんね。
投稿: yokochan | 2009年8月11日 (火) 23時26分