レスピーギ 「ローマの祭」 ヤンソンス
大阪ディープナイトの深遠を覗いてしまったため、音楽リハビリが必要だった。が、今日は吹奏楽部に所属する娘の定期演奏会があり、ビデオとカメラを持っていそいそと出かけていった。
若い学生諸君の吹奏楽は、静かな部分では破綻を来たしてしまうが、元気な曲は勢いで楽しく見事に聴かせてしまう。真摯で、懸命な演奏ぶりは我が子ながら胸を打つ。親ばかである。
そんなわけで、元気をもらった私はさらに威勢をつけようと、レスピーギの「ローマ三部作」を取り出した。音楽のバリエーションと壮大な盛上りから、どうしても「ローマの松」に人気はかたよりがちだ。
私はこの数年、ナイチンゲールの鳴く夜のローマにも引かれつつ、勇壮なローマ軍の行進よりは、朝靄の噴水やハチャムチャなカーニヴァルの方が気にいっている。
という訳で、「ローマの祭」をヤンソンスのオスロ・フィル時代の演奏で聴く。
①いきなり金管の大咆哮で始まる「チルリェンセス」はローマ時代の暴君の元にあった異次元ワールドの表出
②キリスト教社会が確立し、巡礼で人々はローマを目指し、ローマの街並を見出した巡礼者たちが喜びに沸く「五十年祭」
③ルネサンス期、人々は自由を謳歌し、リュートをかき鳴らし、歌に芸術に酔いしれる「十月祭」
④手回しオルガン、酒に酔った人々、けたたましい騒音とともに人々は熱狂する。キリストの降誕を祝う「主顕祭」はさながらレスピーギが現実として耳にした1928年頃の祭の様子
こんな按配で、実によく出来た作品なのである。
オーケストラの名技性も要求される作品ながら、オスロ・フィルはヤンソンスが鍛え上げなかなかのヴィルトーソぶりで安心して聴ける。ヤンソンスは表題ばかりにとらわれず、音楽的な必然性をもって洗練された演奏を聴かせてくれる。
最後のこれでもかという盛上りは実に楽しい。実演で一度聴いてみたいもの。
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