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2006年5月26日 (金)

ワーグナー 作品集 リオバ・ブラウン&シュナイダー

Lioba_braun_1 今日は、ディーヴァ・シリーズ(何じゃそれ)のワーグナー。
昨年、タワレコで発見し、選曲の良さとペーター・シュナイダーの指揮ということで、即買いしたもの。主役の「リオバ・ブラウン」については、アバドの東京トリスタンでブランゲーネを演じていたな、程度の認識だった。

「ヴェーゼンドンクの五つの詩」
「パルシファル」(クンドリー)
「ヴァルキューレ」(ジークリンデ)
「神々の黄昏」(ヴァルトラウテ)
「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死

          
      ペーター・シュナイダー指揮 北ドイツ放送交響楽団

こんないい曲と演奏者なのである。
「ヴェーゼンドンク」はワーグナーの芸術を尊敬した、ヴェーゼンドンク夫人マチルデの詩に、マチルデに恋愛感情をもったワーグナーが作曲した連作歌曲で、「トリスタン」と同時期の作品だけに、旋律も先取りされて「トリスタン」的雰囲気に満ちている。
不倫はならなかったようだが、作品は「トリスタン」を親として生まれた(どっちが先?)
完全に夜の音楽で、ひっそりと静かに楽しむ曲だ。

Lioba_braun_b_1 何気に聴きだしたが、リオバ・ブラウンがいいのである!
レパートリーは、同じメゾの先輩「ヴァルトラウト・マイアー」とかぶるが、マイアーが硬質で強靭な声を持つのに較べ、ブラウンはもっとぬくもりを感じさせ女性的である。(我が藤村美穂子も同質か)
絶叫することなく、広い声域を細やかに駆使して歌われる「クンドリー」や「ヴァルトラウテ」は特に素晴らしい。そのゆたかな歌声に酔いしれていると1時間は、あっと言う間である。

待望のシュナイダーも万全。先般「ベン・ヘプナー」とのリングで絶賛した通り、ここでも劇場を知りぬいた雰囲気豊かな音楽が聴ける。いつものように速いテンポであるが、速いと感じさせないのは、聴かせるべきところは聴かせ、押さえるところはしっかり押さえているからである。ドイツ圏で最高のワーグナーを聞かせる一人であろう。
ケンペ、サヴァリッシュ、スウィトナー、シュタインといった叩き上げ指揮者の系統と言える。
今年、バイロイトで大植英次の後を受けて「トリスタン」を振るが、ここに聴く先触れの「前奏曲と愛の死」は濃密な雰囲気を出しながらもスッキリした名演である。

ヴェーゼンドンクに始まりトリスタンに終わる素敵な1枚であった。

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コメント

藤村美穂子系統といわれれば捨て置けないですねえ!例のDa Vinci cord読んだらすっかりクンドリー=マグダラのマリア説に取り憑かれてしまって・・・彼女のクンドリー、聴いてみたいです。

投稿: guuchokipanten | 2006年5月27日 (土) 16時03分

こんばんは。Da Vincicordはいつか読もうと思っているうちに映画化されてしまい、さらに機会を失しました。そうですか、クンドリーは二面性があるので、なるほどですな。藤村さんのクンドリーは私も待ってます。

投稿: yokochan | 2006年5月27日 (土) 22時20分

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