ラヴェル 「マ・メール・ロア」 デュトワ
久しぶりの晴れの日に皆なんとなく気持ちがよかったはずだ。
でも、早く晴れるないかと気をもんでいて、いざ晴れると暑くてかなわない。
曇り空のほうが、涼しくていいなんて思ってしまう。
今朝の通勤電車は、珍しくも途中で座れた。50分も乗っているから、座れると周囲から羨望の眼差しを受ける。
しかしだ、今日は横に座っていた男がゆらゆらと眠っている。いやな予感が的中し、私の方に寄りかかってくる。こちらも、肩をずらしたりして警告すると、男は反対側の女性の方に寄りかかる。そちらでも、嫌がられ、またこっちへ来る、といった具合に、右に左にゆらゆらといったり来たり。しまいに、私の方へ居着いてしまい、男の頭は私の肩に乗ってしまった。この野郎とばかりに腰を浮かすと、すぐに離れるがすぐにやってくる。
もう勘弁とばかり、座席の前に腰を移動。するとだ、男は私の背中と座席の背もたれの間に入ってしまった。これには周りの乗客も笑ったであろう。私はそこで下車。あと知らない。
女性なら積極的に耐えるが(?)、困ったものだ。電車で寝る場合は、心持ちうつむいて、腕は組まずにひざの上に置きましょう。そのほうが左右に揺れません。
頭はうつむかないと、窓に頭をつけて口あんぐりや、ヨダレたらり、になります。
前置きが長くなったが、夢見心地のおとぎ話の世界へ。
「マ・メール・ロワ」はバレエ全曲版に限る。組曲版やオリジナルピアノ版だと少し物足りないし、夢見る時間も少ない。
「美女と野獣の対話」のワルツに乗ったクラリネットの旋律が好きだ。野獣の妖しげな旋律との対比は天才のなせる技であろう。
最後の「妖精の国」はまさに「夢のようなおとぎの国」への別れを切々と歌っているようで、陶酔してしまう。クールなラヴェル。夏の夜にこれも似合う。
デュトワとモントリオール響は、磨きぬかれた工芸品のような演奏だ。
デッカの名録音もプラスに働いていようが、ここまでオケをトレーニングしたデュトワはビルダーとしてスゴ腕だ。N響の時はどうか知らぬが、モントリオールとの破綻もその厳しさにあったらしい。そんな辣腕ぶりで、ニューヨークかボストンあたりでもう一花咲かさてほしいものだ。
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