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2006年9月 4日 (月)

マーラー 交響曲第6番 バルビローリ

Barobilo 9月を迎え、学生たちも本格的に2学期がスタートし、電車や街も平常を取り戻した。我が家の子供達の今年の夏休みは、新学期早々、しかも8月の終わりから学力テストなんぞがあって、忙しかった。その分、宿題が少なく、親としては楽だったが、子供達は大変だったろう。
早く始まった分、ご褒美に秋休みなるものがあるらしい。
親も一緒に、秋を満喫したいところだが、そうもいくまい。羨ましいのだ。

今日は、久しぶりのマーラー。20年以上前は、明けても暮れてもマーラーだった。
演奏会で取上げられるのも珍しく、マーラーと聞けば足を運んだ。全部の曲を一応生演奏制覇したが、強烈に印象に残っているのが、バーンスタインの第9とアバドの第5である。

そんな中で、6番は誰を聴いたんだったかな?と遠い記憶をたどると、若杉とN響だった。
巨大なホールで、遠くで演奏している様子を見ているようなマーラーの印象しかない。
本来、若杉の気質に合っていそうな曲だから、こんな記憶のはずはないと思うが、私にとってのマーラーは、いつもどこか遠くで鳴っているような音楽のように感じているから、きっとすんなりと聴けた演奏なんだろう。
前述のバーンスタインとアバドのものは、そんな私の醒めた次元とは違うところで、私を強烈に捕らえた演奏だったのだ。

人生の絶頂期にあった頃の作品だが、それも5番をピークに急下降。作品完成後、愛娘が亡くなったり、仕事も人間関係もこじれてゆくマーラー。
そんな不運・不幸を先取りしたような第6番である。
だが、決して後向きの作品ではない。高らかに奏でられる愛妻アルマへの情熱の旋律や叙情的な2楽章などは、人生を肯定的に捉えた場面ではないか。
言い様もない終楽章も、何度でも立ち上がり現実に向き合う強い姿勢を感じさせる。

さて、今日の演奏は、「バルビローリ指揮のニュー・フィルハーモニア管」の1967年の正規録音。
まずは開始早々遅い。それもかなり遅く、執拗に旋律をじっくりと奏でる。これが全編にわたっている。バルビローリの唸り声も全曲にわたり聞こえる。
完全に作品に共感し、同化しているさまがよくわかるし、ニュー・フィルハーモニアもメチャクチャ巧い。当時、クレンペラーのもとに絶頂期にあったのであろう。
ここまで書くと、バーンスタインばりの、感情移入を経たネットリ演奏かと思われるであろうが、バルビローリはそうではない。
音の響きが輝かしく明るい。低い方も重ったるくない。そして楽員を、聴く者を、夢中にさせてしまう心からにじみ出る、ゆたかな歌がある。
彼の体にイタリアの血が流れていることも無縁ではなかろう。
 このマーラーを聴いていて、不思議に「明日もがんばるぞぅ」なんて気分になってきた。

1970年の大阪万博の来日オーケストラ・ラッシュの中に、「バルビローリとニュー・フィルハーモニア」の名前がありながら、直前のサー・ジョンの死でバルビローリの日本デビューは永遠に無くなってしまった。
この人も、あと少し長生きをして欲しかった指揮者の一人。カラヤンのドレスデンでのマイスタージンガーは、バルビローリが録音するはずだったのだから。

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コメント

バルビローリの第6は、各楽器の分離が意外に良くて、テンポの遅さが気になりませんでした。
バーンスタインの第9はIPOとのNHKホールですか? 演奏はもちろんですが、アンコールに出てきたバーンスタインのフロックコートの裏地が真っ赤だったのを鮮明に覚えています。

投稿: 吉田 | 2006年9月 4日 (月) 23時07分

こんばんは。吉田さんも聴かれましたか。
私もIPO、NHKホールです。
あのコートは鮮明でしたね、そしてバーンスタインのユダヤ教の司祭のような疲れきった顔も印象的でした。

投稿: yokochan | 2006年9月 4日 (月) 23時37分

すいません、また曲がカブってしまいました。今日は本当に偶然です。びっくり。

投稿: naoping | 2006年9月 4日 (月) 23時41分

naopingさん、こんばんは。わたしもびっくり。
声やロシアが続いたので、必然的に近代ドイツものに手が伸びました。明日は気をつけて、ごく普通にします。??

投稿: yokochan | 2006年9月 4日 (月) 23時47分

1970年の来日公演のチケットは私も買ってました。代役のJ.プリッチャードも悪くはなかったのですがやはりバルビローリに来て欲しかった。当時、死亡記事が載った新聞を持つ手が震えましたよ、ホントに。

投稿: einsatz | 2006年9月 6日 (水) 02時00分

einsatzさん、それはまったく残念極まりないですね。もし来日してくれてれば、サー・ジョンの様子が聞けたのに・・・。プリッチャードも今思うと貴重じゃないですか。
追)大阪の予定がなかなかたちません。

投稿: yokochan | 2006年9月 6日 (水) 22時20分

こんにちは。
音楽雑記帖さんからこちらにたどりつきました。
バルビローリの同曲は、バーンスタインのようなドラマではなく、よどみない厚い音の流れの中でたっぷりと「歌」ってくれます。
アルマのテーマとアンダンテ楽章は最高です。
http://www.geocities.jp/furtwanglercdreview/barbi.html

投稿: orooro | 2006年9月11日 (月) 13時14分

orooroさん、こんばんは。コメントありがとうございます。ようこそおいでくださいました。
バルビローリのマーラーは、バーンスタインらと一線を画す別の「歌」があり、ホントに聴かせてくれますよね。
フルトヴェングラーに造詣の深い、貴ブログを大変感心しながら拝見いたしました。素晴らしいですね。
よろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2006年9月12日 (火) 00時56分

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マーラー:交響曲第6番エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮ロシア国立交響楽団(Ve [続きを読む]

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