シューマン ピアノ協奏曲 ポリーニ&カラヤン
グリーグの協奏曲を聴いたから、片手落ちということもあり、初夏を思わせた本日は、シューマンの協奏曲を。
今晩は、ポリーニがカラヤンとウィーン・フィルと共演した74年のライブから。これは、私のカセット・エアチェック・ライブラリーからCDRに焼いたもの。私としては、この曲の演奏の最右翼に位置する演奏と思う。
二人のライブな感覚のぶつかり合い、猛烈に弾き込むポリーニにカラヤンが徐々に引き込まれてしまっている。冒頭、ウィーンのオーボエを甘くたっぷりと鳴らして、ロマンティツクに構えているカラヤンだが、ポリーニは明快で鋼鉄のようなタッチでバリバリと弾き進む。
ウィーン・フィルのクラリネットとオーボエは、本当に魅力的だ。こうした魅力にも増して、ポリーニの音色の明るさ、それは硬質でクリアーな明るさなのだ。2楽章のピアノとオーケストラの語り合いも、もやもやせず立ち止ることもない。カラヤンはかなり粘ろうとしているが、ポリーニは、どこ吹く風で、あっさりしたものである。
一転、終楽章はポリーニが前へ前へと進むものだから、カラヤンもついに熱くなって来て、オケもミスってもどうのこので、思い切り飛ばしている。最後の数分間の感興といったらない。音楽を楽しむ醍醐味はこういうところにあるものだ。
こんな一期一絵的な演奏が、ライブで行われ、放送にしょっちゅう乗っていた。最近のNHKの手抜きぶりには、あきれる。海外のネット・ラジオの充実ぶりとはまったく逆だ。
写真は、75年のポリーニ初来日の時の、夫人(たぶん)とのスナップ。若いねぇ。
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