« アルウィン 交響曲第5番 ヒコックス指揮 | トップページ | R・シュトラウス 歌劇「ナクソス島のアリアドネ」 サヴァリッシュ指揮 »

2007年3月18日 (日)

大友直人指揮 東京交響楽団演奏会

Tso_muza_1 東京交響楽団の演奏会、なんとしたことか、神奈川フィルの「ブリテン戦争レクイエム」とバッティング。先週も「オランダ人」と神奈フィルの「ラフマニノフ2番」が重なってしまった。
今回は東響のチケットを早々に取っていたし、ディーリアスが聞けるうえに、「大好きラフ2」とあって、「戦争レクイエム」は断腸の思いで諦めた。 

           ディーリアス 歌劇「村のロメオとジュリエット」間奏曲
                       ~楽園への道~
           ブルッフ   ヴァイオリン協奏曲第1番
                       Vn:レジス・パスキエ
           ラフマニノフ 交響曲第2番

Otomo3l_1 大友直人はなんだかんだで初めて演奏会。いつも気になっていたのに、なかなか機会が合わず逃していた。何といっても英国音楽好きにとって、尾高先生と並んで頼りになる存在。エルガーのオラトリオや数々の英国音楽を手掛けていて、ようやく氏の英国音楽が聞けるわけ。よく経歴を見たら、私と同い年。頭部の方は著しく違うけど何だか親しみが増しうれしい。

ディーリアスのなかでも、はかなさと情熱が見事に溶け合った大好きな「楽園への道」。
すごく丁寧に慈しむように演奏され、じーんとしっぱなし。
ところがです、最後の最弱音で音楽が静かに終わり静寂を味わうまでもなく、一部の客のフライング拍手。これに呆れて思いきり舌打ちしたら、お隣さんがびっくりしてた。
だって、大友氏まだ指揮の途中だぞ。オケも指揮者も、え?って様子だった。

久々に、「そりゃないだろ、その拍手。」
後味の悪さに、ブルッフに集中できない。パスキエの艶やかな音色は認めるものの、悔しい思いを引きずりすぎた。パスキエと大友氏、抱き合って讃えあっていたけれど。

Rachmaninoff_1 気を取り直してのラフマニノフはよかった。大友氏得意の曲だし、オケも乗りに乗って体中で音楽を感じて、音にしているのが実感したできた。ことさらよかったのが有名な第3楽章で、クラリネット主席のソロが連綿と歌い、各楽器に歌い継がれ大きなうねりを呼んでメランコリーの極地を描き出してゆくさまは本当に感動してしまった。
指揮棒を持たない大友氏の動きも、この楽章では体から音楽が滲み出てくるように感じられ、こちらもまた見ものだった。

このノリを絶やさないまま、終楽章になだれ込むように突入し、あとはもうこのコンビの作り出す怒涛のクライマックスにまっしぐら。

最後のラフマニノフ・エンディングで、会場はブラボーにつつまれ、私も一声参加した。

やれやれ、最後がよかったから気分よろしい。

ディーリアスのような繊細な曲を演奏会で取り上げる難しさを痛感した次第。

ディーリアスは家でヒッキーぽく聴く音楽なのかしらん?

|

« アルウィン 交響曲第5番 ヒコックス指揮 | トップページ | R・シュトラウス 歌劇「ナクソス島のアリアドネ」 サヴァリッシュ指揮 »

コメント

はじめまして。コメントありがとうございます。

90年代に東京に住んでいた頃、コンサートやオペラに通っていました。新潟に帰ってからはなかなか行けなくなりました。

アバドの評価って不当に低いですよね。ウィーンフィルとのベートーヴェンやブルックナーはお気に入りです。

コンサートの拍手について、私が経験したのは、「トリスタン」で「愛の死」の最後の和音が終わらないうちに、幕が閉まり始めたら拍手がぱらぱらと起こってしまいました。シィー、シィーという声で一旦止みましたが。

これからも宜しくお願いします。

投稿: HIROPON | 2007年3月18日 (日) 08時14分

こんにちは。ラフマニノフ、15日に京響で聴きました。
やはり第3楽章が良かったですよ。あの女性クラリネット奏者、なかなか安定してますね。それから弦のメロディでは大友さん、身体を大きく
揺らし動かして。この指揮者では珍しいのではないでしょうか。
楽団もよく応えて非常に美しく歌ってました。
コンサートの前半はブルッフの代わりにベートーヴェンで、パスキエは指揮者に抱きついていました。同じですね。(^。^)
繊細で洒落気のある演奏が随所に感じられました。

投稿: | 2007年3月18日 (日) 09時12分

こんにちは。
う~~こっちでしたか。てっきりブリテンにいらっしゃてるかと。
それにしても、ディーリアスでのフライング拍手は勘弁してほしいですね。頭きますね!
昨日のブリテンではそんなこともなく、逆にブラボーもなく、淡々と始まり淡々と終わりました。マジで誰かの追悼公演?みたいでした。どっちがいいんだろう・・・。

投稿: naoping | 2007年3月18日 (日) 09時24分

HIROPONさん、ようこそおいでくださいました。
アバドを聴き続けてもう30年以上になり、大切な仲間のようになってしまいました。
そのトリスタンって、フリッケとベルリンの公演ですか?
そういえば私もそんな記憶がかすかに残ってます。
それにひきかえ、アバドのトリスタンは聴衆も含め最高でしたね。
生涯忘れられない上演です(チケットの高さも~笑)
またどうぞ、よろしくお願いします。

投稿: yokochan | 2007年3月18日 (日) 12時54分

丘さん、こんにちは。
京響ではベートーヴェンでしたか、大曲プログラムですね。
あのラフマニノフは3楽章が圧巻でした。
おっしゃるように、大友氏の大きな動きがすごく印象的でした。
ちなみに、パスキエのアンコールはパガニーニのカプリースで、物凄かったです。

投稿: yokochan | 2007年3月18日 (日) 12時58分

naopingさん、こんにちは。
おぉ、横浜ブリテンに行かれたんですね。
もう究極の選択でしたよ。困ったもんです、東京のコンサート事情は。

それにしてもディーリアスの拍手には頭にきます。おとなしく寝ていてくれたほうがまだマシです。

大友さん、7月には「エルガーの2番」、1月には「海の交響曲」を取り上げます。尾高さんは11月に「エルガーの2番」を読響です。
み~んないい人。

投稿: yokochan | 2007年3月18日 (日) 13時04分

ご覧になりましたか?コンサートもだんだん恐ろしくなるかも。
http://www.asahi.com/culture/music/TKY200703160235.html

投稿: KM | 2007年3月18日 (日) 15時24分

KMさん、恐ろしい記事ですが、笑えない状況です。
あんまり神経質になるのも困りものですが、フライング拍手などは、最低限のマナーどころか、音楽を台無しにしてしまうことなので、本当にやめていただきたいです。
記事ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2007年3月20日 (火) 09時30分

 僕も京都で聴きました。CD大友直人のラフマニノフ第2交響曲は、氏の傑作だと思います。なかでも第3楽章は最高で、ロシア・ロシアしたところがなくて、スッキリとした味わいに得も言われぬ感銘を与えてくれます。
 むろんブリテンは聴いていませんが、貴女のチョイスは「吉」だったと思います。でも、なんで京都ではディーリアスをやらなかったの~と惜しまれます。

投稿: 山田晃司 | 2007年3月22日 (木) 21時51分

山田さま、こんばんは。ようこそおいでいただきました。
コメントありがとうございます。
京都では、ベートーヴェンのコンチェルトとラフ2のヘヴィー級だったそうですね。いまだに、ブリテンは悔やまれますが。同じプロダクションで、オケは大フィル、指揮は湯浅氏で大阪公演があるようです。
大阪行ってしまおうかしらん?

それにしてもラフ2の3楽章は良かったです。
またどうそ、よろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2007年3月24日 (土) 02時20分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 大友直人指揮 東京交響楽団演奏会:

« アルウィン 交響曲第5番 ヒコックス指揮 | トップページ | R・シュトラウス 歌劇「ナクソス島のアリアドネ」 サヴァリッシュ指揮 »