スメタナ 「我が祖国」 ノイマン指揮
日曜の晩は、八王子に所用があり、その晩、ひとり酒をすることとなった。
猥雑な呼び込みや勧誘を避け、大衆酒場に飛び込んだ。「酒蔵 一平」という店。
焼鳥の煙を店の外にたなびかせ、呑ん平の心を刺激する場末の雰囲気。
おばちゃんが数人給仕し、若い人はいない。客も若者は見当たらない。
新聞を読んだりして、皆思い思いに過ごしている。適度に放置され、かえって落ち着く。
冷奴、焼鳥、あじフライ、タコぶつ。燗の枡酒・・・・・。居酒屋メニューの王道で勝負した。
実に落ち着く、超満足の居酒屋ライフなり。
居酒屋とは全く関係がないが、音楽に自分の祖国愛を思い切り託した、スメタナの「我が祖国」を。
ヴァーツララフ・ノイマン指揮ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団で。
6つの連作交響詩からなるが、内容はそれぞれ異なるものの、ボヘミアへの溢れんばかりの思いがつづられている。
①ヴィシェフラド(モルダウ川沿いの古城、その城の栄枯盛衰を描く)
②モルダウ(ご存知モルダウ、スメタナが残した注釈を読みながら聴くと感動もひとしお)
③シャールカ(伝説の女傑シャールカが恋人に裏切られ敵の男衆を皆殺しに・・・恐ゎ)
④ボヘミアの森と草原から(ボヘミアの自然賛歌、田舎の祝宴の様子)
⑤ターボル(フス教徒というキリスト教宗教改革の一派の拠点の街ターボル)
⑥ブラニーク(フス教徒の戦士が眠るブラニーク山、亡国を思い戦士は蘇えり聖戦へ)
どの曲も素晴らしメロディーに溢れ、そしてアツい。
有名すぎるモルダウも、連作の中に聴くと単なるメロディックな描写音楽だけに聴こえない。
スメタナが、母国の過去の伝説と溢れる自然に描こうとしたのは、自らの祖国の希望に溢れる未来であったろう。
チェコがその後、大国に翻弄され苦難の道を歩んだのは、歴史が示すところ。
ノイマンはチェコ・フィルと数回録音しているが、今晩のCDは1965年の1度目のもの。
当時ゲヴァントハウスの音楽監督として優れた業績を残していて、マーラーやブルックナーなども最近復活していて注目。
1968年に「プラハの春」が勃発し、ノイマンはチェコに帰されることになる。
オーケストラの音は渋い。そして腰から下にズシリとくる重厚さもある。
でも弦の音色がすごく美しい。このあたりはノイマンらしいところ。
6曲それぞれに聴かせどころ満載だが、全6曲が最後のブラニークのクライマックスに向かってジワジワと盛り上がっていくようなライブ感があるところが素晴らしい。
どんな演奏でも、最後の場面でヴィシェフラドの冒頭の主題が高らかに回帰してくると、心から感動してしまうものだが、このノイマン盤は殊更感激した。
こんな祖国思いの音楽があってうらやましい~。
日本で祖国、祖国っていうと、ちょっときな臭くなってしまうし・・・・。
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コメント
居酒屋ひとり酒・・・いいですねぇ。
私は、ひとり酒も大好きです。(粋酔亭にいらっしゃればお分かりのように)
正調サラリーマン居酒屋とかオジサン御用達みたいな店がいいですね。
まさに新聞を読んだり、本を読んだりして
ちびりちびり熱燗をやるのがいいんですねぇ~。
今度は居酒屋にご一緒しましょう!
スミマセン、音楽の話が全然ありませんでした・・・。
投稿: 呑む気父さん | 2007年1月31日 (水) 22時20分
呑む気父さん、こんばんは。
私もひとり酒場が結構好きです。というより一人出張が多いものですから、地方でも一人飲みが多いんです。一人でエンジョイする術を覚えてしまいました(笑)
でも語る仲間がいるとまた味わいが増します。
是非ご一緒しましょう。
ちなみに、音楽の話ですが、最近ノイマンを見直しつつあるんですよ。
投稿: yokochan | 2007年1月31日 (水) 23時43分