チャイコフスキー 交響曲第4番 プレヴィン
本日のプレヴィン。 ロンドン響を辞めた後は、アメリカに帰り70年代後半からピッツバーグ響の音楽監督となった。ヨーロッパでの足場はロンドンからウィーンに移している。今日はピッツバークとの少ない録音のなかから、チャイコフスキーの4番の交響曲を聴く。EMIからフィリップスにも録音するようになり音楽のイメージが変わりつつあった時期でもある。
EMI録音がすべて悪いわけではないが、フィリップスに移っての録音は、さわやかさ・すっきり感はそのままに、音に深みと重厚さが加わった。
プレヴィンの指揮もロンドンを離れ、表現の幅を増し、個性を増したように感じる。ドイツ的な音色を持つピッバーク響の影響もあろうが、焦らず・急がず、じっくりと演奏している。
人によっては、もったりとし過ぎでないか、との向きもあるかもしれない。しかし、ここに鳴る音楽はプレヴィンが感じたチャイコフスキーの抒情とメロディー・メーカーとしての旋律美の表出の見事な結晶なのだ。
カラヤンの巧さやバーンスタインの情熱、ムラヴィンスキーの透徹感、そうしたものとは全く無縁のプレヴィンのチャイコフスキー。陰影がなさ過ぎてチョットものたりない思いでいると、終楽章のコーダにいたって最高潮の盛り上がりを見せて、「やったぁ」で終わる仕組みになっている。なかなかに驚きの名演であるのだ。
80年頃の録音で、おそらくいい音で有名なハインツ・ホール。あのケチャップのハインツがピッツバーグの有力企業であり、スポンサーなのだ。このオケはかつてはライナーが鍛え、プレヴィンの前任がドイツの重鎮スタインバークで、プレヴィン後はマゼールにヤンソンスという具合に、実に恵まれた指揮者陣なのである。しかし今は監督不在で、調べたところでは、A・デイヴィスとP・トゥルトゥリエ、そしてヤノフスキの3人体制を敷いている模様。ヤノフスキとは面白い。スタインバークの息子は出る幕ないんだろう。
プレヴィンとの録音では、シベリウスやマーラーの交響曲があるはずであり、CD化が切に望まれる。
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