ワーグナー 「ローエングリン」 マタチッチ指揮
札幌のホテルよりワーグナを聞きながら投稿。マイレージの一部が今月末に切れてしまうので、週末を利用して飛んできた。ちょびっと仕事、ほとんどがプライベート。
この冬の札幌は雪が殆どない。雪の降り積もる光景を期待していたのに、ガッカリだよ。
でも恒例のホワイト・イルミネーションは美しく、その元ではクリスマス・マーケットもあってドイツのような風景(行ったことないけど)
道産子の友達らと楽しく飲み、食べ過ぎてしまった。
二日酔い状態で、雪のちらつく大通りを抜け、クラシック喫茶「ウィーン」を訪問。
かなりマニアックな場所にあって、歴史も古いと聞くが、店内は清潔で居心地がよろしい。
何よりも、鎮座するマッキントッシュの音響が素晴らしく、時おりかかるレコードの温もりある音にぴったり。ブラームスやモーツァルトを堪能した。
オルフェオのバイロイト・シリーズ、今度は「マタチッチのローエングリン」という涎ものを復刻してくれた。マタチッチ唯一のバイロイト登場の年、1959年の記録はあまりにも貴重。
録音もモノラルながら、響きが豊かで、木質の劇場の雰囲気を堪能できる。
マタチッチというと、豪快な巨魁というイメージがあるが、このローエングリンはなかなかに精緻でありながら、明るく開放的な印象を与える。心持ち速めのテンポは聴いていてとても自然で、昨今のスマートなワーグナー演奏にひけをとらない。
明晰な音を好んだヴィーラント・ワーグナーがマタチッチを選んだのもわかる。
ローエングリン:シャーンドル・コンヤ エルザ:エリーザベト・グリュンマー
テルラムント:エルンスト・ブラン オルトルート:リタ・ゴール
ハインリヒ :フランツ・クラス 伝令士 :エーベルハルト・ヴェヒター
この素晴らしい顔ぶれ。この作品の理想。なかでも私の好きな「コンヤ」のタイトルロールの気品あふれる歌は涙が出るほど素晴らしい。
札幌の地で、最後の場面を何度も何度も聴いてしまった。
ヴィーラントのこのプロダクションは、万博1970年の「ベルリン・ドイツ・オペラ」来日公演で上演された。マゼールとヨッフムが指揮し、前者によるものがNHKで放送された。
小学生だった私の記憶にかすかに残るのは、夢幻を誘う前奏曲だけだ。
さあ、迎えもやってきたので、夜の札幌に繰り出そう。
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