コルンゴルト 左手のためのピアノ協奏曲 シェリー&バーメルト
秋田県北部の街「大館市」に出張してきた。
昨年秋から継続する仕事ができ、真冬のこの時期も意を決して赴いた。
ところがですよ、雪がな~い。しかも暖かい。へたすりゃコートいらない。
雪深い地域なのに、先だっての札幌に続きなんだこりゃのサプライズ。
北海道は、今になって「つじつま合わせ」のように雪が降っているけど、秋田はそうではなかった。
忠犬ハチ公の生まれた里。駅前に鎮座する本場のハチ公。こちらの方が渋谷よりふくよかな顔だち。
今年は、ウィーン生まれの早熟の作曲家「エーリヒ・ウォルフガンク・コルンゴルト」の没後50年と生誕110年(1897~1957年)。
まったくといっていいほど話題にならない。
モーツァルトを意識して「ウォルフガンク」と名付けられ、実際、神童と呼ばれ、10代でオペラまで書いてしまった。
以前のブログでも書いたが、ナチスの登場で不遇をかこち、アメリカでひっそり亡くなっている。
その作品は相当数あって、私なんぞまだその一部をかじったにすぎないが、その音楽は一言でいうと「ロマ(ンテック)・カッコいい」??
マーラーの流れを汲む新ウィーン楽派風でもあり、アメリカで身につけた映画音楽風でもあり、といったところ。
誤解していただきたくないのは、それらが決して安っぽい音楽ではなくて、むしろウィーンの爛熟文化末裔として、その後継者として生きざるをいなかった宿命としてのロマンに満ちていることだ。
「軍隊行進曲」
「チェロ協奏曲」 Vc:ピーター・ディクソン
「弦楽オーケストラのための交響セレナード」
「左手のためのピアノ協奏曲」
Pf:ハワード・シェリー
マティアス・バーメルト指揮BBCフィルハーモニック
こんなラインナップのCD。行進曲は3分そこそこの付けたしのような音楽。
「チェロ協奏曲」は単一楽章の13分ほどの曲だが、のっけから印象的な甘い旋律が奏でられ、うっとりとさせてくれちゃう。この曲はマジ泣かせてくれます。
「セレナード」はウィーンに帰郷して書かれ、1950年になんと「フルトヴェングラーとウィーンフィル」によって初演された30分あまりの大作。
これまた実にカッコいい曲だが、第3楽章のレントはマーラーを思わせるような連綿とした美しい楽章である。ウィーンに帰省し楽壇に返り咲くかに見えたが、意外にもウィーンの反応は冷たかった・・・・・。
「左手協奏曲」も単一楽章ながら、これも30分を要する作品で交響曲のよう。
レフトハンド協は数あれど、この曲ほど、片手で弾いてるなんて思わせない曲はないかもしれない。かなり大胆な和声で始まるが、すぐに美しい「コルンゴルド節」が始まる。
例えていえば、ラフマニノフのパガニーニ変奏曲に似ているかもしれない。
1924年に初演されたあとは、作者没後の1961年に一度演奏されたきり。
その後今回のBBCフィルがG・グラフマンのピアノで1985年に復活させている。
このCDはスイス人指揮者「バーメルト」によるもので、彼はコルンゴルドの使者といってもいいくらい録音が多い。N響にも客演したことがあるが、その時はありきたりのプログラムでさっぱりだった。実に雰囲気豊かで、愛情こもった演奏に思う。
今年は皆さん、コルンゴルトを聴きましょう。
手始めは、ヴァイオリン協奏曲あたりからどうぞ。
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