ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界から」 ケルテス
陽気に誘われ「新世界」を晴ればれと聴く。名曲中の名曲は年中OKだ。
「運命」「未完成」「新世界」はかつてクラシック入門3大シンフォニーだった。私の世代での、「巨人」「大鵬」「卵焼き」に匹敵するクラシック界の名曲。もちろん今は、後者のトリオは見る影もない。
私も、ご多分にもれず、「新世界」でデビューしたひとり。ケルテス/ウィーン・フィルのロンドン・レーベルのレコードが、親にねだって初めて手にしたレコード。
ちなみに、「カラヤンの田園」と2枚買ってもらった。
カラヤンはともかく、よくケルテスなんぞ知らない指揮者のレコードを選んだものだ。田舎のレコード屋だから、選択肢がなかったのかもしれないし、ジャケットの鮮烈さから選んだのかもしれない。当時(小学生)の私に演奏の良し悪しなど無縁で、音楽そのものだけを純粋に楽しんでいた時代なのだ。今思えば、何とうらやましい。初々しい感性が懐かしい。
こんなことを、思い起こさせてくれる演奏がこのケルテスの新世界なのだ。 今CD化されたもので聴いても、実に新鮮なのだ。ものすごいやる気をともなった若きケルテスにウィーン・フィルがまともに応えている。小さなディスクによくこんな、はちきれんばかりの音楽がなみなみと入っているものだ、と感心してしまう。生々しいティンパニ、懐かしい響きのオーボエやフルート、ツヤツヤしたチェロやビオラ。歌いまくるヴァイオリン・・・・。一音一音に音楽する気持ちがみなぎっていて聴いていて、気持ちよくなってしまう。
私の思い入れがある1枚だけに、聴く側がのめり込んでしまっていけないが、2楽章のラルゴなどはもう涙ものの演奏。すべての楽器が郷愁に濡れている。私の心もすべての思い出を掻き立てられるようで、平常でなくなる・・・・。
今月のレコ芸でも絶賛さえていたこの演奏。多くの人の思いは同じと思う次第。
テルアビブの海岸で水泳中に波にのまれて亡くなって、早や30年。
もし今存命だったら、という思いはいまだに残る人だ。確か、クリーヴランドの指揮者になっていたはずだし、ウィーンでもオペラがやれる人だったから・・・・と、思いは尽きない。
名曲・名演・名録音、ついでに自分的にはオリジナル・ジャケットではないものの、名ジャケットと言っておこう。
| 固定リンク
コメント
おおっ、このジャケット懐かしいですねェ。確かウィーンPOの来日記念盤ですよ。さすが同年代、話が合います(笑)たしかにケルテスはオペラも絶品です。モーツァルトの「ティトゥス」は今でもこれを超えるものはありません。
投稿: einsatz | 2006年3月26日 (日) 01時23分
そうです。ウィーン・フィルのシリーズで68年の発売です。豪華見開きジャケットで4ページ付き。うれしいような、悲しいような同年代ですな(笑)ティトゥスはケルテスが長く唯一の音源でしたね。渋いですが良いオペラです。
投稿: yokochan | 2006年3月26日 (日) 12時22分
コメントいただきありがとうございました。
「新世界より」について書かれていましたので、嬉しくなりTBさせていただきました。
ケルテス/VPOのの同曲の演奏は、僕としてはノイマンと対をなす名演として、愛聴しております。VPOデビューであのような凄みのある演奏をしてしまうのですから、現在存命であったら、明らかに世界の楽壇に君臨する巨匠になっていたと思います。初出時のジャケットは初めて拝見いたしました。是非とも初出時のジャケットで再発を希望したいものです。
投稿: ♭hide | 2006年3月26日 (日) 16時15分
yokochanさん、おはようございます。
TBをありがとうございました。
ケルテス/VPOの「新世界」は今も色褪せない新鮮な演奏、知性と感情の高度な融合、いやホンマに永遠の名盤ですね。
yokochanさんのレコード・ジャケットも懐かしいですね。昔、よく中古盤屋で見かけました。
投稿: mozart1889 | 2007年1月21日 (日) 05時21分
mozart1889さん、こんばんは。
永遠の名演!まさにそうですね。いくつになっても聴き続けていきたい曲と演奏であります。
豪華見開きジャケットが懐かしいです。
投稿: yokochan | 2007年1月21日 (日) 23時03分
ケルテスの「新世界」は36年前最初に手にしたクラシックレコード中の1枚なんですが最近下記のソフトを発見し、現在注文中です。
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/eslp10002/index.html
LP時代の愛聴盤をもう一度ぜひ新品の状態で聴いてみたいという願いがかなうのですから、これほどうれしいことはありません。
投稿: てつや | 2009年5月 7日 (木) 15時04分
てつやさま、こんばんは。コメントありがとうございます。
ご紹介のジャケットがオリジナルですね。
私は、数えたら私は40年前の購入のジャケットで、ウィーンフィルのシリーズとして編まれたものです。
重量感あるレコードと豪華なジャケットは、今でも満足感あふれるものですが、傷だらけでとうてい聴けるものではありません。
>LP時代の愛聴盤をもう一度ぜひ新品の状態で聴いてみたいという願いがかなうのですから、これほどうれしいことはありません。<
私もこのお話を拝見してむずむずしてきました。
当時、初めて針を降ろした瞬間をいまだに覚えているものですから!
投稿: yokochan | 2009年5月 8日 (金) 00時49分
アナログLP盤「新世界」入手できました。
購入先のオーディオ・ショールームのメイン・システムで試聴させてもらったのですが、機器の存在を感じないほど自然で心地よい音でした。
半世紀前にこれほどの音質で録音されていたことに唖然とするばかりです。
投稿: てつや | 2009年5月 9日 (土) 12時42分
てつやさま、こんにちは。
ついに入手されましたか。
先ごろのカイルベルトのリングや、ショルティのリングともども、デッカの当時の録音チームは素晴らしいですね。
新宿のお店、拝見しました!!
今度、是非とも、お伺いしたいと存じます。
投稿: yokochan | 2009年5月 9日 (土) 14時33分