ヤンソンス指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団演奏会
マリス・ヤンソンス指揮のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏会を聴いた。ホールはミューザ川崎。
仕事を少し早めに切り上げ川崎に到着。商業施設ラゾーナ川崎を見てみたかったから。
駅直結でミューザと隣り合う好ロケーション。ものすごい人出だが、空間を大事に取り入れていて圧迫感がない。同じ三井不動産の作品ながら、「ららぽーと」などともコンセプトが異なり、テナントも珍しい。まぁいいか。
前置きだらけですいません。
でも、素晴らしいコンサートの一言に尽きる一夜。ヤンソンスらしく徐々に雰囲気が盛り上がっていって、アンコールでは興奮の坩堝と化してしまう。
毎年聴いていてわかっていても、すっかり術中にはまってしまう自分を見出だす。
短い序曲に込められた悲劇的要素と爆発的勝利の鮮やかな対比。 小さい交響曲ながら舞踏的な8番、ヤンソンスは弾むように鮮やかな演奏を聴かせる。両曲とも両翼配置を敷き各セクションのやり取りも楽しい聴き物。エンディングの一音が パン!と鳴って終結し思わすオッとつぶやいてしまった。ピリオド奏法じゃなくともこんなに小気味いい演奏ができるんだ。
オーケストラの素晴らしさは、エグモントの最初の一音から歴然としている。
マイルドで、シルキー。個性ある弦・管が見事に調和して生まれる有機的な音色。
思えば、マリスのもうひとつの手兵「バイエルン放送響」ももう少し明るいが、似たような有機的なサウンドだ。
「新世界」、この聞き古した名曲が、きれいさっぱりと垢を拭い去って登場したような印象を全曲に渡って感じた。オケの配置は、両翼を廃し通常のもの。
LA側面席だったから、オケの様子がまるわかり。プルト分割や、管の第二奏者の活躍などが目に見えて、ドヴォルザークの意外な面をも見た思い。
こんな名曲が、こんな新鮮に聴こえるなんて驚き。指揮もオケも一生懸命、夢中になって取り組んでいる。それを見て、聴いているだけで熱くなってしまう。
楽員と聴衆を一緒くたにして、盛上げてしまうのが、ヤンソンスの指揮の魅力。
「ラルゴ」が悲しみに満ち、深遠な音楽に感じたのも当コンビならでは。
CDでも同様の印象を持った。
後半のプロから、大好きなフルート主席「エミリー・バイノン」が登場し、木管群が華やいだ。
アンコールは、ブラームス「ハンガリー舞曲第6番」とドヴォルザーク「スラヴ舞曲72-7」
似たような熱狂の盛上りを見せる曲だけに、ヤンソンスは巧みにアッチェランドを掛けたりして聴く側を夢中にさせてしまった。こんな賑やかな曲でも、作品の濃厚な民族性を香らせるあたりはコンセルトヘボウの素晴らしいところ。
最後の音は、歓声まじりの拍手・ブラボーで見事に決まった。
楽員の去ったあと、ヤンソンスは一人拍手に笑顔で応えていた。
名曲・名演の一晩を過ごせた。明日はサントリーで日本最終公演。
そんな空間からミューザに移動。ここはエントランスまでは気持ちいいが、ロビーがせせこましく、人の導線も込み入っている。通路も段差あって歩きにくい。ゆとりがない。
でも肝心の音響がいいからよしとしよう。これも、まぁいいか。
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コメント
今日(12/3)はサントリーですね。ワールドオーケストラ・シリーズ2006のBで、様々な体験をしてきましたが、ヤンソンスとコンセルトヘボウでいい締めくくりをしたいものです。今日は「フィデリオ」が新国で2:00からありますから、9時ごろの新幹線には乗っていかなければなりません。5:00からの受付には並べませんので、席はずっと後のほうでしょう。会場でお会いできるのを楽しみにしております。
投稿: IANIS | 2006年12月 3日 (日) 01時56分
IANISさん、こんにちは。といっても今頃は新国で「フィデリオ」ですね。
分刻みの忙しいスケジュールでしょうけど、存分に楽しんで下さい。
サントリーホールでお会いしましょう。
マーラーのあとは、お得意のアンコール、やるでしょうか?
投稿: yokochan | 2006年12月 3日 (日) 14時17分