V・ウィリアムズ 交響曲第5番 B・トムソン指揮
昨晩、 野球ボヤキを書いてしまったが、自主トレ中の工藤の記事を見て、「頑張れよ、応援したる」とすっかり受け入れ態勢が自分の中にできてしまった。
限界も近い自分を高く買ってくれ、野球を続けられることへの感謝を表明していたから。
これぞ、プロよ。と思い直した。仁志とともに、古巣を見返してやれ!
ばかだねぇ。ファンはこんなもんだろな。
むしろ、大枚はたいて一流選手を買い集め、用が済むとはいサヨナラの某G軍に対し、けしからん思いで一杯だ。これまで、何人同じ目にあったろう・・・・。
さて、またぼやいたあとの、今日の5番は、英国作曲家のラルフ・ヴォーン・ウィリアムズ(以下RVWといいます)を。
これ実は、11月にも取上げました。その時は、「ノリントンとN響の定期」での印象と、今回のCDを聴き比べたもの。
私の5番シリーズに、RVWは外せないので、早期登場願った次第。
前回も書いたが、極めて多彩な9曲の交響曲は、オラトリオ風あり、映画音楽風あり、表題音楽風あり、当時の前衛風あり、田園音楽風あり、といった具合。
この5番は、田園交響曲と呼ばれる3番と並んで、牧歌的かつ自然への感謝に満ちた静やかな桂曲である。
全体はキッチリした4楽章形式だが、全体になだらかで起伏もあまりなく、時おり小さな丘を見出すようなちょっとした盛上りがある程度。
一聴しただけでは、曖昧模糊と過ぎてしまうかもしれない。
私は、かつてプレヴィンの実演を前に何度も何度も聴いて、そうしてゆくうちに音楽が英国の自然を伴なって、私の中にしみわたるように入ってくるようになった。
1943年という時代を考えれば極めて不穏な空気の中に、このような安らぎに満ちた音楽を書いたRVWの気持ちはいかばかりだったろう。
いろいろな望みを託し、イングランドの自然を思いながら作曲したのだろうか。
3楽章の祈りに満ちた音楽は、あまりにも素晴らしい。言葉が出ない。涙が出てしまう。
終楽章の終結部は、音たちがどんどん上昇していって神々しさのうちに静かに消えて終わりになる。胸にジーンと来る。
多くの方に、この素晴らしい音楽を聴いていただきたい。
ブライデン・トムソンはスコットランド生まれの英国音楽の使者のひとり。
1991年に63歳で亡くなってしまった。生前より、ハンドレイと並びシャンドス・レーベルに貴重な録音を次々に録音していって、1枚1枚揃えていく楽しみを味わうこともできた。
じっくりとしたテンポで、骨太のたくましい演奏をするタイプだと思うが、こうした男らしい指揮者が優しい抒情を奏でるとなると、苦味の効いたホロリとさせる演奏になる。
そんな典型が、この1枚だと思う。オケもロンドン響なだけに素晴らしい。
静かに交響曲が終わると、カップリングの「揚げひばり」が始まる。
なんとファンタステックな組み合わせであろうか!
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コメント
アンドリュー・デイヴィス指揮の全集でRVWの交響曲に挑戦中です。この5番で3曲目になりますが、地味だけどいい曲ですね。全曲を2回聴き、第1、第2楽章は既に3回聴きました。南極交響曲には違和感を感じてしまいましたが、この5番はラフマニノフの第2交響曲と並ぶマイ・ヒーリング・ミュージックになりそうな気がします。穏やかに始まって、高揚するけれども穏やかに終わる開始楽章、平和で静謐感に満ちた第3楽章、そして活力に満ちているけれどあくまでも穏やかさを失わない終楽章。確かにもっと多くの人に愛聴されていい名曲ですね。戦時中に作曲されたというのにも驚きです。バルトークの最晩年(米国時代)の曲も穏やかさと静謐感とで聴き手に深い感銘をもたらしてくれますが、この交響曲のもたらしてくれる感銘はバルトークの晩年の作品並みかそれ以上ではないかと思ったりしました。
トムソンという指揮者は晩年にN響を振っていますよね?91年に亡くなっておられたんですね。高校時代にハイドンの104番とエルガーの序曲コケインをこの人が指揮するのを録画した記憶があります。どちらもいい演奏だったのですが、あのテープ何処を探しても出てきません…
投稿: 越後のオックス | 2008年12月10日 (水) 19時13分
越後のオックスさま、こんばんは。
この5番の魅力を感じ取っていただいて、とてもうれしいです。実演でプレヴィンとノリントンの2回も接することができて、本当に幸せな思いを今でもいだいております。
2つあるプレヴィン盤、このトムソン盤、バルビローリ、マリナー、ボールトとともに、サー・アンドリューも素敵な演奏だと思います。
大いに聴いてくださいね。
N響に来たのは、サー・アレクサンダー・ギブソンです。
来日後亡くなってしまった、スコットランド系の男っぽい名匠でした。N響で4つのコンサートを指揮しまして、ビデオとカセットを私も大事に保存しております。
その時の曲目がホンマに素晴らしい。
「フィンガル」「メンコン」「スコッチ」、ベルリーズ序曲、「コケイン」「エニグマ」、ハイドンとエルガーの「ロンドン交響曲」、バーバー「V協」に「シベ2」
N響は英国指揮者に奥手でして、ギブソンとアサートン、ノリントンぐらいでしょうか。
投稿: yokochan | 2008年12月10日 (水) 23時56分