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2006年8月19日 (土)

アルヴェーン 交響曲第4番「海辺の岩礁から」

Alfven 滋賀と京都に仕事で行って来た。晩は大津で宿泊し、ふらりと入った居酒屋で不思議に旨い魚を食べた。海の魚である。酒は、西近江の今津の酒で、キリリとした夏向きの純米酒であった。近江は米どころでもあって、酒もいい。店には、滋賀の誇る鮒寿司はなかったが、以前、鮒寿司とボルドーの赤ワインを試したことがある。濃厚なチーズのようなネットリ感と濃口ワインがエロティックなまでに妖艶であった。祇園でお客さんにご馳走になったものである。そんな経験もあってか、古都京都は、私の舌には妖しい街である。
そして京都の夏はたまらないほど蒸し暑い。

Alfven_sym4 そんな「夏の京都」から帰ってきて、題材は全く異なるが、「シンフォニア・エロティカ」とも呼ばれる、アルヴェーンの交響曲がどうしても聴きたくなってCDを購入して来た。ナクソス盤のウィレン指揮のアイスランド響のなかなか立派な演奏である。
 しかし、私にはレコードで購入した、ウェステルヴェリイとストックホルム・フィルのものが忘れがたい。ジャケットがまったくに素晴らしいのである。そして、亡きウィンベルイとセーデルシュテレムの本場歌手陣も強力だった。

1960年に亡くなったスウェーデンの作曲家「アルヴェーン」は、画才もあり、音楽はスウェーデン狂詩曲(夏至祭の夜明かし)が有名だが、4曲ある交響曲は北欧の自然の描写に満ちたロマンテックな作品群である。なかでも、この4番は「海辺の岩礁から」と題され、連続する男女の愛を描いた4つのエピソードは、幻想曲のようで印象深い。
 作風は、後期ロマン派風で、ツェムリンスキーを思わせる。自国の自然を愛し、小島にサマー・ハウスを持って、そこで作曲に勤しんだらしい。さらに岩礁の多い海辺に小舟を出し、そこで思索に耽り、この作品も構想された。
 「海と男女の愛」となると、いやでも私は「トリスタンとイゾルデ」を思ってしまう。
テノールとソプラノは歌詞を持たず、ヴォカリーズで歌う。こんな愛の歌は、官能的で、切ない夜の物語である。お互いに呼びかけあって3楽章で結ばれるが、最後は破局が訪れる。こんな他愛も無い話であるが、素晴らしいオーケストレーションの才もあって、美しいシーンが次々に展開される。

「この交響曲は二人の人間の愛の物語と関係があり、象徴的なその背景は外海へ転々と広がる岩礁で、海と島は闇と嵐の中で、互いに戦いあっている。また月明かりの中や陽光の元でも。その自然の姿は人間の心への啓示である。」アルヴェーン自身の言葉。

夏の晩に、例によって冷房もない部屋で、こんな自然美と官能の相容れない要素に満ちた音楽を聴きながら、酒を傾ける。ぶどう酒がないので、芋焼酎のロックで我慢。
心地よい酔いと共に、ハープやチェレスタの涼やかな音色に陶然とする自分である。

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コメント

アルヴェーンの交響曲は2番は持ってますが、4番もなかなかよさそうですね。やっぱり声楽がないと。
(私のblogにリンク貼らせて頂きました)

投稿: naoping | 2006年8月20日 (日) 11時57分

4番は、ヴォカリーズ付きの協奏曲のような幻想交響曲です。なかなかに官能的で、シビレますです。

投稿: yokochan | 2006年8月20日 (日) 17時16分

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