« ラフマニノフ 交響曲第2番 ヤンソンス | トップページ | アバド ルツェルン祝祭管 リハーサル »

2006年10月 9日 (月)

R・シュトラウス 歌劇「グントラム」 クーン指揮

Guntrm R・シュトラウスはオペラ作品を15作(もうひとつは未完?)残した。
劇音楽の得意なシュトラウスとしては、順当な数とはいえる。
しかし、そのほとんどは馴染みがなく、舞台に接することは稀れであろう。
日本は世界的に見ても、シュトラウスのオペラ上演が近時多い。
一重に「若杉弘」氏の情熱と「日本R・シュトラウス協会」の熱心な活動の賜物であろう。

今日の「グントラム」は最初のオペラにあたり、1892年、作曲者28歳。交響詩でいえば、「ドン・ファン」と「死と変容」のあとぐらいで、「ティル」の前。
次作「火の欠乏」とともに、有名な「サロメ」の前にあるだけに、その名前の雰囲気から、激しい音響が乱れ飛ぶ熱狂的なものを連想しがちだ。
しかし、2作とも、シュトラウスらしい甘く美しい旋律と、見事なオーケストレーションに満ちていて、不協和音などひとつもない。

そして、ここに聴く音楽の響きはワーグナーの影響が大である。でもそこは「R・シュトラウス」で、耳に馴染みやすい一連の交響詩の延長に歌が乗っかった感じといえる。

作曲当初、3時間を越える大作であったが、あまりの不評に大幅な短縮を試みて、今回のCDでは100分くらいの手頃なサイズに収まっている。
カットうえに、劇の展開が不自然で唐突らしいが、このCDのリブレットはドイツ語ゆえ、まったくわからない。素晴らしい音楽だけを楽しむことになる。
今回5~6回機会あるごとに聴いて、すっかり耳に馴染んだ。時おり旋律が浮かんでくるくらいに聞き込むとすっかり、その作品が好きになる。

簡単にあらすじを。時は中世・吟遊詩人の世界。~そう「タンホイザー」と同じですよ。
主人公も、ひたむきに己の道を行き、人を殺め、最後には修行の道にでるから、ますます「タンホイザー」っぽい。

Guntrm2 最高の善としてのキリスト教的友愛の世界を目指して修行する「グントラム」。
悪い男に操られ圧政を行う国を改革しようと、グントラムはやって来た。
そこで、入水自殺した女性「フライヒルト」を助け、そこで相思相愛となってしまう。
この女性こそ、悪い男の妻で、国を治める大公の娘だった。
娘を助けたことで、公国に慇懃に迎えられる。そこで「グントラム」は圧政を止めるように大演説をぶつ。(こりゃまさにタンホイザーの歌合戦そのもの、ハープの伴奏まであるよ)
 先の男と争いになり、グントラムは思わず殺してしまう。
一応自分の婿だから、大公は厳しく対処。幽閉の身となり、そこに「フライヒルト」が駆けつけて、激しく求愛し、愛の二重唱となる。
 しかし、グントラムは愛を拒絶し、教団からの帰還の誘いも断り、孤独に贖罪の道を歩んでゆく。

こんな内容だが、ここでは主役を歌うテノール歌手の負担がものすごく重たい。
最初から出ずっぱりで、最後に素晴らしくも熱いモノローグを歌わなくてはならない。
私のような「テノール好き」には堪らない瞬間が数々ある。

Marchiana 唯一のステレオ録音は激安廉価盤だが、もったいないくらい良い演奏だ。
クーン指揮のイタリア、マルキジャーナ・フィルの明るい響きは、初期作品に相応しいし、大音響もクリアー。
主役のカナダ出身「アラン・ウッドロー」は獅子奮迅の歌唱。ジークフリートやトリスタン級の声の持主だが、重たくならないのがいい。
ほかの歌手はデコボコあり過ぎか。
野外ライブ録音らしく、鳥のすがすがしい鳴き声が時おり聞こえる。これが、苦行の主人公のドラマと何か良く合う。

R・シュトラウスが好きな方にはお薦めのオペラ。

Maitakeimgp3012 土曜は、仕事で神事があって「長岡」まで車で出張した。車ゆえ、おいしい新潟の味覚を買い込んだ。高速から見える「雪国まいたけ」の工場。
沿線にいくつかある工場。本社は「八海山」の六日町にあり、近代的なビル。
きのこ王国新潟。いくつも購入し、「きのこ汁」を自ら製作した。

Konokoimgp3045 「栃尾」の肉厚「あぶらあげ」を入れて、出来上がり。
うま過ぎ。

|

« ラフマニノフ 交響曲第2番 ヤンソンス | トップページ | アバド ルツェルン祝祭管 リハーサル »

コメント

実は、グントラム聞いたことないんですよう。これは廉価盤なのですね!ぜひ入手したいです。きのこ汁も美味しそう。

投稿: naoping | 2006年10月10日 (火) 22時15分

グントラム、いいですよう。以前一度聴いたきりのものを、今回何度も聴き、すっかり好きな作品になりました。1000円を切る激安盤ですので是非聴いてください。
今度は「火の欠乏」に挑戦中であります。
 今回、きのこ汁にエリンギをを入れてみましたが、シコシコと歯ごたえもあって大変よろしゅうございました。

投稿: yokochan | 2006年10月12日 (木) 17時03分

yokochan様お早うございます。
 クーン指揮の「グントラム」のDVDが出ます。タイトルロールはCD同様ウッドロウ氏です。世界初の「グントラム」の映像化ではないでしょうか?他にもクーン指揮の「エレクトラ」や「指環」全曲、「パルシファル」「トリスタン」のDVDも出ます。詳細はhmvさんのホムペでご覧になれると思います。私はクーン指揮、ウッドロウタイトルロールの「タンホイザー」のDVDを持っておりますが、なかなかの好演です。イタリアの歌劇場オケの明るい音色が眩しいです。
 私もクーンのCD「グントラム」を購入して昨日初めて全曲を聴きました。ティーレマン指揮のCDで第一幕への前奏曲だけは10年以上前から聴いていたのですが。物凄くワーグナー的なオペラですね。台本も音楽も。でも「マクベス」や「イタリアにて」や「ドン・ファン」を既に完成させた時期の作品だけに管弦楽の華麗な響きはさすがですね。
 実は私、長岡在住です。長岡といっても広いので栃尾から車で40分もかかる所ですが。仕事が休みの日は晴耕雨読てきな田舎暮らしを楽しんでいます。栃尾の油揚げ美味しいですよね。味噌汁の具としても最高ですが、味噌をつけて焼いて食べるのもまたいいですよ。
 

投稿: 越後のオックス | 2008年7月19日 (土) 09時03分

越後のオックスさま、こんばんは。
仰天情報ありがとうございます。
グンドラムのDVDは朗報です。
シュトラウスがテノールを主役にした、ほぼ唯一のオペラですね。私はかなり好きになってます。
他の演奏も聴きたいところでしたが、映像は何よりであります。
ウッドロー氏は、見た目はR・ティアーのようですが、かなり立派なヘルデンですね。ほかの映像も楽しみです。

栃尾は、数回行ったことがあります。トッピーだか言う名前のショッピングセンターに言って油揚げを買いました。
もちろん、蕎麦屋でも蕎麦+揚げを食べました。
油揚げで、一杯やるのが大好きですので、今度、味噌焼きをやってみます。
DVD情報とともにありがとうございました。

投稿: yokochan | 2008年7月19日 (土) 23時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: R・シュトラウス 歌劇「グントラム」 クーン指揮:

« ラフマニノフ 交響曲第2番 ヤンソンス | トップページ | アバド ルツェルン祝祭管 リハーサル »