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2007年2月13日 (火)

バックス 交響曲第5番 B・トムソン指揮

Greenwood

秋田県大館市にあるバー「Green Wood」は、ウィスキー好き、シャンパン好き、日本酒好き、ブリテッシュ・ロック好きのマスターの素適な店。
秋田にいることを忘れてしまう。
こちらで飲んだ「タリスカー」。アイラ諸島の北スカイ島産のシングルモルト。一口含んだだけで、潮の香りを感じた。目を瞑れば、まだ見ぬスコットランドやアイルランドの荒涼とした海を見渡すことができる。

大好きな「バックス」の幻想的で、厳しくシャープな印象の音楽にピッタリだ。

Bax_5

アーノルド・バックス」(1883~1953)は癖になる作曲家。
いろいろな分野に作品を残したが、作風がどれもこれも似ていて数々聴いてくると、バックス以外の人を思い起こすことができなくなる。

ロンドン生まれながら、アイルランドやスコットランドのケルト文明に大いに触発され、生涯かの地を愛し続け、幻想的な作品ばかりを残した人。

ついでにバックスは女性に相当もてた人で、以前のエントリーで書いたピアノ付きの交響曲のような「ウィンター・レジェンド」を書いた相手が、「ハリエット・コーエン」というピアニスト。バックスは妻子がありながら彼女と公然の仲になっていった。
後年、その作品は見向きもされなくなり、ロンドンでも傷心の日々を送ったらしいが、コーエンは終始バックスを支え、バックスが愛したアイルランドの荒涼とした景色を一緒に眺めていたらしい。本妻とどうなったかは不明ながら、晩年のディーリアスを思わせるような生き様にひどく共感してしまう。

1932年に完成された第5交響曲は1934年にビーチャムの指揮によって初演された。
7曲ある交響曲がそうであるように、3楽章形式で40数分の長さは共通している。
第1楽章は、シベリウスを思わせるような幽玄なもやもやとした出だしから、徐々に盛り上がって行き、ダイナミックかつバーバリステックな雰囲気に到達する様が素晴らしい。
次ぐ第2楽章は、幻想の中にさまようファンタジー溢れる音楽だ。森の中をケルトの妖精たちが飛び交う。
第3楽章は、動きの激しい活発なムードで始まり賑やかに進行するが、やがて1楽章の主題を穏やかに回想し始め、徐々にその回想も壮麗に鳴り響くようになり、眩い夕日のごとく曲を終える。

一度や二度では、音楽がつかめない。それがバックスの交響曲。
何度も何度も聴いて、その独特の人を寄せ付けないな厳しい音楽が、心に響くようになってくる。私にとってとても魅力的な音楽。

余白に3曲からなる「ロシア組曲」が収められている。
1919年に「ディアギレフバレエ団」がロンドンにやってきた時に、委嘱を受けて書いた作品で、同バレエ団はバックス含む4人の若いブリティッシュ・コンポーザーに作曲を依頼している。ほかの3人は「ハウエルス」「バーナーズ」「グーセンス」だ。地味なものだ。
「ゴパック」「ウクライナの夜」「ウォッカ売場にて」の3曲。イギリスが見たロシアは、なかなかに親しみやすく、楽しい音楽でお薦め。

いつものように、ブライデン・トムソンとロンドンフィルの渋いコンビは、豊かな響きを醸し出していて、バックスの魅力が味わえる充実したもの。

Bax もてる男バックスのお姿。
ちょっとリーブしてるが、シャイな雰囲気がいいのかも・・・・・。

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