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2006年5月27日 (土)

プッチーニ オーケストラ作品集 シャイー

Chailly_puccini またまた雨の一日。こんな涼しい日でもJRは盛んに冷房を入れてくれて、本日の電車は極めて寒かった。本当に、天気もJRも融通がきかない。

今日は、ネットでミネソタ管弦楽団の定期のライブを聴けた。何と演奏会形式のプッチーニ「トスカ」全曲だった。指揮は音楽監督のオスモ・ヴァンスカ、トスカはデボラ・ヴォイト、カヴァラドッシはカール・タナーといった面々で、これがまたシンフォニックですこぶる面白かった。こんな精度の高いコンサートが始終行われているかと思うと羨ましい。解説者が、スカルピアのことを「bad guy」と言っていたのが愉快だ。

そこで今晩は、大好きなアルバムを取り出した。シャイーが82年に当時の手兵ベルリン放送響(現ベルリン・ドイツ響)を指揮したプッチーニ・アルバムである。
曲目は「交響的前奏曲」、「交響的奇想曲」、歌劇「ラ・ヴィリ」前奏曲、歌劇「エドガー」前奏曲、メヌエット3曲、歌劇「マノン・レスコー」間奏曲、「菊」以上である。

いずれもプッチーニらしい美しく、儚い旋律に満ちた桂曲で、オペラの一場面をも思わせる起伏にも富んでいる。こうして聴いてみると、プッチーニってオーケストレーションの名手だな、と思わせる。ヴェリスモの時代に生きたこともあって、俗な部分が嫌悪されるが、私は好きだ。時にいじらしく、時に情熱的に思い切り美しい旋律を惜しげもなく紡ぎだしている。

若いシャイーは、そんなプッチーニに溺れずに、カッチリとした音楽を聴かせている。
ここぞと歌いまくったり、大音響を思い切り鳴らしたりすることもない、自然な運びである。
同郷の先輩、ジュリーニやアバドがプッチーニを見向きもせず、ムーティもヴェルディ派とあって、貴重な指揮者である。将来はスカラ座に・・・・。
オーケストラがドイツのものとは思えないくらい、軽やかで精妙に響くのもシャイーゆえであろう。

あらゆるオペラの管弦楽作品の中で、ワーグナーと並んで好きな曲が「マノン・レスコー」の間奏曲である。5分足らずの曲に、感傷と情熱、諦念が詰まっている。シャィーのこの演奏は、これまで何度聴いたかわからない。
酒を飲んで酔って感傷に浸りたい時に、決まって聴く曲のうちのひとつなのだ。

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コメント

こんにちは。

シャイーはオペラに若い頃から取り組んでいるて、今では珍しい”叩き上げ”を経験している指揮者なんですよね。

彼の初めての来日でもプッチーニの「交響的前奏曲」を演奏していたのを思い出しました。

そうそう、彼こそは将来、スカラ座の音楽監督に就任する人物ですよね。今のライプツィヒの次は、そこを狙ってるのではないでしょうかね。

シャイーはFMライヴでたくさん放送されていたので、その頃からのファンなんです。結構珍しい曲も演奏したりしてね。エアチェックして全て記録してあります。懐かしいなあ。

それらを思い出せてくれて、ありがとうございました。シャイー、万歳!

投稿: miwaplan | 2006年5月28日 (日) 00時46分

こんばんは。最近シャイーの名前があまり出ませんね。私もかなりテープに残してますよ。ラフマニノフの交響曲なんてなかなかの熱演でした。もう少し暴れてもいい人だと思います。どうも老成しすぎる感があります。

投稿: yokochan | 2006年5月28日 (日) 01時28分

私はオペラが苦手なのでプッチーニはグロリア・ミサ一枚しか持っていませんが、
今日のを拝見すると管弦楽作品も気になります。

投稿: びーぐる | 2006年5月28日 (日) 13時16分

びーぐるさん、こんばんは。いいですよ、プッチーニは、無心に美しい旋律に耳を傾けるだけでOKです。ムーティとスカラ・フィルにも少し録音があります。

投稿: yokochan | 2006年5月28日 (日) 23時50分

yokochanさん、おはようございます。TBありがとうございました。
さすが、yokochanさん、すでにこの名演奏を取り上げていらしたんですね。見落としておりました。さすがです。
プッチーニのこれは隠れた名品。旋律良し管弦楽良し、美しい曲が続きます。いかにもプッチーニという作品群ですね。シャイーの軽やかな指揮ぶりも良いなぁと思います。
この正月に何度も聴き返していました。

投稿: mozart1889 | 2007年1月 6日 (土) 06時14分

mozart1889さん。コメントとTBありがとうございます。
このCDを聴くと、いかにプッチーニがメロディメーカーだったかわかりますよね。ドイツのオケとは思えない軽やかな音色です。
また聴きたくなりました。

投稿: yokochan | 2007年1月 6日 (土) 10時54分

 yokochan様お早うございます。今キツイ早朝勤務課から帰ってきたところです。
 このアルバムの存在自体は中学生のときから知っていました。でも当時の私は独逸墺太利ロシアの曲ばかり聴いていてイタリアの曲をロクに聴きもしないで「どうせ通俗で甘ったるいだけなんだろ?」と馬鹿にしていました。若気の至りで恥ずかしい限りです。
 DVDが普及してから急速にそれ以前よりもオペラに親しむようになりました。特にプッチーニに。メトやスカラ座の公演を映像つきで鑑賞し、どうしてこれほど魅力的な作曲家を聴きもしないで軽んじてきたのだろうと猛省しました。yokochan様絶賛のこのシャイー盤もつい最近購入してもう3回聴きました。ボエームの冒頭部分が何度も出てくる交響的奇想曲と感傷的な気分に思い切り浸れる菊がいいですね。このアルバムのおかげでマイナーオペラのヴィルリやエドガールに興味が出てきて今話題の激安20枚組プッチーニ全集を購入しました。
 yokochan様のエドガール講義が早く読みたいであります。

投稿: 越後のオックス | 2008年12月 1日 (月) 10時00分

越後のオックスさま、こんばんは。
このアルバムは、誰しも虜になる魅力を秘めてます。
オーケストラピースとしてみても最高の1枚です。
そして、ここで聴き知ったメロディが、実際にオペラで出てくると、そのオペラがますます近いものになってきます。
プッチーニは自作の引用をかなり行っている人ですから、歌曲も含めて、大いに楽しめます。

エドガール(私が若い頃は、エドガーでした)、はただいま準備中でございます。

投稿: yokochan | 2008年12月 2日 (火) 22時45分

プッチーニの若い頃の管弦楽曲集に、以前Eratoからシモーネ指揮モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団の盤が出ていたような、覚えがございます。これら若書きの作品から、一部がポピュラーな代表作に転用されていて、思わずニンマリするのもファンの特権ですね(笑)。『グローリア-ミサ』の終わりの方も、『マノン-レスコー』の第2幕に現れます。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年6月 5日 (水) 09時24分

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年末年始の休暇も終わりました。今日から仕事始めです。 だれた身体に生気を取り戻して、頑張りましょうかね。 この休暇では、プッチーニを沢山聴いてました。オペラはまとまった時間が取れないとなかなか聴けませんから。 その中から、今日はLP時代から愛聴している「シャイー・コンダクツ・プッチーニ」というアルバムです。 プッチーニ作曲の管弦楽曲集。 リッカルド・シャイー指揮ベルリン放送交響楽団の演奏。 1982年9月、ベルリンのイエス・キリスト教会でのデジタル録音。 ユニヴァーサルのオリジ... [続きを読む]

受信: 2007年1月 6日 (土) 06時09分

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