ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 アバド
連休明けから関東は梅雨のような天候で、極めて鬱陶しい。こういう週の中日には、名曲中の名曲が聴きたくなる。
と、いうことで、「田園交響楽」を。古今の名曲は数あれど、いやというほど聴いても、「ほんとーに、いい曲だぁ」と思わせる曲の筆頭にくるのではなかろうか? ついでに交響曲に限って言うと「新世界」「ブラームス1番」「未完成」「悲愴」なんていうところか。
そんな、名曲を名曲らしく聴かせる演奏は、名盤の誉れ高い「ワルター」や「ベーム」だが、わたし的には、「アバド/ウィーン・フィル」も同列の名盤なのだ。
86年の録音で、当時、国立歌劇場音楽監督としても65年以来の相思相愛状態だったコンビだけに、どこまでがアバドで、どこまでがウィーン・フィルなのかわからないくらい一体化している。おまけに、ムジーク・フェラインの柔らかな音響をまともにとらえた素晴らしい録音も、このコンビの特質に寄与して余りあるものがある。
ゆったりと終始進む1楽章は繰返しも丹念におこない、ほのぼのとしたムードを充分にかもしだしている。心もち速めの2楽章ではあるが、ウィーンの森に響く鳥達のさえずりを見事に聴かせてくれる。3・4楽章のスケルツォ的な楽章も極めて明晰で楽しい。この明晰で強靭な歌いぶりが当時のアバドの持ち味で、デビュー当時とはけた違いに表現力が増していて、オーケストラも心から賛同してアバドに付いていっている様子がわかる。
終楽章の心を開いた、思い切り深呼吸をしたような伸びやかな雰囲気はまた格別だ。
われわれがこの曲に期待する最大公約数的な雰囲気を、指揮者とオーケストラの蜜月の雰囲気でもって、普通に演ってみせた、という名曲・名演奏。
数年後のベーレンラーター版、ベルリン・フィル演奏は、またかなり違った「田園交響楽」になっている。
| 固定リンク
コメント
田園はベートーヴェンの交響曲の中で一番好きな曲で、初めて買ったのはエーリッヒ・クライバー/コンセルトヘボウでした。
アバドの全集持っていますがしばらくベートーヴェンから遠ざかっていましたので久しぶりに聴いてみます。
投稿: びーぐる | 2006年5月19日 (金) 18時17分
アバド/VPOの田園は、大好きな演奏です。
第1楽章のあのゆったり感が良いですね。あれだけゆっくりと歌ってくれると心が穏やかになります。最後まで歌のある名演。終楽章など、感謝の気持ちでボクは一杯になります。
投稿: mozart1889 | 2006年5月19日 (金) 19時15分
びーぐるさん、こんばんは。私もこうして久しぶりに聴いてみて心から感激しました。いい曲・いい演奏・いい録音でありました。
投稿: yokochan | 2006年5月20日 (土) 00時11分
mozart1889さん、こんばんは。TBありがとうございました。さすが、しっかりと取り上げられてますね。おっしゃるように、ゆったりと始まる1楽章から歌満載の演奏ですね。オペラを聴くような気持ちも味わえ、このコンビの再会を願ってやみませんです。
投稿: yokochan | 2006年5月20日 (土) 00時25分