« ワーグナー 「さまよえるオランダ人」 新国立劇場 | トップページ | ドヴォルザーク 交響曲第5番 ヤンソンス指揮 »

2007年3月11日 (日)

「ビヴァリー・シルズ」 オペラ・アリア集

Fuji_miho 日本の山、フジヤマ!先週は静岡を浜松から三島まで、車で出張した。
気楽な一人出張のため、時間はキツかったが、ちょいと寄り道したのが、「三保の松」のあたり。
海のむこうに富士が眺められる絶景。ああ、美しい。日本人でよかった。
出張に備えて、記事も書き貯めして、公開予約をいれておいた。
でもあんまり、ライブ感がないからよくないな・・・。

Bsills ビヴァリー・シルズ、最近CDもあまり見かけなくなってしまったのは、所属レーベルのせいか? ウエストミンスター・レーベルがEMIから出ていた頃、70年代中頃が彼女の最盛期で、ベルカントものを中心にかなりのオペラ録音が発売されていて、よくNHKFMのオペラ・アワーでも聴いた。
そのレーベルがDGGから出るようになり、外盤ではご覧の通り黄色いマーク入りで出ている。
が、しかし、国内盤はさっぱり見向きもされない。本場ものの歌手ではないからか?
日本での人気はいまひとつ、アメリカでは絶大な人気を誇ったのに。

1929年ブルックリン生まれの生粋のニュヨーカー。3歳にしてラジオで歌うという神童ぶりで、以降正式な勉強も重ねて、順風満帆の発展を遂げた。
世界各地で歌いながらも、ニューヨークを愛し続けた彼女は、ニューヨーク・シティ・オペラを一流のハウスとし、1979年に引退後は同団の監督などもつとめた。
まだ元気に過ごしているはずだ。

Bsills2 今日は、彼女のフランス物・ベルカント物全曲盤からのチョイスと、ドイツ物などをおさめたアリア集を楽しもう。

彼女のレパートリーの中心は、ベルリーニ、ドニゼッティ、ロッシーニらのベルカント物とフランス物であろう。そしてJ・シュトラウス、レハール等の独オペレッタも得意にしていた。
彼女の歌声は、すっきりした聞きやすいもので、完璧なコロラトゥーラも嫌味がなく、心から感心できる。過分な表情付けもなく、親しみの持てるナイスなもの。
しかし、レヴァインがそうであったように、深みに乏しいと言われるのも一理ある。

そして、画像にて、そのラインナップをご覧下され!
何と彼女得意のレパートリーに加えて、コルンゴルトの「死の街」R・シュトラウスの「ダフネが収められているではないか!

この私の大好きなオペラ、しかもダフネは最後の場面がしっかり入っていてうれしい。
どちらも丁寧に歌われていていい。コルンゴルトやレハールはやや思い入れが強すぎて、昨今の歌とはちょっと違うが、これはこれでシルズの歌声がクリアーなだけに、充分に楽しめる。
ダフネが素晴らしい、この18分あまりの変容の場面に、ひとしきり泣くことが出来た。
シルズの愛らしい歌声に、シュトラウスの素晴らしい音楽が映える。
おまけに、アルド・チェッカート指揮のロンドン・フィルがこれまたいい。ジュリーニとアバドの間の世代のチェッカートは知る人ぞ知る名指揮者なのだ。N響にも来ていたし、シルズとのトラヴィアータの録音も残されている。

シルズの歌声、もちろんお得意の曲もそれぞれ喜々として楽しめた。
私はこうした、アメリカンな歌手は好きだな。

|

« ワーグナー 「さまよえるオランダ人」 新国立劇場 | トップページ | ドヴォルザーク 交響曲第5番 ヤンソンス指揮 »

コメント

この名ソプラノ、マスネのオペラのヒロイン役で馴染んでますよ。ルーデル指揮の『マノン』‥ABC-Westminster‥に、マゼール指揮の『タイース』‥EMI→Warner‥等です。過度にドラマティックなヴェリズモ的な役は、手掛けられなかったようですが、それだけに粒選りな演唱揃いかと、存じます。それにしても、RCA原盤のルーデル指揮の『タイース』に、モッフォと入れ替わりに起用されていたら、文字通りの『不朽の名盤』に仕上がっていたろう‥との些か悔しく残念な気持ちが、拭いきれません。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年12月17日 (火) 11時52分

シルズは意外と好きでして、モッフォもそうですが、美人系のアメリカ歌手が好みなんです。
同時期に発売された、ふたつの「タイース」はずっと気になっている盤で、モッフォのジャケットがちょっと怖いのですが・・・
あと、シルズの歌では、ここで絶賛したチェッカーとのトラヴィアータが欲しい一品です。

投稿: yokochan | 2019年12月19日 (木) 08時32分

モッフォ、バキエ、カレーラス他のRCA原盤の全曲は割りと最近ようやく88985397882と言う番号の2枚組で、SONYより復刻されました。以前、RCA-Gold-Sealシリーズでモッフォ主演のプッチーニの『つばめ』もヴェルディの『ルイザ-ミラー』等はリリースされておりましたが、この『タイース』はなかなか再発されませんでしたね。各メーカー様も、様々な御事情が在るかとは思いますが‥。EMI原盤のシルス&マゼール指揮のCDは、ワールドからの『Massnet-Operas』と言う16枚組で、0190295683474の番号のセットに、含まれてますね。『ウェルテル』『マノン』『タイース』『ドン-キショット』『ノートルダムの曲芸師』『エロディアード』『サフォー』を集成した凄いセットでは、ありますが笑い。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年12月20日 (金) 00時31分

ワールドからの→Warnerからの‥のミスで、ございます。謹んで訂正致します。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年12月20日 (金) 00時33分

シルズ主演の全曲物では、レヴァイン指揮ロンドン交響楽団、ミルンズのフィガロ、ゲッダの伯爵のロッシーニ『セヴィリアの理髪師』も、お薦めです。最近輸入盤のWarner-Home-Operaシリーズで、再発叶ったようですが、かつての東芝の『エンジェル-オペラ-シリーズ』では、何故かリリースされませんでしたね。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年12月22日 (日) 09時47分

レヴァインの理髪師、わたくしも持ってまして、とりわけミルンズが好きだったりしますので、かなり以前に入手しました。
この頃のレヴァインはいいですね。

投稿: yokochan | 2019年12月24日 (火) 08時20分

そうなんですよね。DGに移ってから、RCAやCBSにEMIに録音していた頃の、清新な息吹きと音楽への誠心さに満ちた魅力が、喪われてしまったような赴きが、あるのですね。

投稿: 覆面吾郎 | 2020年1月 7日 (火) 12時02分

DGは、いっとき、ウエストミンスター録音の出口になってましたので、その際にいくつかCD化されましたが、いまはどうなってるのか不明です。
シルズのこちらの音盤、今宵、久々に聴いてみようと思ってます。

投稿: yokochan | 2020年1月 8日 (水) 08時33分

日本コロムビアがウエストミンスターの販売権を持っていた1977年辺りに、ルーデル指揮のベッリーニの『I-Puritani』に、マッケラス指揮のドニゼッティ『Robert-Devereux』を、勿論LPで出してくれていた事も、ございました。これ等もきちんと新装再発売して戴きたいものですね。

投稿: 覆面吾郎 | 2020年1月 8日 (水) 19時58分

amazonで、シルズの音源を見てみましたが大半が廃盤。
そしてレーベルも、旧ウェストミンスター、DG,EMI,ワーナーと多岐にわたってました。
レーベルの統廃合のあおりを受けたともいえるシルズの音源たち、と思いますね。
この12年前の記事のすぐあとに亡くなったシルズさん、ご指摘のとおり、ちゃんと復刻してほしいです。

投稿: yokochan | 2020年1月13日 (月) 09時35分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「ビヴァリー・シルズ」 オペラ・アリア集:

« ワーグナー 「さまよえるオランダ人」 新国立劇場 | トップページ | ドヴォルザーク 交響曲第5番 ヤンソンス指揮 »