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2006年4月14日 (金)

ワーグナー 「パルシファル」第3幕 エッシェンバッハ

Echenbach この写真は貴重な髪の毛ありヴァージョンの指揮者エッシェンバッハ。
70年代に都響に来演したときのもの。
 今日は、多くの日本人には何のこともない金曜日だが、キリスト教社会においては、イエスが十字架に架けられた「聖金曜日」にあたり、欧米では復活祭週間(イースター)の長いお休みがある。

ワーグナーの最後の大作は、舞台神聖祭典劇と自ら名付けたように、聖金曜日に起きる奇跡の物語でもある。この「パルシファル」の物語を採用する前までは、仏陀の物語も検討していたらしい。もしそちらが作曲されていたら・・・。考えるだけで楽しい。
かなり性格のよろしくなかったワーグナーが、宗教的人間とはなかなか思えない。おそらく救済という思想における宗教のひとつとして「キリスト教」を取り上げたにすぎないのかもしれない。そういう意味では、今バイロイトで行われている不快な「シュルゲンジーフの演出」がアフリカの土着信仰に置換えてしまっていることも意味あることかもしれない。

エッシェンバッハは、かつて1年だけバイロイトに登場し、「パルシファル」を指揮した。1年で降りてしまった経緯は不明だが、その年はNHKでも「パルシファル」だけ何故か放送されず、頭にきた私はNHKに抗議したものだ。
 エッシェンバッハがワーグナーをレパートリーにして行くだろうことは予測していただけに、残念なことだった。その渇を癒してくれるのが、海賊盤ながらこの演奏会形式の3幕ライブなのである。
       アンフォルタス:アルベルト・ドーメン
       グルネマンツ  :ルネ・パーペ
       パルシファル  :ステュワート・スケルトン
       北ドイツ放送交響楽団/合唱団ほか  2004年4月録音

約80分をかけたゆったりとした演奏であるが、弛緩せず、マーラーでも演奏するかのように、一音一音入念に描いている。最近純粋ドイツ人でもスッキリ系ワーグナーを演奏する人が多いなか、これだけ特徴的なワーグナーを聴かせるのも珍しい。同じ系統のティーレマンはもっと重心が低くく、軸足は少し過去にあるが、このエッシェンバッハはもう少し軽く、劇場にしがらみのない自由な雰囲気がある。
こうしたワーグナーはあまりお目にかかれないだけに、大変おもしろく聴けた。
聖金曜日の音楽は、目のつんだ美しい陶酔的な演奏になっている。
 歌手は、すばらしい。まずは、ドーメンのアンフォルタスがいい。苦悩の滲むような切実なアンフォルタスとなった。パーペのグルネマンツは美声で惚れ惚れとしてしまう。欲をいえば、声が若すぎる。もう少し人生に疲れてほしいところか。
売り出し中のオーストラリア出身ヘルデンのスケルトンのパルシファルは、素材良くいい声の持主と見たが、やや音程が揺れて微妙。

日本でこの時期に「パルシファル」が上演されるようになればいいのに。
自慢じゃないが、最後に私の「パルシファル」体験を披露・・・。
①ウィーン国立歌劇場来日上演(ホルライザー、コロ) ②ベルリン国立歌劇場演奏会形式(バレンボイム、マイアー) ③読響上演(アルブレヒト、モル、グルントハーパー、エルミング) ④東京シティ・フィル上演(飯守) ⑤N響3幕(シュタイン)・・・・。

 

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コメント

エッシェンバッハは都響に客演したことがあったのですか・・・。初めて知りました。
フサフサ&指揮姿。
確かにレアですねぇ。

投稿: リベラ33 | 2006年4月15日 (土) 08時57分

都響で第5と英雄をやったはずです。(確か?)前髪あたりが張り付いたようになっているあたりが、後世を予見させますな。他人事ではありまんが・・・。

投稿: yokochan | 2006年4月15日 (土) 21時01分

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