R=コルサコフ 「シェエラザード」 メータ指揮
「シェエラザード」、この絢爛豪華な曲を無性に聴きたくなる時がある。
だって、聴いていて気持ちいいんだもの。
まさに、そんな感じの音楽絵巻。
この曲が作曲されたのは1888年、ワーグナー没後5年、マーラーは第2交響曲まで作り終えていた。チャイコフスキーは第5交響曲の執筆中。
こんな背景を考えながら聴くとおもしろい。
そしてこの曲は表題音楽めいた、交響曲のようでもあるから、思い切り物語った演奏も楽しいし、そのあたりを薄くしてシンフォニックに演奏したものも良い。
メータとロサンゼルス・フィルは、私が始めて買ったこの曲のレコード。
豪華な演奏と鮮烈な録音を売り物にした当時のメータ+ロスフィルのロンドン・レーベルの戦略に乗った1枚だった。
たしかに録音はあっけらかんとするくらいに明瞭で隅々まで良く聴こえ素晴らしかった。
でも演奏は、以外なほど正攻法で全体の構成をしっかり見据えたものだった。
マゼールやバーンスタインのほうが、語り口が上手で色気に溢れていた。
今CDとして聴いてもその印象は大きく変わらない。
やはり明るく大らかな雰囲気が実によろしい。メータは、ロスフィルをウィーンとフィラデルフィアのような音にしたいと思っていたらしいが、柔らかさと豊かさとを併せ持つ響きが理想であったのだろうか。
そんな最良の部分が第3楽章「若き王子と王女」だろうか。
美しくもロマンティックな旋律の宝庫みたいな音楽を、ネットリさせずに爽快に歌い尽くしていて、さながら人もうらやむ若い男女のお話のようで、あとくされなく爽やかである。
メータ=ロスフィルのかつての演奏を振り返ってみると、以前はグラマラスな表現ばかりに目がいってしまっていたものの、音楽の構成をしっかり見据えた正統的な演奏ばかりだったことを感じる。
若き日の精悍なメータ。
ロスではモテモテ。奥さんもチョー美人。
眼光がやたら鋭いが、どこか憎めないお人よし。
最近の温厚メータ。
恰幅がよくなり、インドに行くと、そこらに、ごろごろいるようなお顔。
み~んな、年とるわけだ。
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コメント
こんばんは。
メータのこの盤はいいですね。若々しいし録音もふくよかで色鮮やかです。こういう演奏を聴くと、メータのオーケストラ作品の録音のピークはこの頃だったのかなという気がしてしまいます。二度目の録音(?)であるイスラエル・フィルとの演奏はいまひとつでありました。
投稿: 吉田 | 2007年2月 7日 (水) 23時28分
やっぱりメータはロス・フィル時代ですよね。ニューヨークに行ってからみるみる失速しましたもんね。ウィーン・フィルとの一部の録音を除いて代表盤とされるのはロス・フィルとのものばかりですし。なかなかCD化されなかったチャイコフスキー全集がやっと出たのはメデタイ。
投稿: einsatz | 2007年2月 7日 (水) 23時49分
吉田さん、こんばんは。
そうなんですよね。イスラエルとの録音は冴えませんね。CBS録音というところもあると思いますが、ロスフィル時代の覇気が感じられないです。
メータはもう一花咲かせて欲しいインド人であります。
投稿: yokochan | 2007年2月 9日 (金) 00時15分
einsatzさん、こんばんは。そしてご無沙汰です。
ロスフィル=メータ=デッカですね。チャイコも欲しい一品です。
わたし的には、イスラエルフィルとのチャイコ5番が復活して欲しいです。
大阪行きの前になんとか、例のリストをお送りします。お待たせしてま~す。
投稿: yokochan | 2007年2月 9日 (金) 00時19分
ありがとうございます。リベラ氏はじめ大阪組の面々も首を長くして来阪をお待ちしております。日程決まりましたらぜひご連絡下さい。
投稿: einsatz | 2007年2月 9日 (金) 14時50分