シェーンベルク 「清められた夜」 メータ指揮
昨年末、といっても数日前だけど、御茶ノ水の駅近辺、日暮れ時に、御茶ノ水橋から、聖橋を望むの図。JRと地下鉄丸の内線がクロスするこの光景はとても絵になる。
昔は、秋葉原の高層ビルなんてなかったし、聖橋のライトアップもなかった。ノスタルジーと最新の都市開発の先端がうかがえる街「御茶ノ水」
昨晩のディーリアスの男女のロマンテックなゆきずりの愛を描いた音楽に続いて、今夜は、本格的な(?)男女の不倫愛を描いた、これまた絵に描いたようなロマンテックな音楽を。
シェーンベルクの「清められ夜」、「浄夜」を。
「じょうや」で変換しても「浄夜」と出てこない。文学的なる響きだけど、音楽はいやらしいくらいにネットリと甘やか。
リヒャルト・デーメルの詩集からイメージされた音楽は、オリジナルは弦楽六重奏曲。
1899年、今から100年以上前の、文字通り世紀末の作品。世紀末、世の終わりの逼迫した興奮と熱情が、からみあって、本当にロマンテックな雰囲気に満ちている。
1943年に弦楽バージョンに編曲された。
一組の男女が、冬の凍てついた月夜、林の中を逍遥している。「私、赤ちゃんが出来たの、でもあなたの子ではないの!」「ゲっげー」と男。
「でも出来ちまったものは、しょーがねぇ」「俺に任せろ、俺の子として面倒みたるで」
「やったぁ、ラッキー!」と女。
こうして、二人の愛は浄化していくのであった・・・・・。
でも生まれ来る子供は、将来父親と顔が似てない、「あいつが、俺の父親でないとは?」
とジークフリートよろしく悩むことになるのだろう。頑張れよ、と言いたい。
年取ったりとはいえ、メータにこの曲を振らせると、天下一品。
バイエルンの国立歌劇場の弦楽セクションの優秀さといったらない。
あたたかくも、機能的なサウンドは、メータの後期ロマン派的資質に華を添えている。
ロスフィル盤が、録音的に古さを感じさえてしまうので、もうこの1枚がとってかわる。
大阪ワルティで、780円でゲット。ふふふ。
カラヤンは濃密すぎ、ブーレーズはあっさりすぎ、ちょうどいいのがメータだわい。
あと、若きバレンボイムがイギリス室内菅と入れた1枚も、カップリングの「ジークフリート牧歌」と相まって素適な演奏だった。
月夜の晩には、男女で、林を歩こう。きっといいことがあるはず!!?
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コメント
こんばんは。
聖橋の夜景、いい味を出しています。あのポイントは電車好きにはたまりません。私も撮りたくなりました。
「浄夜」はカラヤンとラサールで聴いています。ラサールは素朴で冷たい感触がまた一興です。
投稿: 吉田 | 2007年1月 6日 (土) 23時31分
そうそう。聖橋のライトアップは一体いつから始まったのでしょうね。気が付いたときはしていました。子供の頃、夜にまっくらな聖橋は不気味ですらあったのですが、ライトひとつで随分印象が変わるものですよね。
投稿: リベラ33 | 2007年1月 7日 (日) 07時16分
吉田さん、おはようございます。御茶ノ水のこの景色は、素晴らしいのですが、御茶ノ水橋の欄干が下を見るともろに川なので少し恐ろしいです。
今回たまたま、二本の電車を捉えることができてラッキーでした。
ラサール盤は、まだ未聴です。「冷たい感触」、いい感じですね。
投稿: yokochan | 2007年1月 7日 (日) 09時34分
リベラさん、おはようございます。
ライトアップは、ここ10年くらいですかね。御茶ノ水にある会社に10数年勤めましたが、当初はなかったような気が・・・・。
丸の内線で、地上にチラリと出るあの場所は、子供の頃から楽しみでした。
投稿: yokochan | 2007年1月 7日 (日) 09時38分
何年か前、抽選で当たったコンサートで津川雅彦がデーメルの詩を朗読しながらオケが演奏・・・というヘンテコな「浄夜」を聴くことができました。津川さんはシルクハットにタキシード姿で、手品師かと思いました。
「浄夜」はミトロプーロス盤を聴いていたのですが、何故か実家で行方不明に!「浄夜」は設定としては現実にはありえない、怪しいと子供のときから思っていました。
では私も林の中を・・・って都心では難しいです。
投稿: naoping | 2007年1月 7日 (日) 10時01分
naopingさん、こんにちは。
津川氏の手品師「浄夜」、笑えますねぇ。そんな朗読付き「浄夜」は子供には聞かせられませんね。
ミトプーはニューヨークフィル盤ですか、一度聴いてみたいと思ってます。
ミトプーさんには、ぴったりの音楽ですな。
そうですね、郊外に行かないと林はありませんね。私のところは、もろ郊外でして、少し歩くと林だらけ。夜は怖くて歩けません(笑)
投稿: yokochan | 2007年1月 7日 (日) 12時04分
メータ指揮のこの演奏は懐かしいです。鮮やかでした。
また、この頃のメータがカッコイイ!!。
はっきり言って私は憧れました。
私もこのシリーズでヴァレーズを取り上げました。
でもこの曲はカラヤンにしてしまいました(笑)。
TBさせてください。
そうそう、それから21日神奈川フィルに来てくださるとのこと、その後仲間と飲むことにしているのですが一緒にいかがですか?。
よろしければぜひ!!。
どうも失礼いたしました。
投稿: yurikamome122 | 2007年1月15日 (月) 17時55分
yurikamomeさん、コメントとTBありがとうございます。
メータはいつまでも、あのカッコイイ時代の姿が目に浮かびますね。
今は、太ったインド人に過ぎない印象ですが、ツボにはまると相変わらずスゴイ人だと思います。
21日の件、私などがお邪魔してよろしいのですか?
余り遅くまでお付き合いできないかもしれませんが、是非お言葉に甘えたいと存じます。
投稿: yokochan | 2007年1月15日 (月) 23時51分
嬉しいです。ではよろしければ開場時間あたりにホールに入ってすぐの売店前で待ち合わせと言うことでいかがでしょう。
当日楽しみにしています。
投稿: yurikamome122 | 2007年1月16日 (火) 00時48分
yurikamomeさん、了解です。ありがとうございます。
投稿: yokochan | 2007年1月16日 (火) 01時04分
連投失礼いたします。清められた夜は、カラヤンとインバルしか聴いたことがありません。弦楽合奏版です。メータのシェーンベルクと言えばロスフィルを指揮した管弦楽のための変奏曲しか聴いたことがありません。管弦楽のための変奏曲はカラヤンやブーレーズやロバート・クラフトのもきいています。最近はクラフトの演奏が気に入っています。個人的にはインバルのアッサリ演奏にひかれるものがあります。デンオンはあまり好きなレーベルではありませんが、インバルの新ウィーン楽派はなかなかいい音に取れていると思います。シャイーやアシュケナージの清められた夜も聞いて見たいところです。シャイーのはベルリン放送交響楽団を指揮しており、アシュケナージのはイギリス室内管弦楽団を指揮しています。アシュケ盤のカップリング曲はジークフリート牧歌です。今は廃盤ですが・・・若き日のバレンボイムが英国室内管を指揮して清められた夜とジークフリート牧歌を録音していたことはしりませんでした。指揮者アシュケナージは好きですが、指揮者バレンボイムやエッシェンバッハはあまり好きではありません。ピアニストとしてもっと活動して欲しいところです。宇野さんもそういっていました。あの人の困ったところは八十年代には指揮者アシュケナージをほめていたのに九十年代になると識者としてもピアニストとしても巧言令色的だから嫌いなどとまるで違うことを言い出すことです。八十年代にアシュケナージをピアニストとしても指揮者としてもバレンボイムやエッシェンバッハよりも優れていると絶賛してレコードアカデミー賞まで出したのはあんただろうと言いたくなります。八十年代にアシュケナージをほめていたのは全部嘘なのかい?とツッコミたくなります。彼は八十年代にはレニーのこともべたほめにほめていました。ところが九十年代に入ると「あの人は何がいいのか分からない」などと言い出すのです。評論家としての良心を疑います。某巨大掲示板ではユニバーサルからお布施でも貰っていたのではないかと勘ぐられてもいますが、勘繰られても仕方が無いと思います。
投稿: 越後のオックス | 2009年11月26日 (木) 21時03分
越後のオックスさん、こんばんは。
ただでさえロマンチックなに、カラヤンのねっとりした演奏はこの曲のそうした側面を描き出してやまないですね。
バレンボイムの旧盤はレコード時代に聴きふるしましたが、CDでは所有していないのです。
ジークフリート牧歌とヒンデミット(確か?)がカップリングでした。
わたしは、若い頃からのバレンボイムを聴き続けてますが、あの大人びた音楽作りがツボにはまったときなどたまらなく好きです。
エッシェンバッハも好きですが、指揮者アシュケナージはどちらかといえば苦手でして、越後のオックスさんと逆なのですよ(笑)
Uさんは、何かと話題を提供してくれますねえ(笑)大阪の亡きおやっさんとともに、根強いファンがいらっしゃいますので、実名での記載はちょっと控えていただければと思います。
申し訳ありません、といえよう(笑)
投稿: yokochan | 2009年11月27日 (金) 20時06分
こんばんは。「浄夜」のメータ、ロサンゼルス・フィルは「室内交響曲第1番」「管弦楽のための変奏曲」とカップリングされているのを持ってます。カラヤン、ブーレーズに比べるとメータのはオーソドックスで落ち着いています。メータにはイスラエル・フィルによる「ペレアスとメリザンド」もあり、こちらはシベリウス(抜粋)、フォーレの同名曲がカップリングされたものです。メータの近代、現代音楽は技ありです。
私がこれから書くことはyokochanさんを始め、誤解を招かれるかも知れません。でも補足として下さい。
ピアニスト&指揮者でバレンボイムとアシュケナージではオペラから大曲、スタンダードなドイツ物までボリュームのあるサウンドで聴かせてくれる指揮者・バレンボイムに軍配をあげます。
ただし、アシュケナージについてですが、ショパン弾きというイメージが先行してしまい、二流指揮者扱いされた。これは過去のことです。バレンボイムは近年、首席指揮者のハイティンクに変わるまでシカゴ響の音楽監督だったが、低迷したり、今年のニュー・イヤー・コンサートの出来が悪かったり何かと戦犯のようになってしまって、やはり、アシュケナージが逆転して大陸を越えた活躍しています。ロシア物に関してはピカイチでラフマニノフなんか弾く方と振る方の2パターンで取り上げてます。ショスタコやシベリウス、ウォルトンの「交響曲」を取り上げる勇気。ロシア、北欧、英国物のクールさはバレンボイムにかないません。最近、オクタヴィアからエルガー作品をシドニー響で録音したのまでリリースされたくらいです。
これ以上長く書けないのでアシュケナージが録ったものに関しては手持ちからいずれアップします。
投稿: eyes_1975 | 2009年11月28日 (土) 21時00分
訂正
ロシア、北欧、英国物のクールさはバレンボイムにかないません。バレンボイム→アシュケナージ
投稿: eyes_1975 | 2009年11月28日 (土) 22時21分
eyes_1975さん、こんばんは。
メータは、ベルクとウェーベルンの指揮は少しだけですが、シェーンベルクはよく振ってますね。
次週のFM放送は、ウィーンフィルの最近のライブ特集らしくて、メータの指揮で、浄夜とブルックナーの第9が放送されます。
両方とも、若き日に録音した曲ですから楽しみです。
さて、バレンボイムとアシュケナージ、どちらも敏腕ピアノニストですね。
私のよく聴く音楽領域からすると、バレンボイムに軍配なのですが、おっしゃるように、自国ロシアものや、縁の深い英国もの、北欧ものはアシュケナージですね。
同じロシアを出たロストロポーヴィチがチェロも指揮も、大柄で情念型だったのにくらべ、アシュケナージは、ピアノは抒情派で、指揮は大型。
よく言われるように、ピアノに比べ格段に表現の幅が広がるオーケストラを得て、大きな表現に傾くのでしょうか。
でも最近の、アシュケナージの活躍ぶりや、皆さんの評価を聞くにつれ、私も過去のイメージを捨てて、虚心にアシュケナージを聴かなくてはならないと思っております。
eyes_1975さんの、アシュケナージ記事も楽しみにしております。
投稿: yokochan | 2009年11月29日 (日) 00時47分