ラプソディー・イン・ブルー&惑星 プレヴィン
y プレヴィン・ウィーク、時代をたどりつつ、今日はEMI時代のロンドン響との黄金コンビの最も代表的演奏をふたつ。これらが、カップリングされたCDが外盤にあり何の関係もない作品ながら、「ザ・プレヴィン」といってもよい名演だ。
画像は75年頃の来日時のもの。こんな赤シマ・シャツが似合うプレヴィン。こうした弾きぶりで聴かせるガーシュインこそ他の追随を許さぬ世界だ。バーンスタインの方が、ジャジーな感じなのが面白いが、プレヴィンはここでも真面目な中にキリリとした清潔感をもって「ラプソディー・イン・ブルー」を演奏している。バーンスタインは彼の演奏を味わう感があり、このプレヴィンはガーシュインの作品を楽しむの感はある。オーケストラがまた巧いものだ。後年のピッバークSOよりフレキシブルで、各奏者が味わいに満ちている。
「惑星」は70年代、メータがカラヤン以来のスペキュトラーとして録音芸術作品としてとらえ、ブームに火を付けた。以降バーンスタイン、ハイティンク、プレヴィン、ボールト、オーマンディ、小沢、ショルティ、マリナー等々が続いた。(デジタル時代を除く)
演奏の傾向として、ロンドンの楽団とアメリカの楽団とでニュアンスが違うように思う。ホルストはこの曲ばかりが有名で、そのほかの滋味溢れるイングリッシュ・カントリー風の作風に満ちた桂曲はまったく聴かれない。
そうした作曲家の一面を感じさせるのが英国楽団のもので、プレヴィンとロンドン響のものはそうした典型で、火星のダイナミックな響きより、金星や土星のしみじみした部分に味わい深い演奏を聴かせてくれる。昨今有名になってしまった「ジュピター」は以外にも早いテンポで思い入れなくさらっと聴かせる。これでいいのだ。人によっては、メリハリが少なく、柔なイメージを持つかもしれないが、英国音楽のカテゴリーとしてのこの作品の一面は、ノーブルかつ神秘的な天体の優しさを描いた部分だと思われ、このプレヴィン盤はそうした一面を見事にとらえ切っている。ベルリン・フィルやシカゴの高性能オケをもってしても得られない演奏ではないかと思う。
さらに言うと、ロンドン・フィルのくすんだ響きのほうがピッタリくる、ハイティンクやボールトの演奏だ。
そして、コンセルトヘボウのマリナー盤も渋くて銀色に光る夜空を思わせる。
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コメント
プレヴィン、いいですねェ。私も結構好きですよ。1970年前後でしたかロンドンSOと来日の際の映像を今でも憶えていますがマッシュルーム・カットでの指揮姿が記憶にあります。カッコいい指揮者の1人ですよね。何と言ってもV.ウィリアムズと言う作曲家とラフマニノフの交響曲第2番を世に認知させた功績は偉大というしかありません。
投稿: einsatz | 2006年3月 9日 (木) 02時16分
こんばんは。そういえば、プレヴィンってビートルズエイジですよね。同時期にロンドンだし。
ラフマニノフの2番は永遠の名演です。自身もあのロンドン響のEMI録音を越えられないのではないのでしょうか。
投稿: yokochan | 2006年3月10日 (金) 23時11分