ラフマニノフ 交響曲第2番 ヤンソンス
気持ちよい秋晴れ。風が強く、鬱陶しいものを皆吹き飛ばしてくれたようだ。
気分よろしく、ラフマニノフの交響曲シリーズ。第2番は「ヤンソンスとフィルハーモニア管」のシャンドス盤。ヤンソンスはEMIに、サンクト・ペテルブルクを振って全集を完成させているが、そちらはまとまりはいいが、少しおとなしい。
86年にロンドンで録音されたこちらの演奏は、EMIの10年前、43歳の頃の演奏。
この曲が好きなものだから、そこそこCDを集めた。定番プレヴィンやラトルはお気に入りだが、以前より「アインザッツ」マスターが押していたヤンソンスのこの盤はなかなか手に入れる機会がなかった。遂に見つけだしたその演奏は果たして・・・。
いやはや実に素晴らしい。まったく素晴らしいの一語。誉め言葉ばかりだが素晴らしい。
指揮者もオーケストラも、一緒くたになってラフマニノフ・ワールドにどっぷりつかりながら、思い切り音楽に夢中になっている。
繰返しを行い、カットも一切ないコンプリート版による演奏。
第1楽章は、感傷的な旋律とリズミックな部分が入り混じるが、そうした対比を見事に描き分けている。聴いていてワクワクし、音楽に引き込まれていく自分がわかる。
第2楽章は、スケルツォと中間部のバランスが難しいが、ここでは情熱が一本筋を通していて、メリハリのある音楽が自然と仕上がった。
第3楽章。「エリック・カルメン」の歌が先に有名になってしまったが、ここではプレヴィンの優しさ溢れる音楽とは別の次元の名演が繰り広げられている。
甘い旋律を切々と歌う表面的な演奏でなく、音楽は感傷に濡れそぼっている。
クラリネットのソロによる主題の歌い方はどうだろう。ここには、ロシアの憂愁が詰まっていて、涙にぬれている。弦楽器も管楽器も思い切り歌う。歌いまくる。
第4楽章は、ものすごい推進力で押し進められる。どこまでも飛翔していくような高揚感にドキドキしてしまう。このままいったら最後はどうなってしまうんだろう、と思いながらも聴き進むと、終結は堂々としかも極めて音楽的に結びを迎える。
終わりと同時にブラボーが聞こえてきそうな壮大な結末だった。
こんな誉め尽くしの、ナイスな演奏。
勢いや感情だけではこんな演奏は生まれない。ヤンソンスの音楽へのひたむきささと、楽員をその気にさせるエモーションがあってこその名演奏なのだ。
最近多忙すぎて、ややムラもあるやのマリス君だが、今度の12月のコンセルトヘボウとの公演がどうなるか楽しみでならない。
こちらが今流通しているジャケット。
今回入手いたものは、オリジナル?かもしれない?
この赤いヤンソンスは、ちと怖いがなかなかによい。
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コメント
これ、持ってまーす。
コワくない方のジャケで(笑)。確かこれがラフ2の初めて買ったディスクだったと思います。
僕はラフ2ならやはりコンドラシンでしょうか。
あれはスゴイ。
実演で聴いたらどうなるのでしょうねぇ。
投稿: リベラ33 | 2006年10月 9日 (月) 08時17分
そう、コンドラシンのアレはすごかったですね。
実演では、パーヴォ・ヤルヴィとN響がスマートでよかったです。
ロジェストヴェンスキーを手に入れましたので、近々紹介しようと思います。
投稿: yokochan | 2006年10月 9日 (月) 17時54分
おおっ!ついに入手されましたか。しかもオリジナル・ジャケットとはラッキーですね。いいでしょ、コレ。後年のサンクトペテルブルクPOとの録音より数倍素晴らしいです。この曲については以前、英コリンズ・レーベルからポーランドの名指揮者カスプシェックとロンドン交響楽団の演奏が出てましたが第3楽章が非常に美しかったのを覚えています。ぜひ再発して欲しいと思います。
投稿: einsatz | 2006年10月11日 (水) 17時18分
そうなんです。ついに聴きました。
たまらなくいいですね。
ご紹介のコリンズ盤も気になりますが、コリンズって倒産したんですよね。
投稿: yokochan | 2006年10月12日 (木) 17時08分
yokochan様今日は。
私はヤンソンスのラフ2はサンクトペテルブルクしか聴いたことがないので、フィルハーモニアを指揮した盤も聴いてみたくなりました。
オランダの新興レーベル・ブリリアントクラシックスがラフマニノフ全集31枚組(!)を出すのだそうです。ラフマニノフ・オタクの私は今から楽しみです。詳細はまだ不明ですが、ブリリアントの全集物はEMI系の音源が多いですから交響曲はヤンソンスかプレヴィンあたりになるのではないでしょうか?オペラや室内楽や歌曲ももちろん全作収録されるのでしょうし。またCDの置き場の確保に悩むことになりそうですね(笑)
投稿: 越後のオックス | 2008年11月 8日 (土) 13時47分
越後のオックスさま、こんばんは。
以前の記事をお読みいただきありがとうございます。
ヤンソンス&PO盤は、爆演系のたぐいかと思います。
熱きことこのうえありません。
STペテルブルク盤は、少し優等生すぎるかと・・・・。
ブリリアントの廉価盤攻勢には恐れ入ってしまいます。
ちょびちょびと1枚づつ揃えた各種全集が、あっけなくブリリアントに移行してしまうと複雑な思いもあります・・・。
でも、作曲家ごと全集化することの意義は大きいです。
私もラフマニア(?)ですが、オペラと歌曲に目覚めつつある今日この頃であります。
増殖し続けるCDは、皆さん悩みの種ですね・・・
投稿: yokochan | 2008年11月 9日 (日) 01時39分