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2006年4月10日 (月)

ベートーヴェン 交響曲第9番 デイヴィス

Davis_no9 週明け月曜日は曇天で寒かった。天気は西から下り坂で、大雨の予報も出ていてちょっと極端な天候が恨めしい。この湿った天気はしばらく続くらしく、春らしい陽気はいったいどこへ。
昨日は、凄惨なヴェリズモオペラをみたこともあり、かつ陰湿な天気を吹き飛ばすような人間味に満ちた音楽を・・・、と思い第9を取出した。

こうした名曲は、年末でなくても年中聴いて楽しめる。CD時代になってからはなおさら。
男デイヴィスのベートーヴェンはドレスデンでの全曲録音が有名だが、生憎と聴いたことがない。ロンドンでの活躍時代、BBCやロンドン響で全曲を目指したが、第9は録音されなかった。バイエルン放送響主席時代に、数多くの合唱付き音楽を手掛けたうちの1枚がこの第9である。85年ミュンヘンでの録音。

私はデイヴィスは以外と聴いているようで聴いていない。シベリウスとエルガーとベルリオーズぐらいのものか。この第9の演奏、まずはテンポ設定がおもしろい。
全体は70分という堂々たるものだが、ゆったりと重々しく感じられるのは1楽章と2楽章で、かなり深刻に音楽を受け止めじっくりと腰をすえた演奏を聴かせている。
ところが、3楽章はすっきりした速めのテンポで歌うように進められる。この美しい楽章がこれほどしなやかに暖かく演奏されるのは本当に嬉しい。ミュンヘンのオーケストラの暖色系の音色も大きく作用している。肝心の終楽章も快適なテンポで運ばれる。独唱が入ってくるとさらにテンポの良さは際立ってくる。ソロはソプラノのドナート(素敵な声だ!!)を除くと、皆ワーグナー歌いで、やや立派すぎ。バスバリトンのエステスなどまるでオランダ人のように聴こえる。歌手の人選はもう少し軽めでよかったのかも。

 全体に重心は低いのだが、その上に築かれるピラミッド状の弦や管の音色が良く磨かれているうえ、前述のとおりの南ドイツ風の暖かさがあるものだから、音楽は以外なほどに透明で見通しが良い。終結部も過度に熱くならずにしっかりと音を刻みつつ終わる。
なかなかに音楽的な第9であった。機会あればドレスデン盤も聴いてみたいもの。

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