フォーレ レクイエム バレンボイム
このところ毎日のように、車や交通機関の事故、それもバカどものあきれた過失による事故が続出している。そのため命を奪われるのは無力な子供達だ。あまりに辛くむごい。
新首相が掲げる「優しさにあふれた国」、「美しい国」はやってくるのだろうか?
このCDの解説によると、5大レクイエムと呼ぶ作品は、「モーツァルト」「ケルビーニ」「ベルリオーズ」「ヴェルディ」「フォーレ」であると、評論家高崎保男氏が述べているという。
うーむ、ケルビーニはまた地味やな。ブラームスは純粋レクイエムではないのか。
ドヴォルザークは?デュルフレは?ブリテンやディーリアスは特殊?
まあいろいろ議論はあるにしても、3大レクイエムなら、「モーツァルト」「ヴェルディ」「フォーレ」に決まりであろう。
そして聴く者を優しくつつむ癒しのレクイエムこそフォーレ。
声高に叫ばず、死者を、残された人々を優しくいたわる。
今日の演奏は1974年、バレンボイムがパリ管の音楽監督就任初期に録音したもの。
S:シーラ・アームストロング Br:フィッシャー・ディースカウ
パリ管弦楽団とエディンバラ音楽祭合唱団
冒頭の「入祭唱」開始から、ただならぬ思い入れを込めた入念な響きに驚く。え?フォーレだよね?と、最初はびっくりしてしまう。低音もズィーンと良く響く。
全編にわたり、オケも合唱もかなり克明に演奏し歌う。これは、ブラームスである。
その雰囲気に拍車をかけるような、フィッシャー・ディースカウの言葉一語一語を歌いこんだ歌唱。「ピエ・イエズス」でのアームストロングは、なかなかに清澄な歌いぶりであるが、私の好きな「バーバラ・ボニー」ちゃんの無垢な声とは遠い。
せっかくパリ管なのに、ブラームスじゃん・・・・。
とか言いながら、実はこれはこれでそのシリアスさがすごく面白く、私は充分に堪能した。
一筋縄ではいかないこの頃のバレンボイムの個性は、今では味わえないものだ。
フォーレのレクイエムも、その時の気分でコルボやクリュイタンス、ヘリヴェッヘなどで聴き分ければいい。
余白に入った「パヴァーヌ」。レクイエムがそぉっと終わったあとに洒落た組合せである。
ここではオケと合唱のバージョン。
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コメント
こんにちは。ケルビーニは全く知りませんでした。ベルリオーズも実際には聞いた記憶が一度だけで・・・。
やはりフォーレですね。コルボとクリュイタンスのLPを持っています。
バレンボイムは特徴ありそうですね。
投稿: 丘 | 2006年9月27日 (水) 07時17分
丘さん、コメントありがとうございます。
やっぱり、われわれ日本人に一番しっくりくるのは、フォーレなんですね。怒りの日の激しさは、欧米人のものですから。
投稿: yokochan | 2006年9月27日 (水) 22時37分
この演奏、俵孝太郎さんが御著書『CDちょっと凝り屋の楽しみ方』で、Studio-plusシリーズと言う外盤のCDで、日頃御愛聴との事でした。『レコ芸』月評担当の故畑中良輔さんは、息もつかせぬ凝視的なフォーレ‥と、あまり買っていらっしゃいませんでしたけれども‥(笑)。却って人により評価の別れる演奏の方が、面白みや充実感を感じる経験が、まま在ります。一聴してみたいものです、この演奏。
投稿: 覆面吾郎 | 2019年5月25日 (土) 10時11分
バレンボイムがパリ管の指揮者になったとき、その組み合わせの面白さもあって、たくさん聴きました。
来日したときも、マーラーの5番や、ジュピター、運命の力など、今こそ聴きたいようなプログラムばかりでした!
投稿: yokochan | 2019年5月28日 (火) 08時27分
お亡くなりになった方を云々するのは、フェアでなく気も引けますけれども、K-Uさんは単行本の中で、『パリ管弦楽団とは実に多くのレコーディングをしたが、ピカッと光るものは何ひとつない。』と、一刀両断でしたね。でも、偏見なしにこの音楽家の膨大な音源をくまなく耳を通しておいでなのかな‥と言う気がしたのも、事実です。
投稿: 覆面吾郎 | 2019年6月 1日 (土) 09時47分