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2007年2月 4日 (日)

ワーグナー 「パルシファル」 クナッパーツブッシュ指揮

Hausweih 冬の聖地「バイロイト」。
夏は本物音楽祭が行なわれ、日本では年末、NHK主催のライブ音楽祭が恒例となっている。
ファンにとっては今が狭間。
でも新国立劇場のおかげで、ほぼ年に一度はワーグナー上演があるし、外来公演や日本オケによるコンサート形式上演もさかんで、ワーグナーの上演に接する機会が昔ではシンジラレナイほどに増えていてうれしい限り。

Parsifal_kna56 赤いジャケットが毎度怪しい「WALHALL」レーベルから、1956年のクナッパーツブッシュのパルシファルが出た。
録音は時おりテープヒスノイズが入るがかなり鮮明なもので、バイロイト特有の雰囲気が充分に楽しめる。

  アンフォルタス:フィッシャー=ディースカウ  ティトゥレル:ハンス・ホッター
  グルネマンツ  :ヨーゼフ・グラインドル     パルシファル:ラモン・ヴィナイ
  クンドリー   :マルタ・メードル         クリングゾル:トニ・ブランケンハイム
  アルト独唱  :    〃

どうです?このため息のでるような顔ぶれ。56年といえば、あの「カイルベルト・リング」の翌年。他にもヴァルナイがいて、ニルソンもいて、ヴィントガッセンがいて・・・・・。
まぎれもなく戦後の一番の充実期だろうな。
 
メードルのクンドリーに震えがきた。最近ヴァルナイの影に隠れてしまった感があるが、この人の音域の広さには驚嘆する。古臭さを一切感じさせない清新な歌で、歴史に名を刻む歌唱に思う。
そして私が気にいったのが、ヴィナイのパルシファル。後にバリトンに転向することとなるこのヘルデン・テノールは、まさにバリトンの声を持つほの暗い声で、私にとって最高のトリスタンとオテロの一人。こうした声は明るさ輝かしさとは無縁だから、1幕でのボケたパルシファルはかえって愚鈍に聴こえるし、2幕での変貌は痛切さが増して聴こえる。
 F・ディースカウのなりふり構わぬアンフォルタス、ホッターの荘厳なティトゥレル、味のあるグラインドルとブランケンハイム・・・・。み~んなOK。
 脇役に後のスターを見出すのもいにしえ音源の楽しみだが、小姓にG・シュトルツェがひょっこり出ている。

クナッパーツブッシュについては言うまでもなくパルシファルの理想郷的な指揮ぶり。
安心してゆったりと身を委ねていられる。
時間が空間に張り付いたかのような感覚におちいる。巨大でありながら、細やかなニュアンスも豊富で、久方ぶりにパルシファルの真髄を体感した。
聖金曜日の音楽の高揚感には身も心も痺れてしまった。
     
              Ⅰ        Ⅱ        Ⅲ
 クナ(56)      112分     68分      79分
 ブーレーズ(05)   91分     59分      65分

Parsifal_3 合計で45分も違うこの対比。演奏する側は早くあがれて嬉しいらしいけど、金だして聴く方は何だか損したみたいだ。
ヴィーラント・ワーグナーの演出と相まって、長さを遅いと感じさせない永年にわたった儀式的な上演だったのだろう。タイムマシンでもあれば観てみたかった。
こんな幽玄な舞台はもうお目にかかれない。

これでクナのパルシファルは棚に5種類目となった。

   

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コメント

yokochanさま お早うございます。

クナの『パルジファル』は、私も何組も持っています。
Walhall盤は持っていないと~。
何せ長いんで、聴き通すことは難しいですね~
余程元気がないと、爆~。

私は、ショルティ盤が初めての『パルジファル』でした。
ディスカウさん、ルートヴィッヒさんでしたっけ?懐かしいんですよね、LP時代に良く聴いたので。
ルートヴィッヒさんがこの録音に関して書いておられるものを読んだんですが、「ショルティは、難しいところを何度も歌わせたのに、実際に使ったのは1回目のテイク」とぼやいておられました。

ミ(`w´彡)

投稿: rudolf2006 | 2007年2月 5日 (月) 06時16分

rudolfさん、コメントありがとうございます。
確かにパルシファルはクナ・クラスになると途方もなく長いです。
が、暇人の私には現実逃避の時間が長く取れてちょうどいいんです(爆)

ルートヴィヒの逸話は面白いですね。
ショルティって、そういう性急なところのあるオジサンなんですね。
私はショルティのレコードは手にとってズシリと思い感触だけしか味えなかった中学生でした。日本盤は何故かショルティの指揮姿のジャケットでした。

投稿: yokochan | 2007年2月 5日 (月) 22時30分

お早うございます。過去記事に書き込み失礼いたします。クナのパルシファルを5組もお持ちとは恐れ入りました。それもブログ主様のことですから慈しむように丹念に何度も聴いておられるのでしょうね。記事を拝読してF・Dのアンフォルタスが聴いてみたくなりました。
 私の手持ちのパルシファルは、CDがカラヤン、ケーゲル、レヴァイン(バイロイトライブ)、DVDがレヴァイン(メト)、ケント・ナガノ、それに最近購入したシュタイン&バイロイト、それだけですね。クナのパルシファルは、世間様や評論家様があまりに神様演奏扱いしているのでひねくれ者の私は食わず嫌いだったのですが、昨年の夏に図書館であの62年ステレオ録音のバイロイトライブを聴いて、心底圧倒され、自分のひねくれ者ぶりに自己嫌悪さえ感じました。
 シュタインのパルシファルはもう二回見ましたが、演奏もウォルフガングの演出も歌手たちの演技や歌唱もすっかり気に入りました。タイトルロールがイェルザレムじゃなくてホフマンだったらもっと良かったのにと言う人がよくいますが、イェルザレムが悪いのではなくてホフマンが凄すぎるのだと思います。

投稿: 越後のオックス | 2011年4月15日 (金) 04時56分

越後のオックスさん、おはようございます。
クナのパルシファルは、その後さらにもう一種増えてます。
あの味わいの深さは、次々に聴いてゆきたくなる思いにかられます。
録音を考えると、その頂点が62年ものです。

シュタインのパルシファルも、今後複数年度のものが出てくればいいと思いますし、シュタインの前任のヨッフム盤も復刻が望まれます。
イエルサレムのタイトルロールもまだ重たい役を歌う前でしたから、リリカルなところもあって、とてもいいと思います。

投稿: yokochan | 2011年4月16日 (土) 08時47分

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