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2006年8月22日 (火)

「カルロ・ベルゴンツィ」 オペラ・アリア集

Bergonzi イタリアオペラ系のテノールを聴く楽しみは、ドイツのそれとは大分に違う。惜しげも無く高音に力をさき、聴く側、観る側に快感にも似た喜びをもたらさなくてはならない。
だが、そればかりでなく、強烈な個性を付与した名テノール達が歴史に名を残したわけで、正規録音が残る以降では、破れかぶれにドラマティックだった「デル・モナコ」、イタリア男の粋の象徴「ディ・ステファーノ」、ヒーローのようだった「コレッリ」。こんな男たちのなかで、最も歌手生命も長く、歌のきれいな形にこだわったのが「カルロ・ベルゴンツィ」ではないかと思う。

1924年、生粋のイタリア生まれ。このところ名歌手が次々と世を去るが、まだ存命中のはずだ。先にふれた通り、2000年以降も歌手として舞台に立っていて、その美しいフォームは全く往時と同じで、その厳しい努力は頭の下がる思いである。
見た目は、普通のおっさんのようだが、ベルカント唱法をキッチリ守ったスタイリッシュな歌唱は、聴いていて背筋を伸ばしてしまうような真摯なものだ。
 よって、ヴェリスモ系よりは、ヴェルディの真面目な諸役において絶対的な存在感を示す。それも初期のズンタッタ、ズンタッタ的なオペラよりは、苦悩する役柄が多く劇的な中期以降の作品がすならしい。このCDに収められている「アイーダ」「仮面舞踏会」「ルイザ・ミラー」「運命の力」などはまったく聞き惚れてしまう。
 プッチーニ以降も悪くはないが、激情的な表現が少し紳士的にすぎるかもしれない。
でも私はこれも好きだ。デル・モナコだと振り回されて疲れてしまうが、ベルゴンツィならどこか醒めた部分があってホッとする。
こちらの分野からは、「アンドレア・シェニエ」「トスカ」「マノン・レスコー」、それに私の大好きな「アドリアーナ・ルクヴルール」などから収められている。カヴァラドッシはカラスとベルゴンツィのレコードが私のすり込み盤などで、たいへん気持ちよく聴けた。
それに、「アドリアーナ」のマウリッツィオの短いアリア2曲は祖国と愛情に苦悩するお定まりのイタリア物ながら、チレアが付けた音楽があまりにも素敵だ。

何だかんだで、ベルゴンツィの素晴らしい歌に魅了されてしまう1枚。
57年、ベルゴインツィ33歳の若々しい記録。ガヴァッツェーニとローマ・サンタ・チェチーリア管の雰囲気豊かな伴奏も現在では聴けない、良き時代のものだ。

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