ルネ・フレミング The Beautiful Voice
アメリカ生まれの「ルネ・フレミング」のアリア集を聴く。
数年前に一度聴いただけ。久方振りに取り出して聴く気になったのは、このところ急激にスターダムにのし上がったことと、よく見たらいい曲ばかり選曲されていること。しかも伴奏は、「J・テイトとイギリス室内管弦楽団」という爽やかコンビだったことも大きい。
1.シャルパンティエ「ルイース」 2.グノー 「ファウスト」
3.マスネ 「マノン」 4.ドヴォルザーク「母に捧げし歌」
5.フロトー 「マルタ」 6.プッチーニ 「ラ・ロンディーヌ」
7.コルンコルト「死の都」 8.オルフ 「カルミナ・ブラーナ」
9.R・シュトラウス「朝に」 10.ラフマニノフ 「ヴォカリース」
11.J・シュトラウス「こうもり」 12.レハール 「メリー・ウィドウ」
13.カーノ 「エピローゴ」 14.カントルーヴ 「バイレロ」
どうです?素晴らしい選曲。フランス物、イタリア物、ドイツ物、スラヴ物とバラエティ豊かに集められている。古典がなく、後期ロマン派以降の作品が意図して集合したかのようだ。
要はこのあたりが、フレミングの得意とする路線。
クリーミー・ボイスとか言われるが、この人の声は爽やかなクリームでなく、バターたっぷりの濃厚クリームを思わせる。
歌は本当に巧い。各国語も巧い。歌いまわしも巧い。巧いことづくめである。
しいて言うと、マゼールの指揮のようだ。
こうしたアリア集だから良いが、オペラの全曲となると濃すぎて、ちょっと厳しいかもしれない。
この録音は97年だから、約10年を経過し、彼女の最近の歌をつぶさに確認している訳ではないが、従来のネットリ感や隈取りの濃さは残しながらも、、もっと内面を歌い込もうとする積極的な歌唱に変貌しつつあるようだ。
このCDはそんな彼女の最も得意とするレパートリーに、彼女の本質的な気質が反映された1枚である。
とりわけ気にいったのが、プッチーニの「ラ・ロンディーヌ(つばめ)」ピアノ付きの名作アリア
とコルンゴルトの世紀末ムードたっぷりの「死の都」である。
テイトの指揮もオペラの本質をしっかり掴んだ名伴奏である。室内オケの見通しの良さも格別である。
こういう歌を聴いてしまうと、日本人は何て淡白であっさりしているんだろうと思ってしまう。
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コメント
フレミングって名前もジャケットもよくお目にかかるのですがディスクは持っておりません。
アメリカ生まれだし何となくビジュアル系かなと思っていましたが良さそうですね。
投稿: びーぐる | 2006年7月16日 (日) 18時00分
こんばんは。フレミングは実力派ですが、少し濃すぎるのが難点でしょうか。今が旬の聴き所かもしれません。
投稿: yokochan | 2006年7月16日 (日) 22時35分