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2007年1月14日 (日)

フィンジ ヴァイオリン協奏曲 T・リトル&ヒコックス指揮

Finzi_violin_concert_1 ジェラルド・フィンジ(1901~1956)は、ロンドン生まれ。薄幸の人と呼ばれたりするのは、自身白血病に倒れたからということもあるが、幼くして父、相次いで兄弟や師を失い、そのせいか、フィンジの作風にはどこか悲しみに満ちた陰がいつもつきまとうからであろうか。

短い生涯で寡黙な作曲家だっただけに、40数曲の作品しか残さなかったが、いずれも優しく、ナイーブな感性に貫かれ、英国抒情派の代表選手として、私の大好きな人でもある。

ヴァイオリン協奏曲は、1925から27年にかけて作曲された若書きで、彼の愛した「シヴィル・イートン」という若いヴァオリニストに書かれた。
彼女のソロで、指揮は「サー・マルコム・サージェント」、オーケストラは英国女性交響楽団(British Womens Symphony Orchestra)。おおっ、こんなオケがあったんだ!!
 この時は、第1楽章の出来に不満なフィンジは、それを引っ込めてしまい、2・3楽章だけが初演された。
 その後、V・ウィリアムズのアドバイスなど受け、あらためて全曲が1928年に演奏されたものの、まだ1楽章が不完全と判断したフィンジは、この作品をしばらく放置してしまう。

その後、クラリネット協奏曲に取り組んでいた時に、第2楽章だけを再生させ、「ヴァイオリン・ソロとオーケストラのためのIntroit(入祭唱)」として独立された。

こんないわく付きの曲を1999年に久方ぶりに取上げたのが、このCDで演奏のコンビ。
タスミン・リトル」と「リチャード・ヒコックス」による録音は、演奏会のあとなされた。

問題の第1楽章は、ストラヴィンスキーを思わせる新古典主義風の音楽だが、快活で何にも変じゃない。生き生きとした音楽は気持ちよく聴ける。
でも最高に素晴らしいのが、第2楽章。これぞフィンジ・ワールド。クラリネット協奏曲と同じように、楚々とした儚い抒情にあふれていて、いつまでも、ずっとずっとそこにとどまっていたいと思わせる癒しの音楽だ。この楽章だけ、何度聴いたかわからない。
3楽章は、3分ちょっことで、バランス的にどうかと思われるが、「ホーンパイプ・ロンド」と名付けられた舞曲調の、明るく楽しい終曲。

女流「タスミン・リトル」は、いつ聴いてもチャーミングで美しい音色に魅せられる。
ヒコックスとピタリとはまった名演。

ヒコックス指揮による、弦楽のための「プレリュード」と「ロマンス」も桂曲。
ことに、後者は泣ける1曲。日曜の晩、就寝前に聴くのにうってつけ。心が暖まりマス。

あと、このCDの素晴らしいのは、オーケストラ編曲版の歌曲が6曲入っていること。
アレンジは、アンソニー・ペイン、コリン・マシューズ、ジュディス・ウェアー、クリスティアン・アレクサンダー、ジェレミー・デイル・ロバーツといった、現代の人々の手によるもの。
見事にフィンジ・ワールドを作りだしている。
「ジョン・マーク・エインズリー」の歌も繊細で惚れぼれとする。

いいなぁ、ジェラルド・フィンジ。どんな情況で聴いても、私の心に寄り添ってくれる。

 
 

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コメント

フィンジ、まとめて歌曲の特集でもしようかと思っているくらい、フィンジの歌曲が大好きです。でも、声楽以外はフィンジあんまり持ってないのです。ヴァイオリン協奏曲は多分聴いたことないです。
このCDのオケ版歌曲集ってのが聴きたいですね。エインズリーも好きな歌手だし。うーん。これほしくなってきました。

投稿: naoping | 2007年1月16日 (火) 00時36分

ふふふっ。これいいでしょ。
ジャケットがすごく素適ですし、ご指摘の歌曲は6曲集められてるんですが、naopingさんだったら、知ってるフィンジの名曲ぞろいですよ。
そして、エインズリーがまたいいです。イギリスのテノールって、どうしてあんなに繊細派が多いんでしょうね。
コンチェルトもいいし、もうこのCD何回聴いたかわかりません。
勢いあまって、フィンジのカテゴリーを作ってしまいました。

投稿: yokochan | 2007年1月16日 (火) 01時14分

おはようございます。
フィンジ、いいですねえ。
私はとくにクラリネット協奏曲の大ファンで、何か管楽器のコンチェルトが聴きたくなると、よく手を伸ばしてしまいます。

また、タスミン・リトルも素敵なヴァイオリニストですよね。
スコットランド幻想曲を聴いて以来のファンです。
彼女のフィンジときいてしまうと、これは何をさておいても聴かねばなりませんね。

投稿: romani | 2007年1月16日 (火) 07時38分

romaniさん、コメントありがとうございます。
このCD、曲よし、演奏よし、ジャケットよしのいいことずくめの1枚です。
クラリネット協奏曲、私も大好きです。言葉にすると壊れてしまいそうなデリケートな音楽ですね。

投稿: yokochan | 2007年1月17日 (水) 16時47分

このCD私の愛聴盤でもあります。(^^♪
フィンジは優しさに溢れているのがいいですね!

投稿: びーぐる | 2007年1月18日 (木) 22時42分

びーぐるさん、こんばんは。
「優しさに溢れている」、まさにおっしゃるとおりですね。
どんなときも癒されます。フィンジが大好きです。

投稿: yokochan | 2007年1月18日 (木) 23時31分

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