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2006年12月23日 (土)

フンパーディンク 「ヘンゼルとグレーテル」 デイヴィス指揮

Nagoya

名古屋は今、元気で明るい。名古屋駅にタワーが出来、トヨタ・ビルが高層ビルとして生まれ変わって、人の流れが変わってしまったようだ。
かつては、商業の中心は「栄」で、夜の街は「錦3」だった。
今は駅周辺が、それと並び立つようになってしまった。名古屋近郊の人は駅周辺で満足できるようになった。

Nagoya2
名古屋のように全体が活気溢れる環境での開発であれば、打撃を受けるエリアは少ないかもしれないが、そうでない都市や郊外の開発は、荒廃するエリアを生んでしまう。難しいものだ。
名古屋駅前は、こんなきれいなイルミネーションが展開されていた。

Humperdinck_hanzel

今晩は、エンゲルベルト・フンパーディンク「ヘンゼルとグレーテル」でも心安らかに聴くこととしましょう。
この作曲家と同姓同名の高名な、もみ上げの濃いポップス歌手がいて、以前から何だろな、と思っていた。・・・が今は関係ない。
 わが方のフンパーディンクは、まさにワーグナーの影響を多大に受けた後輩にあたる。パルシファルに影響を受け「グラール団」なるものを結成していたらしい。パルシファル初演にも尽力し、ワーグナーも愛い奴とひいきにしてという。

原作はいうまでもない、昨今その残酷ぶりが話題?のグリム兄弟。
「生活苦にあえぐ四人家族、いじわるというより、生活に疲れた母親は、子供二人を二度も森に追いやり、食費を浮かせようとする。森で迷った兄妹は、お菓子の家を見つけ食べまくるが、そこは魔女の家。魔女は二人を捕らえヘンゼルを太らせて食べようとするが、兄妹の賢い反撃に合い竈に閉じ込められ焼かれてしまう。自由になった二人は、家の中の宝石やご馳走をもって白い鳩の導きで自分達の家に帰り着く。しかし、そこでは母親は、すでに亡く、優しい父親と一緒に幸せに暮らしましたとさ・・・・。」
 これが原作の概要で、結構あっけないくらい薄情な内容。母親がかわいそう。

フンパーディンクの妹が、この原作をもとに考えた台本は、もっとお伽話風になっていて、お父さん・お母さんたちも、安心してお子様に見せ、聞かせることができます。

「生活苦というよりは、ちょっと貧しい。母親は少しイライラしてしまうだけ。子供達にはイチゴを取りに森に行かせるだけ。魔女は竈に入れられちゃうけど、爆発とともにほかの子供達も開放され、二人を迎えにきた優しい両親と喜び合う」

音楽は、ワーグナー風なライトモティーフも多用されるが、いたって平和で平易。
やさしく、親しみやすい旋律に満たされ、さながらドイツのメルヘンも森をイメージさせる。
愛らしくも素敵なオペラなのであります。

  ヘンゼル:アン・マーレイ          グレーテル:エディタ・グルベローヴァ
 父ペーター:フランツ・グルントハーパー  母ゲトルート:グィネス・ジョーンズ
 魔女:クリスタ・ルートヴィヒ         眠りの精:バーバラ・ボニー
 暁の精:クリスティーネ・エルツェ

   サー・コリン・デイヴィス指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団

この素晴らしいキャストは完璧。何もいうことなし。特にグルヴェローヴァとジョーンズとルートヴィヒ、ボニーは堪らなく素敵だ。
そしてドレスデンのドイツの森を感じさせる味のある響き。デイヴィスはそれを無理なく引き出している。1992年のフィリップスによる素晴らしい録音。

この輸入CDには、ジャケット写真のジグソー・パズルが入っていて、厚さ5cmはある大型ボックスに入っている。ちょっと迷惑。だいいちピース細かすぎて手におえない。

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コメント

yokochanさん、こんばんは!
私もまったく同じセットを所有しています。(そして、ジグソーパズルに手をつけていません(笑)。)
ボニーはこれより数年前にテイト(EMI)にグレーテル役で録音していましたが、よくぞ脇役でもこの録音に参加してくれたと喜んだものです。
コリン・デイヴィス&シュタツカーペレ・ドレスデンのきめ細やかで奥行きのある雅やかさもたいへん感銘を受けました。
歌手陣の調和と融合からアイヒホルン盤やテイト盤に未練を残しつつも、やはりこの曲となるとこのデイヴィス盤がもっとも好きです。

投稿: Niklaus Vogel | 2006年12月23日 (土) 23時47分

Niklaus Vogel さん、こんばんは。
このジグソーは曲者ですよね。おかげでCDを収納するところが、変なところについてるし。
テイト、アイヒホルン、スゥィトナー、クリィタンス・・・気になる盤が目じろ押しですねぇ。私はあとショルティ盤を持ってますが、こちらではポップがグレーテルなんです!ウィーンフィルも魅力的です。

投稿: yokochan | 2006年12月24日 (日) 00時12分

このオペラはショルティにカラヤンの二組しか、持っていないのです。旧EMIにもクリュイタンス&VPO!に、テイトの新録音etc.食指の動きそうなものが、在りますね。親しみ易い曲想の割りに管弦楽のパートはかなり難しさの伴うオペラと言う事でございますが、聴き手には関係なしに楽しめますね。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年12月29日 (日) 12時22分

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