モーツァルト ピアノ協奏曲第24番・第17番 プレヴィン
年代を追ってのプレヴィン・シリーズ、最終段階は英米を往復する中にも、ずっと良好な相思相愛の関係を築いていた「ウィーン・フィル」の登場だ。
プレヴィンの持つ柔軟で暖かな音楽性とウィーン・フィルは抜群の相性の良さだ。このコンビの演奏は多々あるが、モーツァルトはR・シュトラウスと並んで燦然と輝く名演奏であろう。
ピアノの弾き語りによるこのCDは、ハ短調とト長調の個性の異なる2曲を収めている。
プレヴィンはこの2曲を得意にしていて、かつて「ボールトとロンドン響」をバックにピアニストとしてEMIに録音している。
この素晴らしいCDを前にどんな言葉で表現していいかわからない。モーツァルトの音楽そのものが、短調と長調の2面性が、プレヴィンの体からにじみ出るように表現されている。
ハ短調の24番は、シンフォニックで時としてやるせなくなる音楽だが、プレヴィンのピアノは重くならずに、透明な抒情をもってオーケストラと共に演奏している。2楽章の静謐さなどは涙の溢れるような音楽となっている。
ト長調の17番は、私の大好きな曲だ。かつてバーンスタインがロンドン響のザルツブルク・ライブで弾き語りし、この曲にはまった。あれほどの奔放さはないが、プレヴィンの優美で楽しい雰囲気はバーンスタインにはないものだ。ここでも短調と長調の交錯する2楽章の緩徐楽章が素晴らしい。3楽章はパパゲーノを思わせる「鳥たちのさえずり」の音楽だ。ウィーン・フィルの管の魅力が満載で、プレヴィンのピアノはウィーンの響きのあいだを縫うように飛び回る。本当に幸せな気分に浸らせてくれる音楽であり演奏だ。私にとってピリスとアバドと並んで大好きな演奏だ。
今日は月曜日とあって、1日気分が乗らなかった。おまけに帰宅時間に人身事故の影響で電車のダイヤが乱れ、大変な混雑だった。ついで言うと、ここ1~2年人身事故だらけ。社会は綻びを見せているのに、これでも景気は回復というのか!そんなモヤモヤを今日ばかりは吹き飛ばしてくれた「爽やかモーツァルト」でありました。
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コメント
おおっ、ちょうど今日このディスクの話をお客さんとしたところです。グッド・タイミングですね。プレヴィンのモーツァルトはいいですよね。先日、海賊盤でVPOとの「リンツ」を聴きましたがまさにエレガントな演奏でした。そういえば過去にVPOとの交響曲全集の計画があったんですよね。立ち消えになって本当に残念!
投稿: einsatz | 2006年3月14日 (火) 01時02分
そうですか! やっぱりこの演奏のファンは多いんですね。ウィーンフィルとのモーツァルトはやはり残してほしかったですねえ。
投稿: yokochan | 2006年3月14日 (火) 12時45分