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2006年7月17日 (月)

J・シュトラウス 作品集 カール・シューリヒト

Schuricht_strauss 夏にシュトラウスというのもどうかと思いつつ、懐かしい演奏を取り出した。コンサート・ホール原盤の「カール・シューリヒト指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団」の演奏だ。
中学生の頃、会員制のレコード・クラブ「コンサート・ホール」に加盟していた。親のすねかじりであったにも係わらず、1枚1,350円(モノラルを選択すると1,150円)という価格は魅力で、さらに廉価盤の750円というのもあったし、25cmや17cmのレコードもありバラエティに富んでいた。
ジャケットもセンスある魅力的なものが多く、今も根強いファンがいるのもうなづける。
ただ録音がいまイチで、もこもこした音が多かった。

手持ちのレコードは傷もあり聴くに耐えないので、以前出たシューリヒトのアンソロジーから。 
「シャンペン・ポルカ」「常動曲」「ジプシー男爵」序曲、「ウィーン気質」「南国のばら」「酒・女・歌」の6曲が収められている。
 オリジナルのレコードでは、これに加えて、「トリッチ・トラッチ・ポルカ」と「ウィーンの森の物語」が収録されていた。何らかの理由から復刻できなかったらしいが残念なことだ。
「ウィーンの森」がチターをまじえた、本当にふるい付きたく演奏だったからだ。

国立歌劇場のオケとはいえ、実態はウィーン・フィルのメンバーに近いであろう。
管楽器など独特の響きがするし、全体のまろやか感はまさにウィーンだ。

手元に35年前の会報誌があり、この録音時の記事を見つけた。
オーケストラを前にシューリヒトが語った言葉と居合わせた人の思い出。

「皆さん、私はJ・シュトラウスがとても好きです。しかし、私はウィーン生まれではありません。このウィンナ・ワルツの演奏で、私が少しでもその精神から外れることがありましたら、どうか私を正しい道にひきもどしてくださるようお願いします」・・シューリヒト

「ゆったりとした微笑に包まれて、この言葉は魔法のようにスタジオの中に、和やかな空気を作りあげた。結局、ウィーンのワルツやポルカが、彼の考えに、どのような訂正を差し挟まれることなく最後まで演奏されたことを、付け加えなくてはならない。
「神だ!神だ!」とその場に居合わせた日本の指揮者岩城宏之氏が、私の傍らでつぶやいた。」

長い引用となったが、こんなエピソードでこの演奏の内容が推察されよう。
一言も二言もあるウィーンの面々を、メロメロにしてしまい、早めのテンポですっきり・さわやかなシュトラウスを作りあげてしまった。
一連のブルックナー演奏にも通じる、シューリヒトの枯淡の技である。

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コメント

コンサートホールですか、懐かしいですねえ!
たしか、シューリヒトはスターだったですよね?
音が薄っぺらい感じだったことをよく覚えています。

投稿: びーぐる | 2006年7月19日 (水) 00時03分

びーぐるさん、こんばんは。懐かしいでしょう。
ともかくどうしたら、こんなに悪く録音できるのかと思うような録音ばかりの、コンサートホール盤でした。

投稿: yokochan | 2006年7月20日 (木) 00時02分

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