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2006年3月 8日 (水)

ヴォーン=ウィリアムズ 「海の交響曲」 プレヴィン

Previn_v プレヴィンの演奏を現夫人の伴奏、室内楽のピアノと聴いてきた。こうなれば、しばらくプレヴィン特集とでもいこう。
 古い順に、まずはRCAに残したヴォーン・ウィリアムズの交響曲全曲から、第1番「海の交響曲」を取り出す。画像はある年代以上にとって強烈な印象を与えたレコ芸の広告を実家から探し出してきたもの。
 これを見ていた時はまだ中学生くらいだった。「V・ウィリアムズって誰だろう、海ってどんな曲だろう?」という興味ばかりで、有名曲ばかりをむさぼるように聴いていた自分には縁のないレコードだった。
その後、長じてこのレコードが「南極交響曲」や「アルプス交響曲(ケンペRPO)」と共にすばらしいジャケットで夏の3部作みたいにして廉価盤ででた時に入手して、初めて聴いた。

アメリカの自然詩人ステュワート・ホイットマンの詩をテキストにした、合唱付き交響曲は、全編「歌」で歌詞を理解しつつ聴くことはなかなか至難の業だ。
「すべての海、すべての船によせる歌」「ただ一人夜の浜辺に立って」「スケルツォ 波」「冒険者たち」の4つの楽章からなる。だいたいこの題のイメージ通りの曲想。

音楽だけに耳をすませば、多彩な作風を誇るこの作曲家らしく、エキゾチックな和音や強烈なフォルテ、美しく抒情的な部分などが次々に現れて飽くことがない。

冒頭楽章などは、海にこぎ出す威勢のいい様子が高揚感を覚えさせるし、2楽章は一転、夜の浜辺で星を見ながら宇宙や未来に思いをはせる内省的な音楽である。
3楽章はまさにスケルツォ。船のあとから、しぶきをあげる波の様子を歌っている。

終楽章は全曲の半分もある長大なもの。静かに印象深く始まり、熱い中間部を経て静かに
夕日のなか遠く外洋に船影が消えてゆくかのように感動的に終わる。
”インドへの旅”という非常に象徴的な原作で、なかなかに深い内容である。
 長いが一部を引用してみる。

「アジアの園からくだり、アダムとイヴが、その多くの子孫達が現れる。さまよい、慕い、絶えず模索し、疑問を抱き、挫折し、混沌として、興奮し、いつも不幸な心を持ち、”どうして満たされない心は、おお偽りの人生はどこに?”」

「行け、おお魂よ、ただちに錨をあげよ!・・・・向こう見ずな、おお魂よ、私はお前と、お前は私と一緒に探検する。・・・われわれは水夫もまだ行こうとしなかったところにむかい、船も、われわれ自身も、すべてを賭ける。・・・おおわが勇敢な魂よ!おお遠く船を進めよ!」

こんな歌詞にピタリとくる音楽を付けてしまうところがすごい。今回久しぶりで歌詞と首っ引きで聴いたが、本当に感動した!なんだか、明日からやる気が出ちゃったような。

プレヴィンとロンドン響は、真面目にがっぷりと曲に挑んでいる。リズムは弾んでいるが、全然浮ついたところがなく、録音時30台半ばだったのに、いつものプレヴィンがそこにいる。やさいい眼差しと音楽を解かりやすく聴かせる姿勢。合唱、独唱の英国コンビ(ハーパーとS・クワーク)も万全で、当時のRCAのロンドン録音の優秀さも未だに色あせていない。

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コメント

こんにちは。
TBさせていただきましたのでコメントを。
プレヴィン盤て、もしかしてLP盤ジャケットでは「海」!!って大きく習字文字で書いてなかったでしたっけ?(「南極」!!LP盤は所有)
プレヴィン盤は歌手が名歌手ぞろいでよいですね。ハンドリー盤と新旧ボールト盤とサージェント盤を持ってるので、なかなかプレヴィンまでは・・・。でも聴いてみたいです。

投稿: naoping | 2007年1月 6日 (土) 12時33分

naopingさん、こんばんは。
そうです。習字の金文字「海」です。確か有名な人によるものですよ。
プレヴィン盤は録音も良く、わかりやすい演奏です。
好きな指揮者ハンドリーはまだ持ってませんし、サージェント盤なんてあるんですね。後者は聴いてみたいです。
私は、トムソン、ハイティンク、ボールトです。次はスラトキンを狙ってます。

投稿: yokochan | 2007年1月 6日 (土) 21時45分

 英国音楽初心者の越後のオックスです。
米文豪ホイットマンのフルネームはウォルト(ウォルター)・ホイットマンではないでしょうか?間違っていたら申し訳ありません。
私はプレヴィンの全集を入手することができず、アンドリュー・デイヴィス指揮の全集でRVWの交響曲にただいま挑戦中です。海の交響曲は、名曲だとは聞いていましたが、これほどの傑作だったのかと驚いています。マーラーの千人やショスタコのバビヤールよりも好きになってしまいそうです。特にヘンデルのオラトリオとプッチーニのオペラを英国風に味付けしたような冒頭楽章は最高ですね。聴けば聴くほど好きになりそうな交響曲です。仕事中に主な旋律を(小さな声で)口ずさんで自分を元気づけたりしています。
 ホイットマンの詩は何故か私は苦手です。RVWがこの曲のために選んだ詩は悪くないと思いますが…米文学の白眉と言ったらやはりエドガー・ポーだと思います。ボードレールやヘルダーリンなみの天才詩人にして推理小説と近代的な短篇小説の創始者。創元推理文庫から出ているポー全集はどなたにも自身を持ってお薦めできる素晴らしいものです。

投稿: 越後のオックス | 2008年12月 5日 (金) 00時58分

越後のオックスさま、こんばんは。コメント遅くなりました。
ありゃ、ステュワートじゃなくて、ウォルターですねぇ。
なんでだろ?歳のせいか思い込みが過ぎてしまうようです。
RVWの9曲のうち、1番はその壮大さとロマン性にかけては随一です。おっしゃるように、素晴らしい旋律の宝庫でもあり、何か元気づけられる点でも素敵な曲です。
 私は詩や文学にはどうも疎いのですが、ディーリアスをはじめ英国作曲家はホットマンがお好きだったようです。
まともに、ポーは読んだことがありませんので、お勧めにしたがい、こちらも挑戦です。
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2008年12月 7日 (日) 23時18分

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R・ヴォーン=ウィリアムズ:海の交響曲(交響曲第1番)ジョーン・ロジャース(ソ [続きを読む]

受信: 2007年1月 6日 (土) 12時00分

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