ベルク ヴァイオリン協奏曲 ブラッヒャー&アバド
ベルクのヴァイオリン協奏曲は、拙ブログでも2度目の登場。(3月2日)ただでさえ好きな曲に、遂にアバド盤が登場したためだ。新ウィーン楽派を大得意にするアバドがいつこの協奏曲を誰と録音するか?ずっと気になっていたが、今回2003年9月のライブで、ベルリン・フィルの元コンサートマスター、コリン・ブラッヒャーのソロ、マーラー・チェンバー・オケで録音された。
正直、「あれっ」という思いで、本当はクレーメルかムローヴァのヴァイオリンで聴きたかった。
そして、早速の新盤はどうかといと、コンサート・マスター何て肩書きを気にしてた自分を恥じなくてはならない見事なものだった。ライブ録音の按配もあろうが、生々しい音で、音楽の持つ真剣なリアリティーを冷静に掴んでいる。この人の場合、ルツェルンのコンサートマスターもつとめているので、アバドと音楽の表現に関し完全に意見の一致を見ての演奏であろうから、室内管をあえて起用したアバドの精緻なアプローチと表裏一体と化している。
少女で亡くなったアルマ・マーラーの娘の死を悼んで書かれたこの曲、期せずして早世ベルクの「白鳥の歌」ともなってしまった。そんな因縁めいた作品を「マーラーやベルクの使徒」アバドは切なくも甘く、切実感をもって演奏している。本当の欲を言うと、ウィーン・フィルとムジークフェラインで・・・・・。しかし、最後のバッハのコラールの部分の展開をともなったエンディングは、息を呑むような緊迫感と甘やかな抒情に満ちている。
カップリングのストラヴィンスキーは、かつてのパールマン/小沢と同じだ。
新古典主義の時代の作風は4楽章構成で、楽しくも抒情的な協奏曲。ヴァイオリンの技巧はかなり高度で、随所に目を見張るような難しいパッセージがちばめられている。
ブラッヒャーのソロはここでも万全で、すいすいと軽々と弾きわけていて気持ちがよい。そればかりか、静かな部分での暖かみの表出などは、百戦練磨の経験がモノを言っているかのよう。
アバドの指揮も、ロンドン時代を思わせる軽やかで透明感に満ちたストラヴィンスキーを難なく描いていて、若い軽やかなオーケストラとともに文句なしだ。
またもや、現れたベルクの協奏曲。この作品の呪縛は私には解けそうにない。
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