ディーリアス 「夏の夜 水の上にて歌える」
なかなか立ち去らない夏。行く夏を何度も惜しんで夏物を聴いているが、最後のとっておきは、やはりディーリアス。
この人ほど夏にちなんだ作品を残した作曲家もいないであろう。
「夏の夜 水の上にて歌える」・・・なんとも涼しげなタイトルだが、むむ?
なんか文法が変ではないかな?
「To be sung of a summer night on the water」が原題。解説書によると「To be sung on Summer night on the Water」にすべきではないかとの指摘をディーリアスは無視したらしい。
英語力がなく私にはよくわからないが、前者のほうがずっと詩的で、音楽的に感じる。
「夏の夜に水の上で歌われるべき2つのパートソング」、と三浦淳史先生は補完している。
無伴奏の無歌詞による2曲の小品からなっており、1曲目は合唱で「アァ~」と歌われ、2曲目はテノールのソロが「ラララ~」と合唱をバックに歌う。
それぞれ2分前後の小品だが、実に涼やかで夏の夜の静けさを感じさせる桂曲。
それでいて、逝く夏を惜しむ様子も充分窺われる。
フィリップ・レッジャーとキングス・カレッジ合唱団による演奏。
パリ郊外のグレ・シュール・ロワンに長く住んだディーリアスは、この流れるともないロワン川をイメージして作曲したという。
日本のどこにでもあるような景色みたいだ。
ちょっと昔だったら、郊外へ足を運ぶと小川が流れ、蛙が鳴き、小魚が泳ぐ光景がどこにでもあった。
こんな思いも今はノスタルジーでしかないのが寂しい。
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コメント
弊ブログでのディーリアスつながりでコメントします。
この合唱曲は私も大好きで楽譜も持っています。
英国の合唱曲(ディーリアスが英国人か、微妙ですか?)をいつかは歌いたいと画策しております。(ウチの団は今は北欧ものを中心なんです)
明日はディーリアス関係のディスクと楽譜を少し整理してみます。
投稿: ピースうさぎ | 2007年5月27日 (日) 21時39分
ピースうさぎさん、こんにちは。思わず嬉しいディーリアスつながりです。
ディーリアスの繊細な音楽は、特にこうした合唱ものは、われわれ日本人の心をくすぐるものがありますね。
ディーリアスを実際に歌えるなんて、ほんとうに羨ましいです。
投稿: yokochan | 2007年5月27日 (日) 23時45分