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2006年10月24日 (火)

シベリウス 交響曲第4番 ヤルヴィ

Sibelius_4 今日は寒かった。涼しくならない秋だと思っていたら、急に風雨を伴なった寒さがやってきた。日本シリーズで燃える札幌も、友人の報告では雪の予報が出てたらしい。
 ついでながら、日本シリーズは「日ハム」を応援している。北海道が好きということもあるが、名古屋のチームは、貧乏球団を見捨てた外人やキャッチーがやたらに活躍しているから、憎たらしいのである。
プロだから、自分を高く買ってくれるところに自分を売るのは当たり前ながら、金のない球団との格差は開くばかり。そして、彼らは自分を応援していたファンに対しどう思っていたのか、という不満も募る。

 さて、今日はアバドを離れて、アバドが絶対にやらなかったシベリウスを。
肌寒くなると、シベリウスが聴きたくなる。それも、とっつきの悪い4番を。

シベリウスの交響曲は、1・2番においてはロマンの香りゆたかに、そこに民族的要素を盛り込んだ作風だったが、シンプルで自然の息吹き溢れる3番から、徐々に内省的な渋さを醸し出すようになっていった。
その極地がこの4番のイ短調の交響曲で、造りはより簡潔になり、断片的なモティーフが連なりあい、息の長い旋律らしいものは見当たらない。
とにかく渋く、晦渋である。

第1楽章は、重々しい低音のうなりから始まり、悲哀に満ちた旋律が何かを模索するようにそれぞれ楽器を変えて橋渡しされて行く。この寂しく、物悲しいやり取りは聴いててもやるせない。答えを見出せぬまま、消えるように終わってしまう。

一転第2楽章はスケルツォで軽快な雰囲気ながら、どこか不安定な感じがつきまとい、曲想は変転していくが、突如として止まってしまう。あっけない。

白眉は第3楽章。静かな憧れと情熱に満ちた緩徐楽章。フィンランドの厳しい自然に閉ざされながらも、一条の日の光を希求するような音楽は、たまらなく素晴らしい。

終楽章は長大なリズムの繰り返しの上に、特徴的な旋律が現れては消えていく。
とりとめなく感じるが、全曲を総括するようなまとまりを見せながらも、後ろ髪ひかれつつ、やや寂しく曲を閉じる。

こうして書いてしまうと、何やらヘンテコな曲に思われるかもしれないが、緻密に書かれた音楽に無駄なものはひとつもなく、それらの音たちが青白い情熱の炎を感じさせる。
こうした魅力にとりつかれてしまうと、この曲が大傑作に思えてくる。

 大量録音の主「ヤルヴィ」からすると、初期の頃の録音で1984年のもの。
最近DGから2度目の全集が出たが未聴。
ヤルヴィとエーテボリ響の素晴らしさを印象付けた全集録音で、当時はこうしたローカルオーケストラの録音なんて珍しいものだった。その分極めて新鮮だったし、BISの録音もまた音楽的で極上に感じられた。
今聴くと、ずい分と鄙びた音に感じられる。アンサンブルはちょっと手ぬるいが暖かな温もりを感じ取れる。
こうした手作り的サウンドは、天下のベルリン・フィルが逆立ちしても出せない響きだし、もしかしたら今のエーテボリ響でも出ない音かもしれない。

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コメント

 yokochan様今晩は。
クラヲタにとって最も嬉しい時の一つと言うのは、
それまで理解できなかった曲を楽しんで聴けるように
なった時なのではないでしょうか?
私もシベリウスと言えばご多分に漏れず、耳あたりのいい一番や二番や
五番は昔から楽しんで聴いてきましたが、
四番や六番は長い間理解できず楽しむことも出来ません
でした。
それが三十過ぎてやっと四番が楽しんで聴けるようになりました。恐ろしく渋く取っ付きにくいですが、聴けば聴くほど面白さが分かってくる曲ですね。
やはりヤルヴィ&エーテボリの旧盤で聞いております。
新盤は未聴です。
ヤルヴィ旧盤はすばらしい全集だと思います。
クレルヴォも熱気に溢れる名演ですし、第二番は、
この全集に入っている快速演奏がマイベストです。
ただ、第一番の第一楽章が少しパワー不足のような気が
いたします。


投稿: 越後のオックス | 2009年8月19日 (水) 23時14分

越後のオックスさん、こんばんは。
シベ4は、私はバルビローリのレコードで開眼しました。
あの唸り声でもってじっくりとやられるものですから、これは大変な音楽なのだという思いから、何度も繰り返し聴いて、耳になじませました。
そのあとは、ディヴィスとバイエルンの放送録音。
ジックリ型が好きですが、ヤルヴィはすっきりスラスラ系。
こういうシベリウスもかえって心に沁みますね。
エーテボリのオケがまた実にいいです。
このオケ、ベネズエラの熱血漢が指揮者になりましたが、その持ち味は大丈夫なのでしょうか??

投稿: yokochan | 2009年8月20日 (木) 01時05分

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