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2006年5月 2日 (火)

R=コルサコフ 「シェエラザード」 ハイティンク 

Haitink_scherazade

ハイティンクのシカゴ響主席のニュースに興奮してしまった。
昔から朴訥なまじめ人間のハイティンクが好きで、風貌も変わらないままに、ステップ・アップして指揮界の頂点を極めて行く様を見守ってきた。

演奏家から見たら、自我を通さずオーケストラの持ち味と同体化して、一緒に音楽を築き上げるタイプのハイティンクは、受けが良いはずである。
しかも、独・襖系にめっぽう強い。英仏音楽、オペラもOK、ということで、気が付いたらマルチ指揮者だったのだ。

そのハイティンクが72年に、ロンドン・フィルと録音した「シェエラザード」。
レコードが出た当時はまったく無視された演奏。

70年代、ハイティンクはコンセルトヘボウとは交響曲のレパートリーを、ロンドン・フィルとはオーケストラ曲をそれぞれの手兵で使い分けて録音していた。ロンドンのオケでも一番くすんだ音色で渋かったロンドン・フィルとの相性は抜群で、この「シェエラザード」もいぶし銀のような音色に満ちている。
 ゆったりとビロードのような落ち着いたサウンドは、3楽章の「若い王子と王女」の弦楽セクションにおいて顕著となる。後にニュー・ヨークPOのコンサートマスターにもなった「ロドニー・フレンド」のヴァイオリンがオーケストラと同質のしっとりサウンドで華を添えている。
ここに聴かれる音楽は、この曲の華麗さや迫力とは、やや距離をおいたもので、人によっては面白くもなんともない、ということになる。
私は、音色に気を配りながらも、こんな真面目演奏で揺るぎないところが好きなのである。
こつこつと大成してゆく、じっくり型がついに世界でひっぱりだこの巨星になった。

 ハイティンクの略史
     1929       アムステルダム生まれ
     1961~1987 コンセルトヘボウ主席(音楽監督)
     1967~1979 ロンドン・フィル主席(芸術監督)
     1977~     グライドボーン音楽祭音楽監督
     1987~2002 コヴェントガーデン歌劇場 音楽監督
     2002~2005 ドレスデン・シュターツカペレ主席指揮者
     2007年~    シカゴ交響楽団 主席指揮者

 

               ボストン交響楽団 主席客演指揮者
     常連指揮者    ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ロンドン響 
               フランス国立管、バイエルン放送響、パリ管

Heitink2 

 




69年(?)のハイティンク来日時の記念パンフレット。
見かけはいまも一緒なところが・・・・・。    

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コメント

いつの時代も見た目の変わらないハイティンク。今でも若いというべきか、昔から老けてたというべきか・・・。
ハイティンクのフサフサの写真って見たことがありません。

投稿: リベラ33 | 2006年5月 3日 (水) 06時28分

おおっ、この「シェエラザード」のジャケットは懐かしい!yokochanさんのブログはいつも思い出深いジャケットが見れて楽しみです。ハイティンクについては中学生の頃だったかヨッフムとのW常任でコンセルトへボウと来日した時の映像を見ましたが当時はちょっと頼りなさそうな若手指揮者という印象でした(笑)

投稿: einsatz | 2006年5月 3日 (水) 12時32分

リベラさん、こんばんは。30台から60台までかわらない頭髪。うらやましい限りです。エッシェンバッハの急激な変貌ぶりは例外として、欧米人は若ハゲはそのままに、老熟していくのでしょうか。逆パターンとして、ブーレーズは、若い頃より中途・現在のほうが明らかに増えてます。ヅラの愛用を覚え、音楽性も変わったのではないかと・・・・。

投稿: yokochan | 2006年5月 4日 (木) 00時32分

einsatzさんこんばんは。懐かしいでしょ。あと同コンビの惑星のオリジナルがあればいいんですが。ロンドン・フィルとのベートーヴェン全集が最高でした。

投稿: yokochan | 2006年5月 4日 (木) 00時38分

ハイティンクももう77歳なんですねえ!それにしても、77歳で新たな出発とはすごいエネルギーです。(*^_^*)

投稿: びーぐる | 2006年5月 4日 (木) 08時34分

びーぐるさん、こんにちは。そうです。大曲が好きだし、すごいエネルギーですね。ともかく働きすぎに注意して長く活躍して欲しいものであります。

投稿: yokochan | 2006年5月 4日 (木) 11時56分

ハイティンクの「シェエラザード」は、冒頭部分はゆったりと始まる大人の音楽でしたね。あまり叫ばないしっとりと落ち着いた「シェエラザード」なので、世評は高くなかったんでしょうか・・・・ボクはハイティンクのこの演奏、好きです。
シカゴに行くそうで、楽しみです。ハイティンクが振っても、シカゴはガンガン鳴るんでしょうかね・・・・。聴いてみたいような聴くのが恐ろしいような、そんな気分です。

投稿: mozart1889 | 2006年5月 4日 (木) 16時54分

シカゴってガンガン鳴るのでしょうか?

投稿: びーぐる | 2006年5月 4日 (木) 23時29分

mozart1889さん、こんばんは。希望としては、マーラーをガンガンやらずに、しっとりとやって欲しいですね。マーラーよりはむしろベートーヴェンやブラームスの正調ロマン派をじっくりと取り上げて欲しいものです。

投稿: yokochan | 2006年5月 5日 (金) 00時42分

びーぐるさん、こんばんは。シカゴのイメージは確かにがんがんですよね。これまでのハイティンクとオーケストラの関係からいうと明らかにの違うオケだと思います。そこが音楽の面白いところで、私にも予想がつきませんが、以外やオケが変貌を遂げるかもしれませんです。はい。

投稿: yokochan | 2006年5月 5日 (金) 00時49分

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