ワーグナー 「ローエングリン」抜粋 スウィトナー
盆を過ぎると、朝晩が過ごしやすくなる。北東北ではコスモスが咲き始めていた。しかし、セミが現れる順番でいうと「ツクツクボウシ」がそろそろなんだが、今年はまだ登場していない。コイツを聞かないと夏休みが終わらない。(自分でなく、子供達の)
さて、ワーグナーである。本日は軽く「ローエングリン」を。しかも抜粋CD。
これならほんの1時間。
1.前奏曲 2.エルザの夢 3.ローエングリンの登場
4.ハインリヒ国王の試合の宣告
5.テルラムントとオルトルートの闇の世界の二重唱
6.3幕前奏曲 7.ローエングリンとエルザの二重唱
8.ローエングリンのはるかな国より
こんな感じで全曲が見通せる選曲となっている。もともと、ハイライト盤として録音されているようで、違和感はない。しかし、残念なことに、全曲録音がなされていない。 オトマール・スウィトナー、(ドイツ言う読みでは、ズイトナー?)日本にとっても馴染み深い指揮者のワーグナーの正規全曲盤がないからである。モーツァルトのスペシャリストであると同時に、ワーグナーと直伝としたR・シュトラウスを得意にした。
そう、カール・ベームとレパートリーが似ているし、同じオーストリア出身。
バイロイトにも同時期に出ていた。あの「リング」をベームと交互に振り分けていたほか、「オランダ人」、「タンホイザー」を指揮した。
スウィトナーのワーグナーは、ドイツ系ながら、響きが明るく決して重くならない。
そうした傾向は、「ローエングリン」にはピタリとくる。劇場の人らしく、歌手の呼吸を読んだ指揮ぶりも見事。オケも歌手もやりやすいであろう。
それ以上に素晴らしく思ったのは、音のひとつひとつが輝くように美しいことだ。
オケはベルリン国立歌劇場だが、今でこそバレンボイムが造りあげたように言われているが、当時のこの楽団はドレスデンと並んで素晴らしかった。
そんなスウィトナーも1922年生まれだから、84歳。引退してしまって久しく、テレビでもお馴染みだった指揮も懐かしく感じる。「マイスタージンガー」の来日公演を観たのが最後になってしまった。NHKは、倉庫に眠る音源を商業化を待って後生大事にしまいこんでいるが、放送を通じどしどし復活させるべきである。けしからんことだ。
東西ドイツの頃、彼が東でどのような立場にあったかはわからないが、西側でも自由に活動していたから、あまり縛られない地位にいたのだろうか。ドイツ統一時前に西側にポストを得ていたら、もう少し活動を伸ばしていたかもしれない。
歌手陣はデコボコあるが、ハインリヒのテオ・アダム、オルトルートのドヴォルジャコーヴァが秀逸。リッツマンのローエングリンは少し元気が良すぎる。(彼の経歴は不明)
1972年、ベルリンでの録音。
| 固定リンク
コメント
ローエングリーンって第三幕の前奏曲のイメージが強すぎますが、他は淡々としてすごく地味な感じですね。
ちょっと盛り上がりに欠ける感じがするのですが。
投稿: びーぐる | 2006年8月28日 (月) 23時41分
こんばんは。ローエングリンの第3幕前奏曲は、婚礼に向けた勝利と幸福に満ちた雰囲気に満ちています。
でも、その前後は悲劇があり、ヒーローでも救えなかった厳しい世界が広がってます。それを音楽で傍観するのがひとつの楽しみ方でしょうか?
投稿: yokochan | 2006年8月29日 (火) 00時17分
楽しく読ませていただいております。
Suitnerはオーストリア生まれということで、かの地ではSは濁りませんので、スウィトナーでいいのかな、と思います。
投稿: ドイツ好き | 2016年2月 1日 (月) 19時11分
ドイツ好きさん、こんにちは。
ご返信、遅くなりまして申しわけありません。
N響に初めて来た頃、そしてレコ芸などでも、ズイトナーと呼ばれてました。
でも、あの風貌や指揮姿は、やはりスウィトナーと呼ぶにふさわしいですね。ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2016年2月 6日 (土) 10時27分