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2006年8月 3日 (木)

ショパン 「舟歌」  ルービンシュタイン

Rubinstein_chopin 関東には梅雨明け後、ようやく夏が戻ってきた。ここ数日、本当に気持ちがよかった。冷房なしでぐっすり眠れる8月なんて数十年前の冷夏以来。
こうした隙に、残る「神々のたそがれ」と「パルシファル」を聴いてしまえばいいものを、なかなか忙しくて難しい。

ワーグナーの合間に、小粋なショパンなどを聴いてみよう。
思えばショパンも今年大騒ぎのモーツァルトと同じく早世した天才だった。
39歳はあまりに早い。もっと生きてくれたら、どんなにか素晴らしい作品が生まれていただろうか。もしかして、交響曲やオペラも書いたかもしれない。
モーツァルトは、短いながらも完全に生き抜いた印象を与えるが、ショパンは青春しながら去ってしまったかの感がある。運命の神様はむごいことをするものだ。
1810~1849年。ワーグナーが1813~1883年を生きたから同世代。70を生きたワーグナーは、存分に改革をし、後世に巨大な足跡を残した。

が、しかしショパンも短い生涯に、彼しか書けない詩情に満ちた作品を残した。
伝統的な形式を残しながらも、作品にロマンティックな心情の吐露をたっぷりと注いだ。
作品は100曲に満たないが、そのいずれもが今でも私達の心の琴線に触れてやまない。

そんな中で、晩年の名作「舟歌」が私は好きだ。
「舟歌」と日本語にするより、「バルカローレ」と呼んだほうが相応しい。
本来ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌で、8分の6拍子で書かれるらしいが、ショパンは8分の12拍子で作曲した。この方が、より旋律を長く保ち、流れるような美しさが保てるからだろうと言われている。
実際、ゆったりとしたリズムに乗って、揺らぐような美しい旋律が流れるがごとくかもしだされていくさまは、まったく素晴らしい。いつまでも浸っていたい10分間である。

ルービンシュタイン御大のピアノは、明るくも美しい。
昨今の緻密な演奏に比べると、表情がまろやかすぎるかもしれないが、この作品にはぴったりかもしれない。このCDには「即興曲集」「子守唄」「ボレロ」等が収められていて、いずれも珠玉の演奏に思う。

「ワーグナーの、はざまに聴く、ショパンかな」

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コメント

こんにちは♪  おお!  KiKi の大好きなショパンのバルカローレ!!!  この曲はいいですよね~。  実は今 KiKi はフォーレのバルカローレをさらっているのですが、フォーレってものすご~くショパンに傾倒していた人で、ノクターンとかバルカローレをいっぱいいっぱい書いているんですよね。  バルカローレって人の気持ちを落ち着かせる「揺らぎ」が1番の魅力だと思うのですが、ショパンのこれは他のバルカローレの追随を許さないと確信している KiKi です。

それにしても・・・・、ワーグナーの合間のショパンかぁ。  yokochan さんも KiKi と似たような嗜好の持ち主でいらしたんですねぇ(笑)。  実は KiKi は先日のピアノ・レッスンで先生に「いや~、実はここのところ久々にワーグナーのリングにはまっちゃっていて・・・」と言ったら、「ワーグナーとフォーレって・・・・。  随分とまたかけ離れているものがお好きなのねぇ・・・・^^;」と半ば呆れられてしまったのですよぉ。

投稿: KiKi | 2006年8月 4日 (金) 10時19分

ショパン晩年の・・・と言っても仰るとおりあまりに若い・・・名作ですね。これを私はSPレコードのコルトーの演奏で聴いたのが最初です。
中学の終り頃ですが、軍隊ポロネーズとかは分かったのですが、舟歌はすぐにというわけにいかなかったです。しかし、何度か聴いているうちに、なんとも言えない情緒に惹かれましたね。
独特のコルトー節がどうしても忘れられずに、
CDを買ったほどです。
ルービンシュタインの弾きっぷりも、また格別の味があろうかと推察します。

投稿: | 2006年8月 4日 (金) 14時10分

kikiさん、こんばんは。フォーレは室内楽作品は大方クリアしましたが、ピアノ独奏曲はCDはあるんだけれども、まだ今ひとつ馴染みが少ないです。
それを弾いてしまうなんざ、すごいですね。
バルカローレのナンバーワンは、やはりショパンですよね。オッフェンバックの「ホフマンの舟歌」では砂糖菓子みたいで甘々ですわね。
 ワーグナーの合間音楽は毒消し作用が少ないほうが好きです。

投稿: yokochan | 2006年8月 4日 (金) 23時14分

丘さん、こんばんは。ショパンはどうしても軍隊や英雄ポロネーズから入ってしまいますよね。
私もこの曲が本格的に好きになったのは、ショパンの曲をあらかた聴いてからでした。ついでにワーグナーもすべてこなしてからでした。
コルトーのピアノは放送で聴いたのみですが、ほんと、おっしゃるように独特な歌いまわしですよね。
一度じっくり聴いてみることとします。ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2006年8月 4日 (金) 23時20分

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受信: 2006年8月12日 (土) 17時26分

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