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2006年6月 5日 (月)

モーツァルト ピアノ協奏曲第21番 グルダ&アバド

Gulda_abbado 梅雨がジワジワと近付く日本列島。的中率の極めて上がった天気予報も、前線の微妙な動きにはずれがち。今日は曇りがうれしい晴れになった。「I dont like Monday」だけど、ちょっと気分がよかった。

こんな晩に、気持ちいいモーツァルトを1枚。21番のハ長調の協奏曲は明るくも、美しい。天衣無為のグルダのピアノ、若いアバドとウィーン・フィルの名盤は、この曲の真髄を聴かせてくれる。カップリングの20番のニ短調も、ワルターの弾き語りと並ぶ名演と思う。

1楽章から楽しい雰囲気ながら、歌うところは存分に歌うグルダ。アバドの指揮するウィーン・フィルの清冽な響きも混じりけのない純正ウィーンの響き。
そして、絶美の2楽章。このレコードで初めて聴いた21番。高校生だった。まさに儚いまでに美しい。出だしのウィーンの弦がふるい付きたくなるように、楚々と有名な旋律を奏でる。このままどこまでも天国的に進むかと思うと、グルダのピアノがしっかりとした意思をもって付けてくる。ここでオーケストラも触発されたかのように、迫真の音を聴かせる。
3楽章は、オペラだ。弾んで、どこまでも笑顔に溢れている。ピアノ・指揮・オーケストラの三者が完全に息を合わせ一体となっている。後年グルダは、アバド君云々と発言していたが、そんなことは関係なしにもう1枚あるCDとともに、かけがえのないモーツァルトだ。
 ムジークフェラインの柔らかな音響をとらえた録音も今もって最高。(74年録音)
カデンツァはいずれもグルダ作によるもの。ベートーヴェン風なのがおもしろい。

それにしても、こうした長調の曲でも短調の陰りが時おり顔をのぞかせ、ハッとさせる。
モーツァルトの頭の中は、神のみぞ知る世界かもしれない。

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コメント

アバドはわりと協奏曲の録音が多いようですが、うまいですね。
いつでも、ソリストをうまく立てているように聴こえます。
私もこの盤を愛聴していますが、グルダの弾きっぷりは絶妙ですね。
真剣に遊んでいる姿が目に浮かぶようです。

投稿: 吉田 | 2006年6月 5日 (月) 23時28分

こんばんは。アバドはソリストからも受けが良いです。協調派だからでしょうね。グルダは真剣でいて茶目っ気があって、おもしろいオジサンでした。ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2006年6月 6日 (火) 00時36分

こんばんは。グルダの茶目っ気で思い出すことがあります。
グルダが作曲したピアノ協奏曲を確かFM放送で
聴いて、それをエア・チェックしたのです。
まさに茶目っ気たっぷり、豪華絢爛さもあって・・・悪く言うといろんな曲の旋律を継ぎ足したような感がなきにしもあらずでしたが・・・・とても面白い曲だった記憶があります。
多分ピアノはグルダ自身の演奏だったと想います。カセットテープだったら、探せば出てきそうです。

投稿: | 2006年6月 7日 (水) 20時18分

こんばんは。グルダのピアノ協奏曲は初耳であります。私もエア・チェック暦は長いですが、しっかり管理してなかった時期もあって、何か不安です。というか、そちらの整理に手をつけると「ビデオ・テープ」も気になるし、本来のCD試聴もおろそかになってしまい落ち着きません。困ったものです。いずれにしても、グルダの自演はレアものですね。ジャズの要素も入っていたのでしょうね。

投稿: yokochan | 2006年6月 8日 (木) 00時53分

>後年グルダは、アバド君云々と発言していたが、そんなことは関係なしにもう1枚あるCDとともに、かけがえのないモーツァルトだ。

グルダがつまらないと不満をもらしたのは25&27番の
カップリングのディスクで、こちらの20&21番の方は
満足の出来とのことでした。別にアバドを全面的に否定してたわけじゃないでしょう。

ちなみにアーノンクールはやりすぎ、アバドはしなさすぎとも述べてましたが、それでもその「やりすぎ」のアーノンクールとの23&26番には納得しているとも言ってた事も付け加えておきます。

投稿: ゆずひこ | 2009年9月12日 (土) 13時15分

ゆずひこさん、コメントありがとうございます。
なるほど、そうでしたか。当時の若いアバドには25・27より、20・21の方が合っていたのでしょうか。
本文にも書きましたが、この共演2枚はとても大切なものとなってます。

グルダにかかると、アーノンクールもかたなしですね。

投稿: yokochan | 2009年9月13日 (日) 10時11分

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