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2006年6月10日 (土)

ショスタコーヴィチ 交響曲第13番「バービィ・ヤール」 オーマンディ

Ormandy_13 ショスタコーヴィチにはかつて問題作と言われた作品が多い。今でこそ何でもない。交響曲は4、9、13、15番等々、歌劇「ムツェンンスクのマクベス夫人」他、当時のソヴィエト体制を思えば、そりゃ問題だわな、的な作品を書き続けた。体制から非難を浴びると、即迎合したような作品を書き、またしばらくすると反抗的な作風に戻る。
この繰返しであったように見える。 がしかし、そうでもないところが、ショスタコーヴィチの一筋縄ではいかないところ。一見、迎合しながらも表は裏、裏は表といった意図をもって作曲していた、と例の「証言」の出現で明らかになった。というより、余計にわからなくなった。

まあ、あまり難しく考えずにそのユーモアや引用に満ちた大音響やクールな音楽を楽しめばよいと思っている。

とはいえ、この「バービィ・ヤール」は多少の歴史背景を認識して聴くべきかもしれない。
キエフ郊外の地「バービィ・ヤール」はドイツ軍侵攻で、ユダヤ人・ウクライナ人・ロシア人が大量に虐殺された地という。そして、ソヴィエトも戦後ユダヤ人を弾圧した。
この変わらぬユダヤ人圧制という暗部を詩にした「エフトゥシェンコ」の作品に曲をつけたのが、この作品である。
1962年、フルシチョフによる「雪解け」の間隙に作曲・初演されたが、詩は改定を余儀なくされ、その後数回演奏されただけで封印されてしまった。初演は、かの「コンドラシン」。

このいわくつき作品を西側初演したのが「オーマンディ」である。70年、大阪万博の年にフィラデルフィアで、初演し録音された。
私のような中年には、ついこの前なのだ。

オーマンディはシベリウスと同じように、ショスタコーヴィチとも親交があって、多くの西側初演とレコーディングを行った。フィラデルフィアとのコンビに想像されるような、華やかさは微塵もない。作品がいやでも暗く重々しいからかもしれないが、かなり切実な表現で、高性能のオーケストラがいやでも、暗さを隠し事なく隅々まで照らしだしている。
変な言い方だが、すべてがリアルに表わせられている感じ。
ただ、独唱の「トム・クラウセ」は立派だが、ちょっと歌いすぎでオペラティックに過ぎる。

全体は5部からなる。「バービィ・ヤール」「ユーモア」「商店で」「恐怖」「立身出世」
いずれも皮肉の効いた辛辣な詩に、切れば血の滲むような切実で、時に飄々とした音楽が付けられている。全曲にわたって、鐘が弔いのように何度も鳴る。そして最後は自虐的に、妙に明るいチェレスタを伴って静かに終わる。不可思議な思いに囚われる。

「ハイティンク」のCDがすばらしく思う。初演者「コンドラシン」とバイエルン放送響とのライブはFMで放送され、自家製CDRで大事に聴いてきた。実はこれが一番かもしれない。
最近CDとしても復活したので、お薦め。プレヴィンとヤンソンスも愛聴している。
 ムラヴィンスキーは絶対にやらない曲だった。

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コメント

これまだ未聴なんですよね。最近買うだけ買って聴かないディスクがどんどん増えていきます。
オーマンディはRCAにショスタコーヴィッチの全集を入れる予定だったのですが、ついに完成しませんでした。

投稿: リベラ33 | 2006年6月11日 (日) 07時11分

リベラさん、こんにちは。私も未聴であったものを開封しました。(14・15もありますが気乗りせず、まだ先かもしれません)そうですか、全集未完はかなり残念であります。今年はショスタコ・イヤーらしいですが、5番だらけでちょっとタコに辟易です。

投稿: yokochan | 2006年6月11日 (日) 10時50分

このディスク未だに聴いておりません(失笑)。
どーもショスタコには触手が伸びないのです・・・。

投稿: リベラ33 | 2008年11月12日 (水) 07時53分

リベラさん、毎度です。
オーマンディなのにお聴きじゃないとは、よほどタコさんがお好きじゃないのでしょうか?
私は、タコ好きネコ好きであります。

投稿: yokochan | 2008年11月12日 (水) 22時17分

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