ドビュッシー 「小組曲」 マルティノン指揮
「小組曲」はドビュッシー初期の作品で、ピアノ連弾用に作曲された。
これを、作曲者監修の元、友人で信奉者のアンリ・ビュッセルが小規模なオーケストラ用に編曲した。
後年の印象派の旗手としての作風はあまり感じられない。曖昧模糊とした雰囲気は全くなく、陽光が降り注ぐ幸せで明快でメローディアスな雰囲気に貫かれている。
4つの、それこそ小さな小品からなるが、「小舟にて」「行列」「メヌエット」「踊り」の各曲。
解説によれば、1・2曲はヴェルレーヌの詩集からイメージされ、3・4曲はその詩集のたどるところの、フランス・ブルボン朝の宮廷の様子からイメージしたものという。
こうして聴いてみると、そういえばそうかな、程度の雰囲気。
むしろ、後年進化していったドビュッシーの若書きの中に、印象派の兆しや、風景描写の中にフランスの陽光を聴き取ることのほうが楽しいかもしれない。
実際「小舟にて」のフルートの旋律「舟歌」は、ため息がでるほど素敵だ。
これを初めて聴いた高校生の頃、フルートなぞかじっていたものだから、楽譜を求めて練習したものだ。ついでに「牧神の午後・・・」も練習したが、こちらは一筋縄ではいかなかった。そんな思い出もあるこの第1曲目が、この作品の一番の聴き所、と思っている。
演奏は、ドビュッシー全集の定番、マルティノンとフランス国立放送管。
やや線がきつく感じるのは、EMIの録音のせいか。管楽器のノーブルな響きや、弦のキラキラした感じは、まさに「おフランス」の音。こんな音は今のフランスのオケには望むべくもない。だって、エッシェンバッハはともかく、クルト・マズイ(ア)だもの・・・・。
パイヤールやアンセルメの録音もあり、前者は録音してさんざん聴いた。
ピアノ版も「プチ組曲」という名が相応しい、洒落た音楽になっている。
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